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第0話・プロローグ

他の作品を放置して何やってやがると思う人もいるかと思いますが!

それでも、とりあえず、こちらは更新を続けてみようかと思いますね!

続くかどうか分かりませんが、グロエロは今の所不明ですよ

気が付くと俺は白く広い空間で一人あお向けに倒れていた

とりあえず上体を起こそうとする、が身体に力が入らずうまく持ち上げられない

上を向いていた視線を身体に落とすと視界には血の海が映った


( 何だこれ?俺は死んでるのか?)


身体の損傷は激しいが痛みはない

と言うか痛みがあったらまともに思考する事もできないと一目で分かる程に酷い状態だ

身体は腹から真っ二つに引き千切られ、贓物は体外に飛び出してしまっている


( こんな身体じゃ、まともに身体も起こせない訳だ。腕も両方なくなってるからな)

「そう?じゃあ、起こしてあげるから僕の手に掴まってよ」


はいっと気軽に手を差し出されたので特に疑問に思うこともなく、俺はその手を取る

身体に力を入れてゆっくりと立ち上がるといつの間にか血の海は消えて無くなっていた


「・・・ん?あれ?さっきまで俺の身体ってバラバラになってなかったか?」

「え?立ち上がりたいって言われたから身体を再構成してあげたんだけどダメだった?」


と後ろから不思議そうな声が聞こえてきたので振り返る・・・そこには悪魔がいた。

別に俺にパッと見ただけで相手の人種やら種族やらが分かる訳ではない

ただ、雰囲気と言えばいいのだろうか?なんとなく悪魔のように感じたのだ

普通の悪魔と違う点があるとすれば、天使の羽が背中から生えてるところか


「あー、いや、ありがとうよ。おかげで助かった」

「どういたしまして!それより折角、元気になったんだから面白いことがしたくない?」

「そうだな・・・、俺が質問するからそれに答えるってのはどうだ?」

「うわっ詰まらなそ~、じゃあ、その次は僕が質問するから答えを考えておいてね」


そう言い終わると俺はイスに座らせられ、手には紅茶の入ったコップが握られている

いつの間に座ったか全く分からないが、紅茶からは湯気が立ち昇りいい香りがする

俺の正面には黒いビスケットを噛み砕きながらニヤニヤと楽しそうに笑う顔が見えた

俺は改めて悪魔の顔をしげしげと眺めながら最初の質問を口にした


「・・・さっきから疑問だったんだがお前は何者なんだ?」

「それが最初の質問か?つまんないなぁ・・・、もっと刺激的な質問をしてよ」

「つまらないと言われても人間ってのは一番最初にそう言うことを気にするんだよ」

「仕方ないなぁ、僕は神様だよ。甘いモノが大好きなチョー甘党で最近のお気に入りはミルクプリン、特にこの前立ち寄ったお店のヤツは感激の美味しさだったね!なんせ本当にホッペが落ちる所だったんだ、それに比べると前には言ったお店なんかは―――・・・


てっきり天使っぽい羽が生えてたから堕天使かと思っていたが、神様だったとは

それにしては威光というか後光というか『神様っぽさ』が不足している気がしてならない

どちらかと言うと、さっきも思ったが神様よりも悪魔よりな位置にいそうな気がする

あと話がズレ始めてる、俺は自己紹介を頼んだつもりだったが段々甘味の話になってきた


―――・・・で、偶然入ったお店で同期のヒナちゃんと会ってさぁ、ほら僕って可愛い娘にお願いされると断れないタイプじゃん?だからさぁ、その時は勢いでオーケーしちゃったんだけど、世界を丸々救うなんて土台無理な話なんだよ―――・・・


甘味の話かと思ったら最近の世間話になってきた

どんどん元の話から離れてきたが、神様の世間話ってスケールでかいな

と言うか、可愛い娘にお願いされて断れないとか詐欺に遭いそうな神様だな


―――・・・だから僕は他の神様にも話を持ち掛けて、誰が選んだ人間が世界を救えるかって事で賭けをすることになったんだ。一人の神様が賭けられるのは自分で選んだ人間一人だけ。で、僕はタンクローリーに撥ね跳ばされて死んでたお前に決めたって訳!」


・・・ん?今、聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするぞ?

待て待て待て、いったん落ち着くんだ!深呼吸をして気持ちを落ち着かせるんだ!

素数は数えなくていいからさっきの神様の言葉を初めから思い出すんだ


「ひっひっふぅ、ひっひっふぅ・・・・・・なぁ、あんたマジで神様なのか?」

「おう!マジで本気と読んでマジ神様よ!この立派な翼が目に入らんか!」


これはまだいい。ただ相手の存在を確認しただけだからな、次だ


「ああ、立派な翼だな。それで可愛い娘に頼まれて世界を救うのか?本当に?」

「当たり前よ!ここで引いたら神の名折れってもんだ!やってやらー!」


ここもまだ分かる。相手は神様だしな、世界の一つや二つ救うこともあるだろ


「さすが神様、世界を救うのが仕事だなんて凄いですね!」

「何言ってんの!僕達に選ばれた人間が救うに決まってるだろ!」


ええぇぇぇー?じょ、冗談じゃねー!訳も分からず世界を救えだとっ!最悪だ、こういうタイプの人間にも会った事は有るが明らかに『失敗はお前のせい、成功は俺のおかげ』って奴だぜ!

今からでもきっと遅くない、別の奴を選んで貰おう!そうすれば俺は安らかに眠れるんだ


「な、なぁなぁ!俺ってそんなに凄い人間じゃないって言うか努力とか嫌いなんだけど!むしろそんな人間を選ぶぐらいだったら向上心ありありの知能とか知性に溢れた優秀な人間を選ぶべきだと思うんだけど!だから今からでも世界を救う人を変更しない?まだ間に合うよ神様!」


言ってやった、言い切ってやったぜ!さぁ神よ、正しい判断をしてくれよ?


「え?別に強制する訳じゃないけど、いいの?」

「ああ、俺って眠たい系男子だからさ、生きてるより永眠する方が好きなんだ」

「そっか、僕って死神だからさー、死んだ後の魂の管理任されてんだよねー」


・・・・ゑ?死神?そんな話聞いてない、なんで今そのことを言うんだ?

あ、神様が手を振ったら大鎌が出てきた。アレが死神の鎌か、趣味悪っ!

禍々しさに加えてデザインが最悪だ、なんで生首が飾られてんだよ!


「でさ、ちょっとした興味なんだけど、お前は天国に行きたい?それとも地獄?」

「もちろん天国ですよ。わざわざ地獄に行きたいって人がいるんですか?」

「いるじゃん『もう何回生まれ変わっても天国に行きたくない』って奴が目の前に」


おや?さっきまで軽かった空気が見る影も無く重たくなってますよ?

神様もあれは断れないことが分かってて、あえて追い詰める意地の悪い笑みに変わってる!

ち、ちくしょう!ここで断ったら死んでしまう!地獄に送られてしまう!


「・・・・わ、わー!なんだか世界を救いたくなってきたぞー!これは俺がやるべきことなんだって使命感がどんどん沸いて来たぞー!」

「そうそう、神様に選ばれるなんて超ラッキーだし名誉なことだぜ!」


ぽいっと大鎌を投げ捨てて軽い笑みに戻った死神はビッと親指を立てた

いい顔してるぜ!と言われそうな位の笑みだが俺は確実に逃げ道を失った


「いやー、せっかく轢き潰してまで手に入れたってのにここで逃げられちゃねー」

「え?何を轢き潰したんですか?」


俺の問いに「こう!ロードローラーだっ!って感じでねー」とハイになってるポーズで死神はピタリと止まった

その表情は「あ、ヤベェ」と言ってはいけないことを言ったような様子だ


「死神さん、あんた殺っちまったね!俺を!」

「・・・・・・ゴホン!それじゃ、僕の質問の番だね。しっかり答えてくれよ!」

「いや、それで誤魔化せると思ってるのか?質問には答えるが」

「いつもの日常が退屈で退屈で仕方なくて死にそうだと思わないか?」

「いやいや!死にそうって感覚じゃなくて、俺は既にお前のせいで死んでるじゃねーか!」

「素敵な非日常が欲しいだろ?魔法があって戦闘があって出会いがある。もちろん!夢も希望も友情も!なんなら超美人なお嬢さんとだって結婚させてあげる!どうだ!」

「いやいやいや!なんでモノで釣ろうとしてるんだよ!ってか俺が行っても何もできないぞ?普通の人間だし」


それは最初から思っていた俺としては当然の疑問だ

世界なんて途方もない物を救うなんて話は伝説やら英雄の御伽噺でしか聞いたことがない

普通の平凡な人生、それも途中で終わっちまったが、大した事のない人生だった


「それに世界なんてどうやって救えば良いんだ?魔王を倒すだとか、魔物の討伐だとか色々な問題があるんだろ?俺はどれにも対応できない自信があるぞ?」

「えー?そこは自信持ってよー。それに何もできないって事もないよ、なんせこの僕が直々に選んだ人間なんだ」

「と言うと?俺には自分でも気が付かないような素晴らしい力でも眠ってるって言うのか?」

「何言ってんのー?そんな訳ないじゃん!ただ僕が力を分けてあげるって話さ」


俺は握り締めていた拳をテーブルに叩き付けそうになったが、死神さんの言った最後の一言で何とか抑えた

俺も何だかんだ言いいながらも異世界への冒険や不思議な力には興味がある


「それは詰まるところ、俺が死神の力を使えるようになるって事か?」

「はぁ?僕が大切な自分の力をそうそう他人に渡す訳ないじゃん!」


俺は苛立ち紛れに手元のカップを死神の顔面に向かって投げつけた

死神さんは人を小馬鹿にしたような笑顔で、カップをキャッチして言葉を続ける


「危ないなー、冗談だよ。ただ渡すのが死神の力じゃないってだけさ」

「なんだ、死神の力じゃないのか。残念だな、もし渡されたら即座に試したのに」

「ねぇ、それってもしかしなくても僕を狙ってるよね?」

「もちろんさぁ☆それよりも今はどんな力があるのかに興味があるぜ!」


そう言って急かすように俺はテーブルを叩いて、死神さんに催促する

若干呆れたような顔をしながらも死神さんは手元にボロボロになった紙の束を取り出し、俺の方に投げ渡した

紙の束は落ちてくることなく空中で停止した後、数十枚のカードに分かれ俺の周りを回り始めた


「おおう?なんだこれ?まさか、お前の名前はト○ル○イン・アル○ン○ラなのか!」

「僕は伊達男じゃないよ。それはお前が手に入れられる力を選べるようにしたヤツだ。カードによってそれぞれが別々の力を秘めてる。好きに選びな」


目の前を過ぎる様々なカード、チラチラと見る限り普通のトランプのカードも混じっているように見える

俺は少し悩んだ後、緑色に光っているカードに手を伸ばしてみる

すると手がカードに触れた瞬間、ドロッとカードは溶けて身体の中に浸透するように消えていった

あわてて手を引っ込めるが身体に異常は無く、何かしらの変化もない

次は別のカードを選ぼうとして、目の前のカードが殆んど消えていることに気が付いた


「おーい死神さん。俺はまだ一つしか選んでないのに消えてるのがあるぞ?」

「あーそれ?それはお前が選んだ力が何かしら限定的なものだったんじゃないの?まぁ、多ければ良いって物でも無いし普通だよ」

「そうか、ところで残り5枚なんだが俺が最初に選んだ力は何だったんだ?」

「えーと、なになに?『風限定の最強魔力』だってさ。残りのも『風』に関する力みたいだね」


風、それは世界に吹く気侭な旅人

風、それは魔法で言うとあまり強そうなイメージがない


なんて言うことだ!偉大なる魔法使いのネ○先生でも最終的に使った魔法は雷だって言うのに!

もちろん、風の上位が雷なら進化とか強化の可能性も残っているだろう

だが、『風限定』ってのはどうなんだ?雷は風に入るのかと聞きたい。教えて○ギ先生!


「ちなみに死神さん、この力を最初から選びなおすって事はできますかね?」

「あ、ごめん無理!だってお前は既に選んじゃったんだから!諦めな!」

「ちくしょお!俺は風よりも水とか氷とか雷の方が好みだったのにー!」


うがー!と効果音が付きそうな勢いで残っているカードの内一つを叩く

軽い機械音がした後、カードは空気に溶けるように揺らいで消えていった


「・・・あれ?なんで消えたんだ?力って言うのは外れもあるのか?」

「それはアクティブとパッシブの違いさ、常に発動しているのは身体に溶ける、自分の意思で発動するのは身体を包み込む。そんな感じで僕が個別に分けてあるだけだよ」

「そっか・・・、と言うか残ってるカードって全部選べるヤツなんだろ?いちいち叩く必要あるのか?」

「う~ん。まぁ、無いと言えば無いかな?でも、これが伝統みたいなところあるから気にしないでバンバンいっちゃおうか!」


言われるままに俺は残りのカードを叩いていき、合計6つの力を手に入れることになった

内訳は以下の通りになった

『風限定の最強魔力』

『風の基本魔法と応用』

『魔球共通言語習得』

『肉体強化』

『風の魔法優先』

『物体識別』


改めて見てみると風関連の力は確かに在りはするが、数が少な過ぎるのではなかろうか?

直接、風の魔法として機能しているのは実質1つだけ

他の2つの力は強力だが補助のようなものだし、残りの物は必須技能と言ったところだろう


「なぁ、さっきから質問ばかりで申し訳ないけど、風って不遇過ぎやしませんか?」

「えー?僕もそう思うけど、なんか風って使えるイメージが無いんだよね。だから、あんまり保有して無かったんだけど、今回はそれが仇になっちゃったようでゴメンね!」


別に俺だって風に「強い!」イメージは持って居ない

どちらかと言えば「弱い?」とも思ってしまっているほどだ


そして、それは死神さんも同じだったようで普段はあまり使うことも無いので基本的なモノしか習得していなかったようだ


「ああ、それと今回あげた力はもう要らないからお前に移譲してあげるよ」

「でも、強力な魔力とかも含まれてますけど、大丈夫なんですか?」

「へーきへーき、どうせ他に使い道が無いし、僕にとっては役に立たないから返されても邪魔だしね」


死神さんはヒラヒラと手を振ってテーブルの上の物を片付けると、黒い物体を出現させた

見た目は枠を縁取られた写真立てのような物だ、中には何も写っていない


「んじゃ、世界平和を目指すお前に死神たる僕からの選別だよ」


軽い言葉と同時に放られた黒い物質を受け取り、裏表と眺めてみる

後ろには開ける為の蓋や鍵が付いてなかったので写真立てではなさそうだ

手触りは良く、表面はツルツルとしているが一切光沢が無い


「渡されても説明が無いと全然わかんないな。何これ?もしかして鏡か?」

「おー、何だよ、良く分かってんじゃん!」

「いや、見た目からちょっと予想しただけだけど、当たってたのか。で、何に使う物なんだ?」

「まぁまぁ、持ってればいい事あるからさ。それじゃあ、世界の平和はお前に任せた!」


死神さんはバッと白い翼を広げ、辺り一面を穏やかな光で包み込んだ

光は俺の周りに集まり始めると更に輝きを強くして眼も開けられない程になる

意識を失う少し直前、死神さんが何かを言っていたようだが、うまく聞き取れなかった


こうして俺は期待と不安を抱えながらも異世界を平和にする旅に出発してしまったのだ

正直、俺だったら何にも警戒しないで異世界に行く自信がある

なんで警戒とかするんだろうね?あれか、ツンデレ

そんなに今の現実が好きな人間がいるのかね?

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