7話『僕たちはまだ旅の始まりにいる』
「よーし!今日は狩りに行くぞー!」
朝、宿の扉を勢いよく開けながら、オーディンが叫んだ。
「……何の用だ、オーディン。朝からうるさい」
前までは鳥に起こされていたが、今日からはこのうるさい男に起こされるのか…
「レベル上げに行くんだよ!昨日のヘローとの戦い見て、俺ももっと強くなりたいと思ってさ!」
「急にやる気出してどうした。脳筋らしくないな」
「誰が脳筋だ!」
横からアリスが出てきてくすっと笑っている。
「でも、強くなるための努力は素敵だと思うよ?」
「ほら見ろ!アリスもそう言ってる!」
(アリスが来てから、オーディンのテンションが明らかに高い気がする)
「……まあいい。どこへ行くつもりだ?」
「西の森の奥だ!魔物の巣窟があるってギルドの掲示板で見たぜ!」
西の森──たしかに、魔物の巣窟があるという噂は聞いていた。初心者には少しきついが、冒険者としては丁度いい腕試しの場所でもある。
「そこ、けっこう強いの出るって聞いたけど……大丈夫かな?」
アリスが不安げに呟くが、僕は静かに頷いた。
「僕がいるから大丈夫。必要なら、超越する」
「お、おう……頼りにしてるぜ、ファルカ!」
◆
西の森の奥は、昼間でも薄暗く、木々の間から不気味な風が吹き抜けている。
「来たな……!」
「うわ、本当に空気が違う……」
「気をつけろ。出るぞ」
ズズン……!
森の奥から、巨体のイノシシのような魔獣が姿を現した。背中には棘があり、目は真っ赤に光っている。
「なんだこいつ!? でけぇぞ!」
(種別:魔獣系/スキル:突進・咆哮/構造:突進依存型/弱点:側面への回避)
「オーディン、右から回れ。アリス、左へ。僕が正面を引き受ける」
「了解!」
「ま、任せて!」
作戦通り、僕が正面で引きつけた瞬間──オーディンの剣が魔獣の横腹を切り裂き、アリスの光魔法が追い打ちをかけた。
「よっしゃああああっ!!」
バタリと倒れる魔獣。
「ふぅ……これが、初めての本格的な連携戦かもな」
「やった……ちゃんと、戦えた……!」
「お前ら、ナイスだ!」
──僕たちの旅は、こうして少しずつ本物の“パーティ”になっていく。
……
「さてと…」
ここが魔獣の巣窟なのを忘れていた。
一体倒しただけでまだまだ沢山いる。
さて、どうするか…