吹き荒れる動乱の予兆
投稿できないといったな?あれは嘘だ。
一話だけですが漁船の上で何とか書き終えました、陸酔いで死にそうですが私は元気です。
カフェで食べるパンケーキがまともな食べ物になるとは当初は想定していなかったなあと目の前で発生している醜い言い争いのつまみとしながら俺たち男組は平穏を楽しんでいた。おい、妹よ。俺の初めてのまともな食事をとろうとするんじゃあない。アティカもこっち見るな!
「それで、この後はどうするのだ?俺はクオンにもともと相談したいことがあるから、一緒に行動を取りたいのだが。」
そう、ルティマが取っ組み合っている二人に対していつの間にか追加注文していたパフェを二つ差し出しながらそう話を切り出した。
「うん?別に今ここで話を聞いてからでも俺は別に構わないんだぞ?普段から世話になっているからな。お前の相談に時間を割いても…。」
「いや、クオンがそう言ってくれるのは考えてはいたのだが二人がつまらないだろうからな。」
そういわれて、二人の方向を見ているともう結構な量があったはずのパフェは既にその姿を消し二人はこちらに視線を向けていた。
「うむ、兄さんがどうやらチュートリアルクエストを完遂していないようだしせっかくだから僕はアティカの手伝いでもしてくるよ。それでいいかい、アティカ?」
「そうだねぇ、あくまでゲームだし何から何まで一緒にやるってのも既に二年もやっているベテランの兄貴がいたら味気なくなっちゃうしここで解散してもいいんじゃない?」
そのような返答が帰ってきたので俺たちは少々拍子抜けのような感じになってしまった。普段から振り回されている身ともなれば何らかの無茶ぶりがあるに違いないと警戒していたが、流石に他人の足を引っ張るのに何のためらいのない外道コンビとはいえ自分の楽しみを優先するようだ。
そうして、なんともあっさりと今後の行動方針が定まり、互いにフレンド登録をして基本的に不干渉で面白い案件があったら会おうということになった。ちなみに、カフェから出ていく際にちらりと伝票を見てみたのだが10万マネーは超えていたことにこの店想像以上に高かったんだなとリアルでやったら卒倒物の出来事に内心恐怖を隠せなかった。
俺たちはあらかじめ決めていたとうりに男性陣と女性陣に分かれていった。
「そういえばさ、相談事ってなんだ?なんか二人の前では言いづらそうな気配だったけど。」
チュートリアルクエストと言っても、俺の場合残っていたのは基本的な売店とJOBの変更方法の確認みたいなのだけだったのでサクサク俺よりもこの国の地理を理解しているルティマに案内してもらい終わらせていった。で、現在スキルや魔術などを新規習得できたりする施設である調律再編館にて軽く物色しながら俺は話しかけた。
「ああ、そのことか。いや、俺が一年ほど前に受注したクエストがなかなか攻略が進まなくてな。クリアする難度が下がる条件に当てはまると思われるプレイヤーを集めたくてだな。」
そういうと、安めの一つ千マネー程のスキル習得のオーブを手に取って俺に渡してきた。
「で、その条件に当てはまるのがおれだったと?」
何々、「壁走りLV1のスキルオーブ」効果は....レベルに応じて急な斜面に対する摩擦力を上げてくれる…。持続時間もレベル依存と…。あれ、これ相当便利スキルでは??
「ああ、恐らく低レベル帯かつ一定以上の戦闘能力を持つプレイヤーだ。」
「おかしくないかそれ。その条件だと俺以外にもあいつらとかも満たしてるくないか?」
早速、昨日売り払って宿代を使ってもまだ結構余っていたマネーで買うことにした。
「それもそうなのだが、条件は俺の経験にもとずく勘のようなものでしかなく、わざわざそんな不確定要素のためにレベリングを不自由にさせるのも違うと思った次第だ。それに、俺は余りコミュニケーションが得意というのではないということを知っているだろう?だから人手を集めるにしたってお前に協力を仰いだ方が早いと結論づけたんだ。」
「どうして、そこまでそのクエストにこだわるんだ?お前はこのゲームをやって長いだろうし、野良でパーティーを組んだことがないってわけじゃあないんだろ?」
「..............。」
そう、問いかけると俺の隣をついて歩いていたルティマの足取りはだんだん遅くなっていく。出口が間近になりふと振り返るとルティマは完全に止まっていた。しかし、足取りはそう止まらず買い物が終わり店から出ていくと同時に『チュートリアルクエストをクリアしました。』というアナウンスとウインドウが表示される少し前にルティマは先ほどの問いにこう答えていた。
「ユニークモンスター「名状しがたきもの ハスター」の討伐クエストだ。」
その答えに俺は咄嗟に、奴の真意を確認するために表情を見ようとしていたがウインドウのせいでよくわからなかったが獰猛な笑みを浮かべていたと思う。




