あいつ
2013年
第2作目
私はあいつが好きだ。
あいつがどう思ってるかは知らない。
でも、私はあいつが好き。
だから、他の誰にも渡さない。
あいつは私だけのもの。
だけど最近、あいつを狙う視線を感じる。
一度あいつが居なくなったことがあった。
確かにここに居たはずなのに、
ちょっと目を離した隙に居なくなってた。
あいつが自分の意思でそうするわけがない事を、私は知ってる。
そこで考えた。
今回はあいつから視線を離さない。
絶対に見失わない。
本当はあいつと逃げたい。
でも、それじゃあ、また同じことが起こるかもしれない。
またあいつが居なくなるかもしれない。
だから、私はあいつを監視した。
とはいえ、私の存在が気付かれたら意味が無い。
そこで、私はカメラで監視することにした。
遠距離から監視すれば、誰にも気付かれない。
そして、あいつの前に1人の女が現れた。
私は急いであいつと女の前に飛び出した。
そして言った。
「あんた、どういうつもり?」
すると女は可愛い子ぶった、ネチネチした喋り方で言った。
「あっ、バレちゃった?」
「とにかく、私に返して」
「ダメ!私が先に取ったんだもん」
「あんたには代わりがあるでしょ」
「う~ん・・・飽きた!」
「・・・」
ダメだ、こいつと喋っても、終わりは見えない。
こうなれば武力行使だ。
「それは私の!」
私は飛びかかり、女からあいつを奪い取ろうとする。
だが、女も手を放そうとしない。
「あんた・・・いい加減にして!こいつは私の、」
「知ってる!でも私もそうだもん!」
ふざけるな!お前なんかにあいつの魅力が分かってたまるか。
「あんたなんかに、私の鮭茶漬けの魅力が分かってたまるか!」
「分かります~!お姉ちゃんが好きなものを、私が好きになっちゃダメな理由はないでしょ!」
「ふざけないで!1パックに2つしか鮭入ってないんだからね!」
「だったら1つぐらい食べてもいいじゃん!」
「ダメ!あんたは残りの梅でも野沢菜でも食べときなさい!」
その時、2人が引っ張ったせいで、あいつが裂けた。
中から出てきたあいつが、宙を舞う。
そしてしばらくの沈黙。
2人は顔を見合わせる。
そして、視線をお茶漬けが置いてある箱に向ける。
開けると、『のり茶漬け』が2人を睨んでいた。
いや~
やっぱあれですよね!
鮭茶漬けおいしいですよね^^
僕は断然鮭茶漬けです!
昔はのり茶漬けばっか食べてたけど、今はやっぱ鮭茶漬け!




