Vol.6 =confession of love?=
人は楽しいと思えれば楽しいし、悲しいと思えば悲しいくなるもの。だから、いつもプラス思考なら人生を簡単に楽しめるんだろう。
でも、彼はすぐマイナス思考になるから人生楽しめてるのかな…。
ただいま六時半ぴったしだ。早朝とはこういうものを言うんだろう。空気が冷たくて、気持ちいい。ランニングをしているおじさんが向こうからかけてくる。新聞配達の青年が自転車を走らせていく。トランシーバーみたいなのを持って、フードをかぶっている人?もいる。それ以外にも数人、散歩や出勤をしてるようだ。
僕は軽く背伸びをした。
大和
「ふぅ…。少し早いかな」
僕は仕事場にむかっていた。バイトの場所は小さなフリーマーケット。いわゆる、スーパーの店員をしている。だが、このバイトはあまり好きではない。なぜなら…
女の子
「あぁっ!!おはよー!!ヤマトくん!!」
彼女がいるから。…彼女が僕と同じバイトをしているからだ。
僕は苦手な敵キャラに出会ってしまったようないやな顔をして、ニコニコ顔の女の子に返事した。
大和
「おはよう…、ひよ」
女の子
「あははははは!!なにその顔〜!?変なかお〜!!」
大和
『余計なお世話だ』
彼女の名前は大宅 妃奈。僕のいとこである。身長は僕より10cmぐらい小さく、さらさらしたショートヘアーをしている。頭にはいつもと違って、猫耳がはえている‥‥‥。‥‥‥猫耳???
まあとりあえず、年は同じ。見た目は、そこらの活発そうな女の子とたぶん変わりはしない。だが、彼女が漂わせるオーラとも呼べないものは、とても軽く、無駄に明るすぎる。
そんな彼女に気になってしかたない猫耳のことを聞いてみた。
大和
「どうしたんだ、その頭の耳…?」
妃奈
「可愛いでしょこれ!!家の前に落ちてたんだよ!!!あはっ!!」
彼女は何がうれしいのがニコニコ顔だ。
大和
『何が『あはっ!!』なんだ。それより、そんなあやしい猫耳を拾ってかぶるなよ…』
まったく彼女が理解できない。理解したいとも思わないが…。
妃奈
「あははははは!!そういえば、ヤマトくんは何でこんなに早いの〜!?」
その時、妃奈だけに聞こえる大きさで猫耳から声がした。
猫耳
〈……大和は愛を告げるため、あなたを待っていたらしいぞ…〉
妃奈
「えっ!?…やっ、ヤマトくん、わたしに愛の告白をするために待ってたの!!?
キャーーーーー!!!!
えっちぃぃーーーーー!!!!」
大和
「はぁ!!?」
彼女は意味のわからないことを言いだした。だから、彼女はいやなんだ。いやそれより、彼女は自覚はしてないだろうが、彼女の悲鳴にも聞こえる大きな声はまわりの人達に聞こえたようだ。みんながこちらを、僕を、冷たい視線で睨めつけてくる。
大和
「えっ!?…えぇっ!!?」
今、彼らから見える僕は目の前にいる女の子に痴漢をしたやつに見えているんだろう。…無実なのに(涙)
大和
「…ちっ、違います!!!僕は何もしてません!!!!ひっ、ひよ!!!あの人達に『誤解だ』って言ってくれ!!!!」
僕はあわてながら、妃奈に助けを求める。彼女もまわりの人達に気付いたようだ。彼女の顔が真っ赤になっていく。彼女はその頬の赤を隠すように、手をそえて言った。
妃奈
「あっ!?ごっ、誤解だよ!!!」
大和
『そうそう…、わたしがふざけていただけですって』
僕はホッと肩の力を抜いく。だが…
妃奈
「ヤマトくんはわたしに愛の告白をしたの!!!キャーーーー!!!」
大和
「‥‥‥そうそう、僕がひよに愛の告白をーーー…って違うだろ!!!!」
ここに新たな誤解が生まれた。そして、彼女の妄想は暴走をはじめた。いや、はじめていた。
妃奈
「ヤマトくんが、わたしのことをそんなふうに思ってたなんて知らなかったよ!!顔を会わせるたびに、ヤマトくんが顔をおもしろい顔してたのは、わたしに対する恋心を隠すためだったんだね!!!」
大和
「そんなわけないだろ!!!僕のおまえへの恋愛感情など、この世に存在してなーーーい!!!!」
僕の否定の言葉など彼女には聞こえておらず、何を思ったのか、彼女は恥ずかしそうな顔をする。
妃奈
「照れなくても大丈夫だよ、ヤマトくん!!何も言わなくてもわかってるから!!」
大和
「全然大丈夫じゃないだろ!!!話を聞けーーーー!!!!」
再び猫耳から妃奈だけに聞こえる声がした。
猫耳
〈……だが、あなたにはこのバカより、いい王子さまがいる…〉
妃奈
「あはっ!!そうなんだよね!!わたしにはいつか、白いリムジンに乗った、すごくかっこいい、すごいセレブな王子さまが迎えにくるんだよ!!
だから、ヤマトくんの気持ちはうけられないの!!!
ごめんね!!」
大和
「てか、断るのかよ!!!?」
彼女のなかで知らない王子さまに負けて、僕は失恋した。なぜか、悔しい。いや…、腹立たしい。むかついてくる。だが、僕は怒りを沈め、冷静になった。
大和
『落ち着け、僕があいつの相手などしなければいいんだ。
…それに良かったじゃないか。とりあえず、この妄想バカに勝手に告白を受けられなかったし』
そう自己暗示をして、ふっとまわりを見る。いつのまにか、たくさんの人が集まっていた。そして、まわりのみんなが妄想バカに失恋した僕をみている。哀れな目で…。
大和
「何でこうなるんだよ!!!おい、ひよ!!!この新たな誤解を解けーーー!!!!」
しかし、妃奈は妄想に忙しかった。猫耳からのまたまた声がする。
猫耳
〈……王子リチャードが来たみたいだ…〉
妃奈
「あはっ!!遅いよリチャード待ってたんだから〜!まったく、お寝坊さん♪」
大和
「おい、ひよ!!!聞けよ!!!」
だが、彼女はいっこうに妄想世界から抜け出さない。誰もいないほうへしゃべりかけている。リチャード?にメロメロらしい。僕はそんな彼女をみて、妄想に生きている彼女に助けを求めるは無駄だとわかった。だから、僕はこの場から去ることにした。
大和
『…クッ、…なんでこうなるんだ!!』
僕は哀れな目で見る人達の間をかけていく、涙をながしながら…。言っておくが、ふられたから涙を流してるわけじゃない。なんで僕がこうなるのかわからず悔しく、悲しいから流してる涙だ。
走りはじめると、まわりの人達が声をかけてきた。
おじさん
「人生、生きてればいいことあるさ」
哀れな目で見るおじさん。
お兄さん
「頑張れ、少年」
哀れな目で見るお兄さん。
少女
「笑えたぞ、バカ♪」
愉快そうな目で見る幸さん。
みんな僕に声援を送って‥‥‥。
大和
「…ってちょっと待てぇー!!?いつからそこに!!!?
……あれ?」
僕が振り向くとそこにみえたやつの姿はなかった。
大和
「‥‥‥。そうだ…、疲れてるんだ…。僕は何もみてない…。‥‥‥‥はっ、早くいこう‥‥。」
僕は認めたくない事実を胸に抱き、妄想に浸ってる彼女を残し、その場をあとにした。
実は少女が猫耳から妃奈をあやつっていた。そして、その場の人々にまぎれ隠れていた少女ニヤッと笑う。フードをかぶり、片手にはトランシーバーのようなものを持っている。
少女
「さて、次に行くか♪」
少女はそう言うと、少年が向かった方向にうれしそうにかけていった。
後日、少年が一人の女の子に告白した噂が学校中でひろまった。…哀れ、少年。
To be continued
Vol.5で春妃の名前を春奈と間違えてしまいました。すいません。