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ちょっと死神  作者: 青尾ウニ
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先に言えよ

「じゃ、今回だけ協力するよ。なんて言うはず無いだろ!」


「ポン太って、見掛けによらず冷たいんだ。優しそうに見えるのに」


「あのな、そう言う次元の問題じゃない。多分、神様だって許してくれないぞ」


「そんなことないよ、偉い神様に聴いたから」


「エッ!神様が言ったの?」


「うん、お前に任せるから適当なの選んでいいよって…」


「嘘だろ!適当で死んでたまるか。そんなのくじ引きと変わんないだろ」


「ハハハッ、神様も忙しいから、ちょっとだけ手抜きしたかも…」


「いくら忙しいかもしんないけど、デタラメ過ぎる。何やってんだ」


「そうかもね、神様はパラダイス計画に出掛けたよ」


「…なんだそれ?」


「今頃、南の島で日光浴でもしてるんじゃないかな」


「バカ野郎、そんでもって、のんきに日光浴なんかしてんのか?」


「カワイイ女の子にトロピカルジュースをごちそうするんだって」


「………。」


「ビーチバレーもしたいって、とっても張り切ってた」


「神様がビキニの姉ちゃんとイチャイチャする為に俺は死んじまうのか?」


「ホント、エロ親父よね。でも、本人の了解がいるんだって。だから、お願いします」


「そんな話聴いて、ハイ解かりましたって言えるか!」


「だって、ポン太にいいよって言ってもらわないと、私が困るんだよ」


「知らないよ、そんなこと。俺に責任ないだろ」


「だめだよ、それじゃ私が天使になれないもん」


「死神が天使になれるのか?」


「うん、今はバイト中」


「バイト!?」


「天使になりたいんだけど、それまでのバイト」


「なあ、こんなこと言うのもなんだけど、バイトが人の生き死にを決めていいのかよ」


「大丈夫、気にしないで。チャチャと終わらせて、私も南の島に行くから」


「チャチャとねぇ」


「そう、ポン太って物事を大げさに考えすぎよ。もっと気楽に生きれば?」


「死んじまったら気楽に生きれないだろ」


「ハハハッ、当たってる」


「笑えないよ」


「あなた、意外と暗い性格だね」


「こんな時、のんきに笑ってる奴は、どうかしてるだろ」


「意外と真面目なんだね」


「違う違う、あんた達がチャランポランなだけ。俺は真面目なんて、生まれて初めて言われたぞ」


「じゃあ、最初で最後だね」


「だから、死ぬのは嫌だって」


「ケチ」


「気前良くなれる訳無いだろ、さっさとどっか行ってくれ」


「それが無理なんだなぁ」


「何で?」


「私の姿を見せちゃったから」


「姿を?」


「うん、私達のことは人間には秘密だもん」


「そっちが勝手に現れたんだろ、俺は知らん。」


「でも、ポン太は人間だもん、諦めようよ」


「諦める理由が無い。そっちこそ諦めて他の奴を説得したら?」


「だから、無理。私は離れられないの」


「いつまでくっ付いてるつもりだ」


「ポン太が、承知するまで」


「承知しないって」


「承知するまで、ずうっと、ずうっと…」


「だから、いつまで?」


「さっきから飲んでる、その水が無くなるまで」


ポン太はペットボトルの水を口にしていた。


「それ、【死に水】っていうの」


手にしたペットボトルの水は、半分ほどを残し、すでに飲み込んでいた。



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