チュートリアルは土の味~自業自得の因果をのせて~
うん?おお?
意識がふっと浮かび上がり俺は真っ白な空間に浮かんでいた。まあとりあえず色々言及したい要素があるのだが待ってほしい。
意識が闇に落ちていくというのは現実でも何度か体験したことがあるのだから慣れたものであると説明書を読んだ限りでは高をくくっていたのだが.,....
「何だろう、すっごい優しい感じだった。まじか、これが神ゲーと呼ばれる作品のクオリティ........そうだな正確には睡眠の際にすっと(以下省略)」
「あのー」
「すみませーん」
「話を聞いてくださーい」
「それよりも何より五感の再現性も凄いな無臭を感じられるし心臓の鼓動も意識をすれば感じられる凄いなこのゲームエンジン作った奴はどうかしているのかいやはや(以下略)」
「無視しないでくださーい.......」
「(前略)、(中略)、(省略)!」
「.......」ブチッ!
はー、素晴らしいなこの何もない真っ白な空間だけでもこれだけのy
あれなんか景色変わっ土
あっばばばばばばっばばばばばばばば.......
『あなたは死亡しました。リスポーンしますか? Yes/No』
気が付くとさっきとは対照的に真っ暗な空間に浮かんでいる選択肢を見て俺は混乱の嵐に襲われた。
えぇ?あっ、ありのまま今起こったことを話すぜ!お、俺はまずログインをしてこの世界の恐らくキャラ設定を行う真っ白な空間n(以下ry)
『早くリスポーンしてください。byシステムサポートAIシュトリー Yes/はい』
あ、はいすみませんでした。ポチッと......
怒られてしまった。でもやってみたくなっちゃうでしょ。ポ〇ナレフのあれは、うん仕方ない。
男ならしょーがない、誰だってそうする。俺だってそうする。
「つまり俺は悪くない。」
「もう一回おろしにしましょうか?」
「すみませんでした。」
多分、俺史上上から四番目くらいに早く土下座したと思う。そのくらい怖かったんだよマジで。
ところでなんかいつの間にか周りが花畑になっててビックリするし今現在足元しか見えないが恐らく人がいるのだが......
「まったく、ようやく気が付いてくれましたか。とりあえず、顔も上げてください。......いや早く顔を上げてください、ちょっ、待っ......何しようとしてるんですかあなたは!」
うん?
状況的に俺の悪い癖が出て迷惑をかけたんだろうなと思ったから誠心誠意謝意を伝えるために社畜inジャパニーズ式の行動つまりそう!
「なにって、謝意を伝えるために靴を舐めようとしただけなのですが.....」
「ちゅ、躊躇とかないんですか?!あなたは?!ああもうっ!とりあえず立って話を聞けぇ!!!」
まあ、これ以上は見るにいや聞くに堪えない泥沼化した言葉のドッチボール大会が開催したのでとりあえず割愛する。しいて言うなら、俺はあと四回ほどきったねえ大根おろしにされたということだけは言っておこう。
「「はぁ、はぁ、はぁ、ふぅ」」
「ようやく、話が進められる。」
目の前の恐らくキャラ作成のためのサポートAIであろうアルビノのような見た目の真っ白な修道服を着た女性?は信じられないようなやつを見る目でこっちを見てきたが、知ったことではない。
とりあえず喉も乾いていることだから、彼女?が落ち着いて話し合いをするために用意してくれたいかにもなお茶会セットの椅子に腰かけ注がれていたお茶を堪能することにした。
このデバックルームのような恐らくキャラ設定空間でさえ渇きや疲労感挙句に味覚まで再現されていることに驚きを隠せないが目の前の彼女?が怖いので口をつぐんでおく。
俺だって、時と場合は考えるのだ。すでに四回芳醇な土の味を堪能したことは置いておく。
それはそれ、これはこれなのだ。
「まったく、ここまで疲れたのは久しぶりです。」
目の前の推定彼女は乱れた髪や服装を整えながら反対側の席に座った。にしても花畑だった周りがいつの間にか土の色が目立つ草原に代わっている。ところどころに何かが引きずられた跡があり景観を台無しにしているが知らないったら知らないのだ。
「ぷはぁ......。ん?ああ、なるほど。」
彼女?が怪訝そうにこちらをうかがっていたと思うと何やら勝手に納得し手を払ったかと思うと跡はきれいさっぱりなくなり元の綺麗な景観へと変貌した。俺が目の前の出来事にあっけにとられていると
「自己紹介をまだしていませんでしたね、失礼しました。既にシステムメッセージで知っているでしょうが私の名前はシュトリーと申します。設定されている性別は女性なので貴方の認識で間違いありませんよ、本城 久遠さん。あと敬語は結構ですよ?」
「ああ、そう?それならありがたくそうさせてもらいますよっと。ナチュラルに本名いうなし。あと思考も読んでくるのかぁ。まあ、当然といえば当然のことか。とりあえず、質問いいか?」
「さも当然のように話のペースを握ろうとしないでください。今説明義務のない疑問については企業秘密に関連する事柄以外簡単に要約したのをテキストデータで貴方のアカウントのほうに送っておくので話を進めますね。」
ごく当たり前で冷静な対応が帰ってきてしまった。からかいがいのない....いやむしろテキストにする手間もやってくれているあたり物凄く優しい対応なのだが.....。
まぁ、とりあえずここですべきことを丁寧に説明と動作を教えてもらうだがザックリ要約すると以下のとうりだ。
このゲームにおけるUIの表示のさせ方
ゲーム中の感度調節とそれに伴う契約書
キャラクターメイキングの方法
最後にざっくりとした世界観の説明
.........まあ、まあまあ。一か所強烈なツッコミどころが存在するがいったんおいておこう。
まずは、UIの表示のさせ方。これができないと彼女(正式に彼女と確定した)が言うには何もできないらしい。まあ、当然だ。縛りプレイでもなきゃUIは必須といっていい。俺も色々武器とか装備したいからな。
そのため、教えてもらったようにやってみて一発でできた。俺が喜んでいると彼女は辛辣にも
「一発でできてもらわないとむしろ困ります。ゲームの基盤ですよ?それの使用感を悪くしてどうするんですか。」
と呆れた表情で言ってきた。ぐうの音も出ねえ。
ひと悶着こそあったが、終わったことだ。
ゲーム中の感度調節これが正直、この会社の技術うんぬんよりドン引きした要素だ。少なくともこれを実装した奴は正気の沙汰じゃあない。
言ってしまえば五感の再現性をどれだけ上げるかというものだ。
高感度にすればするほど、味覚、触覚、聴覚、視覚、嗅覚を現実のそれに近づいていくというもの。
これが高ければ、味と香りより鮮明に、肌に感じる風も敏感に感じられ、音の聞き分けは容易になり、グロデスクな描写をそのまま見ることになり、おまけのように痛覚すら現実のそれに近づいていく。
勿論、上限下限が設定されており痛みとかでショック死してしまうようなやつは自動でカットされるようになるらしい。下限でも料理とかは美味しく食べられる範疇だとか、へぇー(棒)。
ちなみに、ヘッドギアの初期設定の時点でこの感度の適正は調べられているらしくこの空間はそれに即した調節を既にされているんだとか。
「そういう点ですと貴方の感度適正は初めから100%でした。実に珍しい事例ですよ。おめでとうございます。」
「あのー、質問いいか?」
「はい?何でしょうか。」
「俺は、このゲームを五感すべてフルスペックで味わえるから大満足だからいいんだが適正ない奴が無理に感度を上げようとすることもあるんだろうけど、そこなへんはどうしてるんだ?」
「契約書を書いてもらっています。こんな感じですね。」
ペラ、そんな風に差し出してきたやつを見たのだが感度を無理に上げて幻肢痛などの病気とかになっても知りません的な内容だった。
「えーっと、これ法的に大丈夫?」
「大丈夫です。GMはそのために法整備したとか言っていましたし基本的にその文言を見てあきらめる人が大多数ですからね。」
もう何も言うまい。あくまでも俺がしに来ているのはいつものフィールドワークではなくゲームなのだから。内なる好奇心よ、ステイステイ。この際に、ニコニコと思考が読めるくせに意味深に笑っているだけで何も言ってこないとか怖すぎる。
「さて、ここからはもう私の出番はありません。というより、私のサポートの義務はこの時点でないんですよ。多くの方々はキャラメイクは一人でじっくりとやりたいとおっしゃるもので。貴方もそうでしょう?」
フフフと笑われて内心を見透かされたのが気恥ずかしく感じたがそもそも思考読めるじゃねーかと内心ツッコミを入れたが確かにそうだ。
正直言って早く作り上げたい気持ちがワクワクが止まらなくなり始めている。
「初めからこんな風に素直な態度を取ってくれれば楽だったんですけどね。フフッ、まあ色々疲れましたが楽しかったですよ。」
そんなことを言いながら、シュトリーは真っ白な渦を作った。
「この先は貴方が最初にいた場所に繋がっています。そこで貴方の分身を作れます。また出会う機会がありましたらその時はよろしくお願いしますね。」
俺はその渦に足を踏み入れながら別れを告げた。
「ははっ!またその時は紅茶だけでなく茶菓子も頼むわ。あっ、なんかすごい引っp」
そうして、締まらないなぁ。そう思いながらまた意識が暗転していく前に声が聞こえた。
「行ってらっしゃいませ、どうか心行くまで探索を。」
ここまで書いてなんと、まだキャラクターデザインすらしていないという。
ちなみに、UIについての補足ですが実をいうとモーション型と思考操作型の二パターンありましてシュトリーは制御が結構難しい思考操作型をわざとさせているのですが主人公が一発で成功させているのを見て内心ビックリしています。