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超越者はただ静かに暮らしたい  作者: りーく/Leak
燃えぬは、草木の魂か
10/28

10話『《災厄の王》、降臨』

あと少し…

30秒だけなんだ!


「ファルカ!まだー」


「こっちも…大変」


待ってくれ…

こっちも…

だが弱点はわかった。

あと20秒


ウギャァァァァ

ドゥーラが吠える。

地が揺れる。


嫌な予感がしてきた。


「なに!?」


「地面から…何か!?」


轟音と共に、地面を突き破って現れたのは――

黒い、まるで柱のような一本角。

いや、違う。あれは――脚だ。


「え、まさか…ドゥーラって……!」


ドゥーラの身体が、ゆっくりと浮き上がる。

その巨体の下に、さらにもう一対の脚と、異形の胴体が姿を現す。


「第二形態……だと?」


(マズい。解析進行中だってのに、形態が変われば――)


(データが全部、リセットされる……!?)


【超越解析、進行度:2%に低下】

【新たな部位構造を確認。再構築中――】


「ふざけるな……!」


怒りが沸き上がる。

だが、冷静になれ。焦るな。今度こそ――超えてみせる…

いや、冷静になれるわけが…


そこに映るのはもはや絶望そのもの。


黒く染まった空を切り裂くように、四枚の翼が広がる。

雷のような音を立てて羽ばたくたびに、灼熱の風が吹き荒れる。


「でかすぎる……!」


「これが、ドゥーラの本当の姿……」


異形の胴体には、無数の目玉が浮かび、黒炎を纏った尾が地を焼いていた。

全身を覆う鱗はより硬質に進化し、もはや普通の攻撃では通じないことが明らかだった。


【新たな属性:重力・腐食を確認】

【ドゥーラ第二形態――“災厄の王”】

【対応難度:SSSランク以上】


「笑わせんなよ……」


膝が震える。

アリスは魔法の詠唱を止め、ただ呆然と空を見上げる。

オーディンの剣は、あまりの威圧に震えていた。


でも――僕は、諦めない。


(超越魔法は、まだ消えてない)

(あの3%のデータは、形を変えただけで消えてはいない)


「見つけたんだ。お前の核を」


「ファルカ……?」


「時間を稼いでくれ。次は、“本当に”決める」


アリスとオーディンが顔を見合わせ、うなずく。


「了解。こっちは任せろ!」


「絶対に決めてね、ファルカ!」


目を閉じる。世界が静寂に沈む。

そして――


「超越再構築――《ドラグ・ブレイク》」


放たれるのは、“核”を破壊するために最適化された一撃。

黒龍の心臓を、貫くための魔法。


これで…


なっ…

逃げ…た…

なぜだ、なぜそんな強大な力を持っていながら。

敵前逃亡を…

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