14話『魔に導かれし者』
大魔導士『ルーザ』。
かの有名な魔法使いで
彼女はこの世の全てを知っているらしい。僕は、戦うのは好きではないが未知を探すのは大好きだ。
だから僕は彼女に会いたい。
「よーし!Bランクに昇格だ!」
「ああ、そうだな」
「やったね!」
ドスカルチョを討伐し、僕たちはBランク冒険者と昇格した。
Bランクになることによって色々とできることが増える。
まずは集会酒場の解放。これは多くのBランク以上の冒険者と出会える場所だ。他にはアコール砂漠、スメイド海岸、チュートン火山が解放される。ここには強力なBランクの魔獣がいる。
「せっかくBランクになったんだしさー!」
「前まで行けなかった所行こうぜ!」
「集会酒場とかとうだ?」
集会酒場…名前を聞いただけでどんな場所かがわかる。
どうせうるさいところに違いない。
だが今とそう大差はないだろうが
「わかった。行くだけ行ってみよう」
「よっしゃー!決まりだな!」
「ふふ、ファルカさんが珍しく乗り気ですね」
「全く、やはり面倒ごとに自ら飛び込んでしまう性格なのかもしれない……」
僕たちはギルド内にある、Bランク以上専用の“集会酒場”へと足を踏み入れた。
そこはまさに、強者の集う空間だった。
空気が違う。
武器に手を置いたまま会話する者。
目を合わせただけで静かに牽制し合う者。
言葉よりも“気配”が支配する、そんな場所。
「す、すげぇ……雰囲気が全然違う」
「緊張感がありますね……でも、少しだけワクワクします」
その時だった。
「……“ルーザ”という名を聞いたことはあるか?」
背後のテーブル席から漏れたその言葉に、僕の意識が反応する。
「え?」
思わず振り返ると、ローブを纏った中年の男が地図を広げながら仲間に語っていた。
「アコール砂漠の奥地に“白い塔”が現れたという噂だ。どうやらそこに、かの大魔導士が現れたらしい」
……アコール砂漠。
なるほど、早速次の目的地が決まったようだ。
全く、やはり僕は静かに暮らすことを許されない。