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訪問者


雨がアスファルトに強く叩きつけられる音で私は目を覚ました。

外はまだ朝を知らずに暗く低く横たわり、重い身体を布団から起こせば、そろりそろりと野良の黒猫が私の膝の上にやってくる。

古書や脱ぎっ放しの着物が散乱する畳の上を器用に渡り歩く彼は私の唯一の友達。

「お前は器用だね」

彼の頭を撫でた。

彼は少し目を細め、チラリと私を見ると目を閉じて寝てしまった。

雨の音は強さを増すばかり。



わずかに開いたカーテンから朝日が覗き込む時には、すでに黒猫はどこかへ消えてしまった。

「気まぐれだなぁ」

丸めがねをかけ、布団をたたみ、二郎は朝食の支度を始める。

台所には黒猫の置き土産のネズミが、一匹死んでいた。目は見開き、少し開いた口から歯がちらりと見える。鼠色したそれを人差し指と親指でつまみ上げ、お菓子の空き箱へ入れた。置かれたネズミの横には七匹のネズミの死骸が横一線に並んでいる。

「ふふふ」

嬉しさのあまり二郎の口元が緩む。


ピンポーン。


呼び鈴が鳴った。

こんな時間に、一体誰だ。

二郎は玄関の引き戸を少し開け、覗いた。

覗いた隙間から女の人が覗き返し、目と目が合った。

「秋津 二郎さんですよね?」

二郎は驚きのあまり引き戸から身を離し、戸を閉めた。

見知らぬ女性がどうして私の家に?

二郎はパニックに陥っていた。

「ど、どちら様でしょうか」

声が裏返る。

「西黒 雪と申します。秋津さんに会いに来ました」

西黒雪。そんな名前は記憶にない。

「私は、あなたとどこかでお会いしましたか?」

「一昨年ぐらいに、A公園で」

「A公園……?」

そういえば、と二郎は思い出した。



読んでくださった方、ありがとうございます。作者のぬーんです。

初投稿の小説です。まだまだ続く予定なので、続きも良かったら読んでくださいね。

次回もよろしくお願いします。

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