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喜劇前線地帯  作者: 遊楽
7/8

Vol.7 work and trouble


…物事を起こせばそれには結果があらわれる。それは人と人とのやりとりにもいえることだろう。

私とあいつとのやりとりはどういう結果があらわれるだろう。

…楽しみだ♪







大和

『疲れた…。とても疲れた』


僕は今、仕事場にいる。小さなスーパーマーケットの中だ。僕はとても疲れているが、バイトが終わったわけではない。まだ、始まったばかりだ。今は開店前で、新しい商品を並べている。


パートのおばさんA

「なんだか大和君、今日は疲れてるわね。何かあったの?」


 おばさんが僕にやさしく声をかけてくれた。僕は苦笑いで答える。


大和

「はは…。朝からいろいろありましてね‥‥‥」


今日の朝は、本当にいろいろ苦難があって大変だった。…命懸けの起床に、命懸けの朝食。…へそくりの一万円札との別れ。…勘違いの痴漢。そして、…勘違いの告白。今日だけで、一生の苦難を乗り越えた気持ちだ。


パートのおばさんB

「そういえば、今日から新しいバイトさんが入るみたいね。大和君や、妃奈ちゃんと同じぐらいの年の子だったわよ」


大和

「へぇ〜、そうなんですか」


だが、僕には興味なんてなかった。新しいバイトが入ったところで、『ひよ』という存在が僕と同じバイトをしているかぎり、僕の肩の荷がおりるわけがないからだ。僕はいつも何かと失敗や、余計なことをする彼女をフォローしている。彼女が失敗すれば、店長になぜか彼女じゃなく『僕だけ』が怒られるからだ。


妃奈

「おはよございま〜〜〜す!!」


あいつが来たみたいだ。よほど気にいったのか、猫耳をまだつけている。


大和

『今回はただの遅刻だから、店長に怒られるな……いい気味だ』


 噂をすれば、少し小太りした恐そうな店長が店のおくからやってきた。ひよを叱ろうとしているみたいだ。


大和

『ははっ、僕を困らせた報いだな』


僕は少し満足気にその様子を見ていた。しかし、少し様子が変だ。店長とひよがなにやら話しているが…ひよが僕をちらちらと見ている。さらに、店長も見ているじゃないか。そして、店長はこっちに向かってきた。顔が少し怒り気味だ。…なんで???


店長

「バイト君!!告白するなら、他人に迷惑をかけないでしたまえ!!!」


大和

『えぇっ!!?…朝の続きですか!?それに僕は告白していないって!!』


店長

「聞けば、君のせいで大宅さんが遅刻したみたいじゃないか!!」


僕は身に覚えのない疑いを妄想バカのせいにより、かけられているようだ。疑いを晴らさなければ…。


大和

「店長、それはですね…」


店長

「なんだ!!いいわけかね!!!まったく、最近の若者はこれだからいかん!!反省という気持ちはないのか!!?」


大和

『いやいや!!こちらの言い分も聞いてくれよ!!』


 僕は困った顔を店長にむけた。しかし、店長には僕の表情が気にくわなかったんだろう。


店長

「なんだね!!その目は!!!クビになりたいのか!!?」


さらに怒られた。

 僕はそんなつもりで向けたわけではないのに、かなり勘違いされた。


大和

『…やば!?

店長、顔が真っ赤ですよ!!湯気も出てますよ!!!』


僕はすぐさま素直に謝った。


大和

「すっ、すいませんでした!!」


店長

「次にこんなことが起きたら減給だからな!!!」


そういうと、店長は店のおくに戻っていった。…かっ、かわいそうな僕(涙)


妃奈

「も〜!!大丈夫〜!?」


大和

「大丈夫じゃないですよ…。ひよさん…(怒)」


怒りをむきだしにし、彼女のほうをむく。今、僕のまわりは殺気でいっぱいだろう。しかし、彼女はニコニコ顔だ。まったく僕の怒りに気付いていないようだ。…むかつく。


妃奈

「あはっ!!大丈夫そうだね!!」


大和

『こいつ…、一度殴って、その頭の中を直してやろうかな…』


僕がそんなふうに考えていると、いつのまにか店のおくに行ったはずの店長がすぐ横にいた。僕の顔から怒りが引く。


大和

「…てっ、店長!?なっ、何でしょう!!?」


店長は僕をじろりと睨めつける。まだ怒っていらっしゃるようだ。顔の赤みが抜けてない。僕は、涙目でチラリとひよを睨めつけた。しかし、ひよは僕のほうなど気付きもせず、店長の隣にいる人を興味ありげに見ているようだ。


店長

「君に今日から入った新人のバイトさんを指導してもらう」


大和

『うわ…、やだなぁ…。ひよのフォローだけでも大変なのに…』


僕は店長の隣にいた人に顔を向ける。女の人のようだ。髪を後ろで縛ってポニーテールにし、眼鏡をかけて、うつむいている。そして、その人が顔を上げた。


大和

「‥‥‥。」


 眼鏡をかけた少女は『ニコッ』と微笑んだ。


大和

「…ナンデココニイルンデスカ?」


その女の人は…、その少女は…、今、大和が一番会いたくなかったやつだった。大和の顔がこわばる。


店長

「知り合いなのか?」


大和

「彼女は…!!!」


眼鏡をかけた少女

「知り合いじゃないです。初めて会いました」


大和

『えっ!?』


 僕の返事を彼女は愛想の良い笑顔でさえぎった。そして、彼女の笑顔は僕が昨夜見た笑顔とは全然…違う??


大和

『あれ…?別人???』


姿はやつ本人なのだが、笑顔が違いすぎだ。何かを虐げる感じの笑顔ではなく、なんだか感じのいい笑顔。僕は本人じゃないような気がしてきた。


店長

「まあ、どうでもいいことだな。じゃあ、バイト君ちゃんと指導しろよ」


大和

「えっ!?…えぇっ!!!」


店長は僕に有無を言わさず、去っていっく。僕と眼鏡をかけた少女の視線が合う。彼女は今だに愛想の良い顔だ。そして、そのままお互いに動きなく、少し時が流れた。


大和

『なんか話さなくちゃ…』


しばらくして僕はそう思いはじめ、彼女に話しかけようとしたが…


妃奈

「あはっ!!きれいな人だね〜!!名前なんて言うの!?

バイト初めてなの!?

レジ打ちできる!?レジ打ち教えてあげるよ!!

わたしのことを先輩って呼んでいいんだよ〜!!!」


バカに邪魔された。…こいつは(怒)


大和

「おまえはまだいたのか!?しかも、バイト初めて一ヵ月もたってない、レジ打ちさえ満足にできないやつが先輩面すんじゃねえ!!!」


すると、ひよは頬をふくらませて口を尖らせた。どうやらこれで、怒ってるつもりみたいだ。まったく恐くもない。


妃奈

「十七年間一度も彼女ができたこともないヤマトくんに言われたくないよ〜だ!!!」


大和

「うっ…、うるさい(涙)!!そんなこと関係ないだろ!!!」


関係ないことだったが、僕は悔しかった。涙が少し出かけた。ひよは舌をだし『べー』っとすると、仕事をしに店のおくへとむかっていった。


 再び、大和は眼鏡をかけた少女と二人だけになる。彼女はさっきとまで違い無表情だった。


大和

「‥‥‥。」


眼鏡をかけた少女

「‥‥‥。」


大和

『‥‥こっ、‥‥この感じはどこかで‥‥‥』


目の前の彼女の表情を見てみる。そして、僕は目を背けた。認めたくない事実が、目の前にありどうすればいいのかわからなくなる。


大和

『…違うよな!…違うよな!!…違うよな!!!

そんなわけないんだ!!!!

だっ…、だって笑顔が…。

‥‥‥。

‥‥‥そうだ!!!

名前を聞けばいいんだ!!!‥‥‥そうさ、‥‥彼女がやつのわけがない‥‥。

…やつはあんな人のよさそうな笑顔なんかしてなかった!!

よし!!!

…聞いてやる!!

…聞いてやるぞ!!!!』


僕はとても悩んだすえに恐々と名前を……聞いた。


大和

「…あの〜…、‥‥おっ、…お名前は‥‥‥なんて‥ぃぅ‥‥で‥すか?」


 すると、彼女はさっきとまったく違う、大和が見覚えのある何かを虐げるような笑顔をした。


眼鏡をかけた少女

「ふふっ…。私のことを忘れたのか?私だ。幸…だ」


大和

「‥‥‥。」


大和は固まった。しばらく、固まってようやく口を開ける。


大和

「…なっ、…なにを…してるですか…?」


 少女は『ニヤリ』と笑いながらいった。


「暇つぶしだ♪」


大和

「‥‥‥。」







このとき、大和は心に強く思った『遊ばれる』と…。




To be continue


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