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ラフサーガ  作者: 笑太郎
一章 新たな冒険は彗星の如く
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沈む魔のその後、町からの感謝

 牛の化け物が地に倒れる。


「グ……クソォォォ!魔王様……魔王様ァァ!!」


 断末魔を上げながら、牛の化け物の身体が崩れ、()()()()()瞬く間に消えてなくなった。


「……か、勝てた……勝てたぞ俺」


 じわじわと喜びが込み上げてくる。


「よっしゃァ!!町を救ったぞーーー!!見てたかおっさん!!」


「ああ……あんな化け物を、よくやってくれたよ」


 今までにない喜びを、人々に害なす悪魔のような存在を初めて打ち倒した快感を、俺は噛み締めた。

 不思議と生き物を殺めた罪の意識が芽生えなかったことに一瞬違和感を覚えたが、まあ悪者だしいっか、と考えないことにした。


「早速、町のみんなに知らせないとだ」


「あっそうか、みんな町の奥のほうに逃げてったもんな」


 奥のほうに逃げたところで、アレが本気で町を襲ってたら結局被害は出てただろうが……非常時に何か策でもあったのだろうか。


「イタタ……すまん、俺は怪我してるから、背負ってくれないか?案内するからさ」


「ああ、ホントよく無事だったなおっさん。よっと」


 そのままおんぶをするような形でおっさんを背負い、談笑しながら俺達は町の中央へと向かった。




………………

…………

……




 町の中央部へ着くと、何人かが待機しており、中には槍を持っている者もいた。


「────っ!君、大丈夫かい!?エビルウロスは?」


 初めて耳にした単語、エビルウロス。ニュアンス的に多分ミノタウロスみたいな感じの……あ、牛の化け物のことか。


「そう、丁度今それを伝えに来たんだ! おいおっさん、話しといてくれ」


「ちょ、俺は怪我人だぞ」


「いやいや、町民のおっさんから話した方が信用されるから」


 そうして背負っていたおっさんを下ろした瞬間、目の前の町民が目を見開いた。


「君……! 背負われててよく分からなかったが、ハンロスさんじゃないか!」


「え? 町長、気付いてなかったんですか! ひどいな〜」


 なるほどこの二人は知り合いなんだろう。ってかおっさんの名前ハンロスっていうのか……んでこっちの人は町長なんだな。


「君が知ってるなら話は早い。エビルウロスはどうなったんですかな?」


「ああ、アイツは……」


 おっさんもとい、ハンロスが事の一部始終を話した。

 複数の建物が破壊されたこと。自分がエビルウロスに殺されかけたこと。犠牲者は出ていないこと。隣にいる俺がエビルウロスを討伐したこと。


「……そうだったのですか。少年、心から礼を。」


 どうやらやっぱり結構凄いことをしたみたいで、町長が俺にお辞儀をする。


「……しかし、こんな少年が魔物を倒してしまうとは。お名前は……?」


「ワロタだ」


「個性的な名前ですね。ふむ……」


 一瞬軽くバカにされてるような気もしたが、きっと考えすぎだろう、とあまり気にしないことにした。


「ワロタさんは、何のために此処へ?」


 単純な話だ。


「いやほっつき歩いてたらたまたまこの町が見えてさ、うおーー!町あるじゃん!ってテンション上げて寄ったらあのザマだったワケよ。普通にもう今疲労困憊で」


 楽しく気楽に冒険!から急に命の危機!殺し合い!ってなったら当然テンション狂うだろ。もう正直今めっちゃ寝たい。飯食いたい。


「そ……そうですか……大変でございましたな」


「アンタ、やっぱ冒険者だったのか」


「ハンロスさん、怪我しているではないですか、少し休みなさい」


「えーっ、俺ピンピンしてますよ?ホラ、この通り……イダッ!!」


 元気であるかのように振る舞い見事に苦しむハンロスを見て、その場にいた俺達は言葉にしづらい微妙な表情を浮かべる。そもそも俺の身代わりになってなかったら怪我はしてなかった筈なのでホントに申し訳ないというか……


「言わんこっちゃない、今日は安静にしてなさい」


 町長が他の町民を呼び、ハンロスを担架に乗せてどこかの建物へと移動させた。


「……お疲れでしょう。あちらに宿がございますので、明日までゆっくり休んではいかがでしょうか。それと明日の朝、町の危機を救ってくれた謝礼をお渡ししますので、是非私の家へお越しください」


 俺は「謝礼」という言葉を耳にして心踊りながら目の前に見える木造の古くも新しくもない、それでいて綺麗な宿へ向かい、部屋で休んだ。


「ふう……あ、ご飯どうするか」


 まあいいや、今日はちょっと疲れたしもう寝ちゃおう!





 今日は凄かった。家を出てから今に至るまでまだ一日も経っていない。今頃あの世にいてもおかしくない経験をしたってのに。まさかこの世に本当にこんな世界が広がってたなんてな……! 正直冗談交じりでゴブリンとかスライムとの戦いとか妄想してたけど、本当にそういうものが存在しているとは……! あー明日が楽しみで眠れねえよ!

 そういえばエビルウロスが死に際に確か()()()とか言ってたよな。もしかしてこの国って魔王に支配でもされてんのか……? 起きたら町長に魔王のこと聞いてみるか……


 もう遅いし……このまま寝てしまおう。


 ────ただ、何か忘れてる気がすんだよなァ〜。




 翌朝に地獄を見ることになるとは、就寝前の俺に知る由など無かった。

一応牛の化け物エビルウロス含め、魔物の肉体の一部は部位破壊&入手することができます。角とか。

通常、討伐された魔物は肉体が消滅しますが、部位破壊した部分のみ討伐後も実体が維持されます。

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