凪払う舞台風 其の十六
さて、今現在この旅館のようにしか見えないこの建物の中を先導するスコルの後をついて行っているのだが今のうちにどんなスキルへと再編するか考えておくといいと言われたため歩きながらではあるがスキルの調整に入る前にステータスの再確認をしておこう。
PN:クオン
種族:混血種(【規制済み】)
LV:41
JOB:探険家
740,400マネー
HP(体力):75
MP(魔力):12
SP(持久力):63
STR(筋力):106
AGI(速度):101
VIT(耐久):26
DEX(器用):51
POW(精神):41
INT(知力):6
CON(生命):51
TEC(技量):11
LUK(幸運):16
スキル
・危機探知LV.5
・サルベージウィップ
・貪喰剛健
・エクセスフルシュート
・飢餓暴走
・天地躍動LV.3
・デストロイウィップ
・リフレクトガード
・闘争本能
・アクセルLV.MAX
・カロリーフューエル
・リカバリーステップ
・クイックスラッシュ
・ジェットピアッシング
・ジャストパリィ
・サバイバーズガッツLV.7
・ランナーズハイLV.4
・鮮血の紋様LV.2
・天嵐暴打
・精神汚染耐性
・異界の目
・ディメンションシフトLV.MAX
・ディストーションウォーク
・ディヴィジョンエッジ
装備
左:異相の蛇腹剣
右:熱望する短剣
頭:祝福の鳥面(ティンダロスの呪詛)
腕:泥んこ掃除の防護服(上)
胴:泥んこ掃除の防護服(上)
脚:泥んこ掃除の防護服(下)
靴:泥んこ掃除の安全靴
アクセサリー:なし
称号
【ただのバカ】→【愚か者】(new)
【ジャイアントキリリング】
【共食い】
【共生せし者】
【邂逅せし者】(new)
【【規制済み】】
こうしてみるとなかなかにスキルが増えたものだ。一応今のところこの状態でも十分扱えてはいるのだが…、いちいち戦闘中に細かいバフ系統のクールタイムを脳内で計測するのがきつくなり始めたし、ユニークモンスターと戦うことになるのならより高倍率だったり脳の処理を軽くしておく方が有利になることが多いだろう。少なくとも俺はセンチネルミリピードと戦っているときはそう感じた。
ちなみにステータスはスキルの整理、武器の新調の後で細かい調整を重ねるつもりなのでスキル上げデスマーチ特化のモノに現在は配分してある。
「確認し終えたか、お前さん。」
見計らったかのように声をかけてきたスコルはいつの間にか銀色に鈍く輝くオールのようなもの(なお3メートルサイズ)を軽々と担ぎ、白と黒のモノクロカラーで構成された巫女服のような服装に変わっていた。
「ああ、確認は終えたんだがどうしたその恰好。」
「ん。まあ、正装みたいなものというかスキルを効率よくいじくるための特殊な道具さ。」
「なるほど?それをいつ、どうやって使うのかは分からないがとりあえずは理解した。」
「さて、そろそろ再編するための場所に到着するがなんか質問あるか?」
「なんかこう、このスキルとこのスキルを掛け合わしたらこうなりますよみたいな目次とかないか?如何せんスキルが多いし、相性の悪いスキルがあるかもしれないし…。そういったものが在ると助かるんだが…。」
「んなもんねぇよ。他の店なら自主的に選べたりできるかもしれないが生憎私流じゃそんなことはできない、というよりはしないね。」
どういうことかと詳しく聞いてみると、一般的なスキルの再編は似た系統のものを組み合わせより強力なモノへとなる代わりにレベルがあるスキル同士でなければ成功しない。勿論合成先のスキルがどういったもんかわかる形式であるらしい。ならそちらの方がよいのではないか?そう尋ねたところ鼻で笑われた。
曰く、本人にとって最適であるかも分からずに再編するなんて無駄もいいとこだ、らしい。
スコルの方式ではそういったレベル同士などの制約が一切存在せず本人に最も適したスキルへ昇華させるそうな。しかし、その代わりと言っては何ではあるが誰も知らない当人だけのオリジナルスキルが発現することもあるのでスコルにもどうなるか分からないから目次じみたものがそもそも作りようがないそうな。
「まあ、一応他のところと同じようにスキルの再編もしてやらんことにはないが…。どうする?」
まるで試すかのような目線をこちらへと向けてきているが俺の答えはとうに決まっている。
「浪漫のある方に決まってらぁ!」
「そういうやつだと思ったよ。でなきゃあ今の今まで正気なんざ保てているわけないものな。」
そう返答すると同時に担いでいたオールのようなものをとある方向へ向けた瞬間、廊下の奥の方にある恐らくだが再編を行う場所であろう所の大きな生き物が口を開けたかのような妙に生々しい恐ろしさを伴った気配を漂わせていた分厚い門がばかりと開いたかと思うと俺は物凄いスピードで門の方へと墜落した。
「は?」
余りにも急なことで何が何だか分からず咄嗟にスキルを発動して体勢を立て直そうにもなぜか発動せず俺は激しい困惑に占められた声をこぼしながら門の先に或る慈悲にあふれた温かくどうしようもないほどの恐怖と嫌悪を感じさせる光へと飲み込まれていった。
飲み込まれる瞬間に、俺視点で壁に立っているスコルの姿を見てあのオールのようなものが俺の持っている銀の招待鍵に似ているなとどことなく思った。
「さあ、お仕事開始と行こうかね。」




