勝手にトライアングルレッスンthe First〜初めての〇〇〜初めてのキャンプ
初めて参加します!
ちょっとテイストが、違うかもしれませんが…
楽しんでいただけると嬉しいです。
ちなみに、オレで喋ってるのがたくみ、俺で喋ってるのがひろしです。
「えーーー!?どーすんだよ!!!」
たくみの絶叫で、私とひろしは事件が起きたと知る。
夏休みだし!大学も、3年生になったんだから!!車の免許も取れちゃったんだから!!!と、いつもの3人に、たくみのいとこ2人も一緒に少し遠くのキャンプ場でコテージを予約した。
のだけど、、、どうやら雲行きが怪しい…
「むさしが熱出して、看病してたおばちゃんがぎっくり腰!?お前も来れないって、、、どー言うことだよ!!!当日だぞ!?」
たくみが叫んでるけど、これはもう仕方ないよね。と苦笑するひろしと私。
電話を切った後で、3人で話し合う。
もう食材も買い込んでるし、コテージだってキャンセルするのはもったいない…
「じゃあ…3人で行くか!!!」
たくみがお父さんに借りた車に荷物を運び込み、私たちはワクワクしながら乗り込んだ。
「最初はオレ運転するー!ゆいこ、助手席な」
と、たくみが運転席へ。人さし指で鍵なんか回しちゃって、さっきとは打って変わってゴキゲンな様子。
ひろしにゴメンと断って助手席に乗った私は、途中でひろしに交代するまで、あくせくとたくみのお願いをこなし続けた。
「ゆいこ、ちょ、これ開けて?」
「ゆいこー、なんかお菓子ない?」
「あ、そのチョコうまそー!一個ちょーだい?」
目は前を見ながら、信号待ちの間に顔をこちらに向けて口を開けるたくみ。
しかたないなぁ、と指でつまんだチョコを、
「あーん…」
とたくみの口に入れようとすると、勢い余ったのか指ごとパクリ。
「うっま!!」
指に触れた唇の感触にドキッとしたその瞬間、後ろでゴトンと音がして、我に返る。
「ひろし?どしたの?大丈夫??」
「あ、あぁ、大丈夫だ。ペットボトル落としただけだから。」
動揺を隠しながら話してるらしいひろし。なんで?
「あ、ひろしも、このチョコ食べたかった?あとで運転変わったら食べさせてあげるね!」
と気が利かなかったことを反省しながら伝えたら、またしてもゴトン。
「…ホントに大丈夫??」
「あ、あぁ。大丈夫だ。。。」
ふと横を見ると肩を震わせながら笑いをこらえてるたくみ。
聞いても「なんでもない」としか返ってこない…
私、何かした?
「ついたぞ。」
こじんまりしたログハウス調のコテージの前に、ひろしが車を止めた。
無事キャンプ場に到着した私たちは、コテージの探索もそこそこに、車から荷物を運び入れ、冷蔵庫に食材を入れたり、フライングでビールを開けてるたくみをたしなめつつ、料理を始めた。
「オレ、カレー作るの久しぶりかも…え、最後っていつだっけ!?」
「中学の宿泊訓練で、みんなで作ったけど。俺はその後自分で作ってたよ?最近もたまに作るけど。」
「うぇ!?お前、料理してんだ!!今度食べに行くからなんか作ってよ!てかさ、ゆいこは作れないの?」
包丁をせわしなく動かすひろしに、缶ビール片手に絡みだしたたくみの矛先が、急に私に向いた。
「な、きゅ、急になんで私なのよ!!」
あまりに急な方向転換だったから、動揺を隠せずにひっくり返った声で答えたら、2人は吹き出した。
「慌てすぎw大丈夫だよ、オレ別に作れなんて言ってないじゃん(笑)」
「そうだ、人には得意不得意があるから…」
黙って差し出した手に、ひろしは包丁をそっと乗せた。
「お、おい。ケガすんなよ?ただでさえトラブルだらけのキャンプなんだから…」
「大丈夫だよ、任せといて!」
たくみとひろしは後ろからそっと見守ってくれた。
生暖かい視線を感じながら、私はせっせと野菜を切って鍋に放り込む。
いろいろあったカレー作りだけど、見事美味しく作ることに成功した。お酒の空き缶が増え始めた頃に、たくみがしたり顔で取り出したのは、、、
「じゃーん!!夏といえば、花火でしょ!?ここ、花火やっても大丈夫なんだって!!」
「えー!!!やりたいー!!花火大好き!!」
はしゃぐ私たちの横で、ひろしは手際よく水を張ったバケツを用意して、3人で外に飛び出した。
「すごーい!!たくみ4本も持ってる!!!」
花火でも性格は出るもので、たくみは毎回、何本も同時に火をつけて、ブンブン振り回してみせるのが好きで、対してひろしは、一本を十分に堪能する。私は、花火に火をつけるのがなかなか苦手で、タイミングも悪いし、蝋燭の火も消しちゃったり。その度、ひろしが火をつけてくれる。
「たくみがいっぱい火をつけるから、わたしあんまりできなかったなー…」
「え、ホントにオレのせい?」
茶化すたくみに、むくれる私。
「ゴメン、ウソだよ。言い過ぎた。」
髪をかき混ぜるようにワシャワシャと撫でる。
そんな私たちにせっせと線香花火を渡しながら、ひろしが言った。
「じゃあ、願い事をしながら線香花火をやらないか?」
せーので火をつけて、最後まで残った人の願いが叶うというジンクスに乗っかろうと、ひろしにしては珍しくロマンティックな提案。
「面白そうじゃん!やろうぜー」
「負けないんだから!!」
「さ、ろうそくも用意できたぞ」
私たちは、せーので火をつけた。
パチパチッ…パチッパチパチッ…
大方の予想通り、序盤でたくみの花火が一番に落ちた。
なんと不運にも、こんなタイミングでくしゃみが出てしまったのだ。
「あーあ、つまんねぇ…風呂入ってくる!!」
拗ねたたくみはブツブツ言いながら部屋の中に入っていった。
パチッパチパチッ
小さな火花を散らしながら、少しずつ上がってくる。
ーこのままずっと、3人で楽しい時間が過ごせますようにー
「…ように」
たくみがいなくなった庭はとても静かで、不意にひろしの声が聞こえた気がした。
その瞬間、ひろしの花火がポトリ、続けざまに私の花火もポトリと落ちた。
「あー、落ちちゃったねー…」
「本当だな。長く保ったほうだけど…」
「ねぇ、ひろしのお願いは何にしたの?」
思わず口からこぼれた言葉。
途端に、なぜだか罪悪感がよぎる。
今、当たり前に自分と同じことを願ってくれたと思った。
そうじゃないかもしれないのに。
そう思った瞬間、私は視線をひろしから外して、背を向けて立ち上がった。
「ごめん、今の無し。」
「決まってるだろ?」
背後から聞こえるひろしの声がとても優しく響く。
「ゆいこと…」
ひろしが言葉を紡ぐ瞬間、突風が二人の間を吹き抜けた。
「…っ!!すごい風だったね!!」
振り向いたら、プッと吹き出したひろし。
「え、なに?」
クスクスと笑いながら近づいて、差し出されたひろしの手がスッと唇に触れる。
「髪の毛、食べそうになってた。…俺の願い事は、ずっとゆいこと一緒にいられますように、だ。」
そう言いながら、すくい上げた私の髪を弄ぶひろし。
照れくさくて伏せた目を少しだけ上げたら、真っ直ぐ私を見つめるその目がとても優しくて。
なんだか心が掴まれたように、目が離せなくなった。
「あーーーっ!!何いちゃついてんの!?オレのいない隙に!!!」
首にタオルをかけたたくみが戻ってきた。
たくみとひろしはいつものじゃれ合いを始めて、わたしは「もう、しかたないなぁ」とわざと大きめに言って、空を見上げた
「うわぁ…」
思わず声が出るぐらい、満天の星空。
首が痛くなるのも構わず、ずっと見つめていたいと思うほど。
「あ、流れ星!!!」
じゃれ合っていたはずのたくみが、流れ星を見つけて、絵に描いたようなお祈りポーズで立っている。
「たくみ、何お願いしたの?」
「内緒ー!言ったら叶わなくなるじゃん?」
「えー、誰にも言わないからー!!」
「嫌だね!笑 教えてあげないよーだ!」
今度は私とたくみがギャーギャー言う番で、ふと見ると、ひろしは花火でいっぱいになったバケツを持って部屋に入るところだった。
「ひろし、待って!ありがとう!!」
そう言って追いかけようとした私をガシッと捕まえて、後ろからそっとハグ。肩の上に顎を乗せて、
「また、来ような。今度は2人で…」
と、耳元で囁くたくみ。
「たくみー、このゴミはどこに入れるんだ?」
「あー、それは…ちょっと待ってよ、っと…」
たくみは素知らぬ顔でひろしのもとに走っていく。
不意打ちの体温と囁きに赤くなった頬のせいで、わたしはしばらく星空を眺めるしかなかったのだった。
おわり




