披露される最高兵器、汗に残る罪悪感
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痛てて、一断連打するとか卑怯だろあの野郎……
あ、試合の結果は普通に僅差で負けたのはいいとして、まだ夕方前なんだよな。どうしよう、やることがない。残りの時間は筋トレでもして過ごしてもいいが、すぐに飽きるのが目に見えてんだよな。じゃあやっぱりどこかで暇を潰すしかないワケで。
そんなことを考えながら、ふと自分の手首に目が移った。
木のブレスレット……そういえば俺まだ木等級じゃん!!
木、銅、紅、銀、金という順で構成される冒険者の等級。その中でも俺は木等級と呼ばれる最低の等級。
つまりガワだけ見れば俺はド初心者。
「いい加減等級上げてえな……」
このままだと他の冒険者に変な目とか場違い的な目で見られながら冒険し続けることになってしまう。プライドとメンタルがブッ壊れちまうぜ!
となると一人でギルドに要請された何かしらの魔物を討伐しに行かなくちゃならんが……これで一晩中戦うハメになったら後が怖いんだよな……睡眠は大事だし。
よし、とりあえず二人には冒険者ギルドに行くって伝えておこう。さて、久々のソロ冒険、どうなるか──
「いい所にいたなワロタ君ッッ!! やってほしいことがあるんだッッ!!」
おっと、わざわざ自分で暇の潰し方を実行するまでもなく向こうから来たぜ、ヒルド直々って一体何用だ……?
……
…………
………………
俺とヒルドは螺旋階段を下りる。どうやら地下に向かっているようだが、ボントールの地下と言えど向かっているのは居住区ではない。
「居住区の更に下?」
「ああ、そこに隠しているものがあるんだッ」
そんなもの俺に見せていいんだ……まあわざわざ連れてきたってことは俺に関係あるものなんだろう。
と、小話をしている間に長い螺旋階段の終着点にたどり着いた。
「あ~、そういえば実物は見たことなかったな」
「だろう? これこそが……解錠砲だッッッ!!」
ボントールの地下深くには、これまで名前こそ何度か聞いていたものの、実物や用途等は一切知らなかった解錠砲がそこに固定されていた。
見た目はもうめちゃくちゃ近未来感ある作りの超巨大レーザーキャノンって感じだな、象くらいのデカさだ。
まさかこんな場所があったとはな。なるほどなるほど、この場所は兵器工場とかそんなトコなんだろう、解錠砲以外の兵器はバリスタとかあるしだいぶ原始的だけど……雰囲気狂うな!
「で、来たはいいけど何を手伝えばいいんだ?」
「この解錠砲は何を放つと思う?」
は? 急にクイズ? んー、キャノン系の兵器だから大抵は砲弾とかなんだろうけど、聞くってことは違うんだろうなァ、じゃあ……
「超巨大……」
「闘気だ」
解答する前に言うなよ!! ……って。
「闘気を撃つんか……? このクソデカキャノンで……?」
「そうだッ、だから直接キミに手伝いを頼んだんだ……簡潔に言おう、キミの闘気が欲しいッッ!」
ははっ、特殊な告白の仕方ですわ。
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「ごめん遅れたー」
「まあお前も来るわな」
俺とサキが今からする仕事は簡単だ、まず解錠砲のケツ部分に手形があるのでそこに手をはめ、手から闘気を解錠砲に流し込む。それだけだ! 闘気を使う仕事なのでそりゃサキも呼ばれる訳だ。
「もちろん俺もいるぞッッ!」
手形は五人分あるから闘気を使える五人がいれば最高効率で解錠砲にエネルギーをチャージさせられる。ただボントールの戦闘員はみんな忙しいのとそもそも闘気を扱える者が限られているせいでなかなかエネルギーが溜まりきらないようで。
なので闘気を十分に扱える俺とサキの出番という訳だ……にしても地味だなー。
「これどのくらいかかるの?」
「このペースだと六時間くらいだろうッッ!!」
「「地獄~~」」
なんでヒルドはそんな笑顔でいられるの?
しかしマジでこのままずっと立ちっぱで六時間耐え続けるのかよ、マジでキツイな……流石の俺でも六時間この状態じゃ話のネタが尽きるぞ。
てかハスナはどこだよ! アイツもいれば多分二時間くらい短縮できるだろ!
「ちなみにハスナはまだ病院だッ! 本当は闘気を溜めるのを手伝ってもらいたいが、昨日の夜に寝る間も惜しんで闘気を溜めてくれたんだ、防衛戦当日の為にも今日は休ませたいから今日は俺たち三人だけで溜めるしかないんだッ、すまないッッ」
「「なるほど~~」」
聞くまでもなかったぜッッ。今日も古代神殿で色々あったし……よく働くよなアイツは。ゆっくり休めよハスナ。
「……あ、そういえばワロタ、ルターロ村で突っかかってきたあの冒険者、今どうしてるんだろうね」
「誰だそれ、そんなやついたっけ……んー……あ、木等級の俺をバカにしたやつか!!」
確かにアイツ今どうしてるんだろうな、色々面倒で普通にルターロ村に置いてっちゃったけどよくよく考えたら四天王との貴重な遭遇者だし連れてきたほうがよかったのかな……うわ、名前くらい聞いときゃよかったわ!! アイツのおかげでタリオーラの存在を知れたのに名前も聞かずにそのままスルーで出発とか仇を仇で返しすぎた気がするな! タリオーラに因縁があるみたいだったしこれは流石に仕返しにしても可哀想だわ!
「え、どしたの急にそんな汗かいて……この状態そんなにキツい? 大丈夫……?」
大丈夫、これは汗じゃなくて罪悪感が液体になって流れてるだけだよ。
「……あの人は、元々あんな感じじゃなかったんだろうね」
「そうだな、タリオーラに仲間がやられたとか泣き叫んでたし、まあ心がヤケクソだったんだろな」
絡まれた当時は正直イラついたのもあってお前が悪いの精神で会話してたからさほど同情とかしなかったけど、今になって思うのはやっぱ単純に可哀想だなって。あんな風にヤベー奴になるくらいだしアイツの仲間ってのは相当大切な人だったんだろうな…………
いやヤバい、考えれば考えるほど罪悪感が生まれてくる。
「ちくしょう、その場限りの感情に任せてごめんよーっ!!」
お詫びと言っちゃなんだが、アンタの代わりにタリオーラをボコしてやるから!!
次回から数話は本編から少しだけ逸れてサイドストーリーを書きます。
別にメインストーリーの流れ的に読む必要性はないんだけど読んだ方が世界観やキャラ理解が深まるよね、ってやつです( ¯꒳¯ )




