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異聞クトゥルフ神話探索記  作者: 変だ、損
朽ち果てる羊は楽園の夢を見るか?
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品性とは衣食住の上に成り立つもので

そうして、現在引きずってきている元ゾンビとの遭遇地点に戻って来たのだが。

自分の想定は、ハズレていたことが判明した。


「おかしいな、死体が消えてる。」


ゾンビとの戦闘で時間がとられてたとはいえ、まだ20分も経っていないのだ。

最初は、ネズミか何かに食べられて無くなったかと思ったのだかそれだと装備が消えていても不思議ではない。

しかし、そこに残っていたのは血痕すらもありはしなかったのだ。


ということは、他の要因があるはずだと首無しゾンビを壁に立て掛けいろいろ辺りに痕跡が無いか探ってみたのだがなんにもなかったのだ。


そんなこんなで、時間を浪費していたのだが

ふと、ゾンビが光っているのが視界の片隅に写った。


「なんだとっ!?」


まだ、倒しきっていなかったのかと臨戦態勢をとったのだが、ゾンビは何事もなく黄色のポリゴンとなって消えていった。


すると同時にレベルが上がったというアナウンスがあった。


慌ててステータス画面を呼び出し確認してみたが確かにレベルが1から2へと変化を遂げていた。

ゾンビが居た場所には恐らくドロップ品が落ちていた。

何がなんやら分からなかったが、とりあえずドロップ品を確認しよう。


「えーと、「ゾンビの腐肉」テキストを確認する限り一様売れるっぽいな。まじ?」


それよりも、気になることがあった。

それは、何故殺られたはずのプレイヤーとおぼしき死体はすぐにポリゴンとなって消えなかったか?というものだ。


ゾンビはまだ分からないでもない。首から上がどこかに転がってもやられていないだけで戦闘が終わっていなかったからと説明がつくのだが。うーん?


「分からんことを永遠と悩んでも仕方ないしとりあえず出口を探ろう。」


恐らくだが初期スポーンのとこに行けば何らかのクエストが発生して説明があるだろう。何より、無かったら無かったでこのゲームではそういう仕様ということで納得するしかないのだから。


ぐぅうう~


「.........」



それよりも、直近でどうにかしないといけないこどがあることが先ほど判明した。

このゲーム、腹が空くのだ。

それに喉も乾いてきた。

何より、俺の現在いる場所はまともな食糧、飲料が無さそうな下水道。


「その前に、食糧確保を優先目標にしてついでに出口を探すか。」


いざとなれば、リスポーンをすれば良い話で

生憎の初期装備、失って困るものなどありはしないと思う。

下水道とはいえ、ネズミやコウモリがいるはず。

実際、臭いに慣れる際にネズミは見かけている。ゾンビ肉に比べれば食べれないことはないはずだ。


「最悪も最悪、餓死するぐらいなら一縷の望みにかけて喰うしかないだろうが...。」


若干の不安もあるが俺は覚悟を決めてこの薄暗い下水道からの脱出を開始した。







「想定外にも程がある.......これは困ったことになったな...........」


この下水道を彷徨い始めて四時間が経過している。幸いといっていいのかわからないがどういう原理で成り立っているかわからない時間加速システムとやらでこのゲームでの時間は現実の三倍速となっているため夕食の時間までにはまだ余裕があるのだが如何せんゲームの中のクオンは今日の飯すら危ない状況になっている。

俺は自らの運のなさに天を仰いだ。天を仰いだとはいえ頭上にあるのは相変わらずの汚い下水道の天井だけなのだが。


彷徨えど彷徨えど出会うのはゾンビやスケルトンばかり食べられそうなMOBはほとんどおらず運良く見つけても物凄いスピードで逃げていくのだ。しかもである、この下水道結構広いうえに複雑で目印を残していったのだがもう自分がどのあたりにいるのかさっぱりわからない状況になってしまった。


まあ、不幸中の幸いといっていいのかわからないがドロップアイテムは結構集まった。レベルもそこそこ上がっている。

しかし、もう俺にはステータスをのんびりとみる余裕はなく恐らくだが飢えと渇きが限界になったのが影響しているのであろう眩暈や平衡感覚の消失に襲われている。


言葉も話すのが億劫になってきている。そして、そんな状況で取り出した初心者用アイテムである火打石と自らの装備である服を燃やして作った焚火を前に俺は半裸の状態のまま「ゾンビの腐肉」に適当に拾った流木で串刺しにしたものを握っていた。


「これが人肉バーベキューか...........。」


ぼそりと呟いてみたがむしろ飢餓感は増すばかりで、こんなのですら美味しそうに見え始めてしまった。

僅かな理性がこれを食べると人として終わるような気がするとささやいてくるが、既に好奇心と飢餓感に正気を失いかけている俺はゲームだからこそ味わえる既に腐っている人肉を火に通してマナーも衛生観念も投げ捨てて齧り付いた。






しかし、腐っているうえに清潔でない場所でそんなことをすればどうなるかなど言うまでもないかのように俺は意識を刈り取られることになった。









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