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異聞クトゥルフ神話探索記  作者: 変だ、損
朽ち果てる羊は楽園の夢を見るか?
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情報共有、場は大荒れ

「まず、今回ユニークモンスターたるハスターと対峙するにあたってレベルが高いプレイヤーと低いプレイヤーが必要かつなるべく少人数であることが望ましい。そのため、今回のメンツを鑑みるに勝算ができた。」


「うん?複数体いるのかい?こう、一定レベル間以外の攻撃を無力化するような分体的な?」


「いや、ハスターは一体だけで形態変化が問題なんだ、人数の問題もここにある。」


ほんほん、ゲームとかでありがちな人数に比例してHPが増える的なものが問題になっているわけじゃあなさそうだな。形態変化ねぇ?名状しがたきものとかいうたいそうな二つ名があるほどだしコロコロ移り変わったりして…。もしかしたらティンダロスの野郎にもあるんだろうか?


「ハスターの第一形態はどでかい龍のようなイナゴのようなよくわからない何かだ。この形態の時は基本的に大振りでかつ広範囲の技を扱う。ここでは一般的な龍の攻撃パターンを想定してもらうとイメージがしやすい。」


いつの間にか手配してあったのか店の奥からゴロゴロと音を立ててやってきた、この世界にはあまり似つかわしくない黒板に情報を書き連ねていく。

にしても、あんまりに気配が薄くてわからなかったけどここのマスター手伝ってくれてるな。できる大人って感じでかっこいいな。


「行動パターンがある程度わかっているのはありがたいですね。ヘッドギアタイプの奴だと意外と敵のモーションが見にくいですしね。」


「昔、不意打ちとかでやられまくっていた炭酸ココアの姿は爆笑ものだったねぇ。」


「そのあと前衛失った春夏冬がわたわたとやられていったのも忘れてないからね?」


「へぇ、喧嘩売ってる?いい値でかうよぉ?お金詰めたブラックジャックで女装の似合う女顔を整形してあげよぉかぁ?」


「ハハハ…。生憎空気も読めないお子様と喧嘩できるほど知能は一緒じゃないからね、やめておくよ。」


なんか、勝手にしやがれって感じだがそろそろルティマが書き終えそうだから静かにしようなぁー。


「なあなあ、クオン。あの二人いっつもあんな感じなのかい?」


「あんな感じで爆発しろみたいないちゃつきっぷりですけど、妹ごと万力のような力で抱きしめるのやめて欲しいんだが。HP減っているんだが。」


「そうだぞ、バカ姉。さっさと放せ。」


「そうはいかないよぉ。久々に弟たちと合法的に触れ合えてるんだ。放すわけないし嘘をついても無駄だからね。鑑定系スキル持ってるし、お姉ちゃんは弟たちをそんな嘘つきに育てた覚えはないよ。」


くっそ、相変わらずこういった調整がうますぎるんだよ。てか、お前に育てられた覚えはねえ。ってか知り合いにこんな間抜けな状態見られんのかなり恥ずいんだが?!ほら、クレイハートさんとか気まずそうに眼が泳いでるじゃん!ああもう力強いなホントに!くぅ、レベル差がありすぎる!


「すまんが、用意ができたので静かにしてもらえると助かるのだが…。」


うん、ホントにすんませんでした。ってか挿絵まで書いてたんかい。わかりやすくて助かるけど相変わらず画風がファンシーすぎて力が抜けるっつてもなんかすげー禍々しさが感じられるんだが。

てかさっきまでめっちゃ暴れても放してくれないし....…もうあきらめよ。俺より身体能力高めじゃないだろう妹はもうとっくにSP切れかぐったりしてたしおとなしく解説に集中した方が建設的だな。


「まずは、ハスターとの戦闘の際前提となる効果がフィールド全体に広がる。それは、あらゆる存在の消耗を増加するというものだ。実害としては、直接的なダメージは例外なのか影響を受けないのだがスリップダメージ、武具の耐久値の減り、行動する際のSP消耗、スキルなどでのHP、MP、SPなどの消費量など多岐にわたる。特に注意すべき具体例は瞬間回復するアイテム・魔術は余り影響を受けないが継続回復の類は本来の半分ほどしか効果がでないだろう。それと空腹値だ。戦闘は少なくとも三十分は想定されるから満腹でない状態なら空腹で戦闘不能に追い込まれることは以前戦闘したときの敗因にもなった。ハスターの技はすべてこの効果が最大限に生かされるものばかりとなっている。」


「あー、お兄ちゃん早くてよくわからなかったから要約してくれない?」


「つまりだな。」


「うん。」


「資材を目一杯持ち込もうってことだ。」


「なるほど!」


「あの、すみません。この消耗の加速にはスキルのクールタイムは対象になっていますか?」


「ああ、対象になっている。クールタイムが普段より延長されている。ちなみに、これらの消耗は総量に比例する。上限は調べていないが恐らくないものとして扱った方が妥当だろう。」


うっわあ…。まじか、割合ダメ上限なしタイプなら全回復するのに恐らくレアアイテムとか使う必要がある高レベルプレイヤーよりも低レベルの方がより戦力として期待できるってわけか。でも、形態変化が問題ってさっき言ってたしこれよりもギミックがあるのか。


「先ほど説明した常設効果が前提ということを頭に入れといてくれ。まず通常攻撃からだが、通常攻撃は腕や時々生えてくる触手を使った叩きつけ薙ぎ払いだ。サイズがサイズだがその分比較的早くはないから見てからでも回避できるだろう。でも、攻撃範囲の関係上走らないといけないからSPが削られてく。そのため、通常攻撃後に派生する特殊行動の回避を考えてタンクなどのAGIが低いすてーたすだと最小限の速度で回避しないとSPがその時点でギリギリになり特殊行動が直撃して死ぬ。」


「次に現在判明している第一形態の特殊行動は以下のとうりだ。」


そうして、黒板に書かれた説明を読み上げられながら目を通していった。

特殊行動一覧

・罅割れる雷轟

戦闘に参加している半数にロックオンして前兆を伴いながら3秒後に半径2メートルほどの範囲ダメージの落雷が発生する。軽い追尾機能があるため動き回ると巻き添えが発生して危険。ダメージそのものは低めだが、命中した後に発生する遅効性のスリップダメージが本命であり次にダメージを喰らうまでなんの変化がないのだが喰らった瞬間一気にひび割れが身体に広がるのと同時に炸裂し人間爆弾のようになってしまう。

対処法としては、ダメージを喰らう前に回復を挟めばひび割れは少なくなり炸裂することはなくなるがダメージそのものは喰らう。


・腐蝕せし風化

広範囲攻撃。ダメージなど一切の消耗がなければ直撃してもノーダメージだが、わずかでも減っていた場合半分ほどHP,MP,SPが消し飛ばされる。防具などには影響は見られなかった。


・天来の宝玉

エリア上に三種類の殻に包まれた宝玉を生成する。これを破壊せずに放置した場合殻が自動的に割れ一つは雨を降らし、一つは強風を呼び、もう一つは回復を封じる沼地を生成する。

一つでも逃したら上記の特殊行動が強化され、手が付けられなくなるので対処が必須。




「ちなみに、形態が変化する条件は戦闘中に一定以上のリソースを消耗することで間違いない。倒すでも時間経過でもなくリソースの消耗量だ。ちなみに、この量は人数比例するというのは検証をしたから間違いない。」


ふんふん、なるほどね。完全に理解した。これいわゆるクソゲーというやつだな?

そんな結論を下しながら辺りを見渡すと我が姉は幸せそうでいつもどうり。妹は考え込み、土田姉妹はアップルパイを食べながらメモを取っている。

部長たちは本格的に殴り合いに発展しそうなほど険悪ムード…いや、話とかは間違いなく聞いているだろうけどそれはそれとしてコソコソと煽り愛をしていたんだろうが。あ、部長が掴みかかった。

んで、七ッ島兄妹は妹に対して頭の悪い要約が聞こえてきている。うーん、これは酷い。

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