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ラフサーガ  作者: 笑太郎
二章 想像せよ、彼女の操る野望は其処へ
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願いは静かに、砂漠へと紡がれる

おはようございます。本日、私はルターロ村のときとは違い、二人よりも先に起床しました。


いよっしぇぇぇい!! ナイスマイブレイン!

二人が起きてくる前に自由に街でも探索したろ!


ってコトで外にドォン! って出たらやっぱ脳が混乱したワケさ、だって空が無いから。

いい目覚めの気分を味わえないのはだいぶ嫌だな……ボントールに住んでいる人は毎日これを味わうのか……タリオーラめ、お前を倒す理由ができたぞ。


「これじゃ今が朝なのか夜なのか分かんねえよな……」


見上げると、そこは空ではなく岩がある。

居住区を照らす明かりは太陽ではなく、火などの人工的な照明のみ。


「空気も……正直言っていいとは言えねえな」


昔は地上で生活していたらしいが、今は閉塞的なこの広い地下空間に押し込められている。

ボントールの民は魔王軍四天王の一角によって、青い空を自由に見上げる権利を剥奪されているのだ。


とはいえ雰囲気は普通に良い、例えるなら商店街的な感じ。服屋だったり八百屋だったり肉屋だったり、お店も色々あるしかなり賑やかだ。今は朝方あたりだからか人の量は少ないが、昨日は凄かった。


「んーそうだな、朝飯でも買ってくか」


まあリュックの中にあるにはあるだろうけども、量だってそんなにある訳じゃないだろうし、どうせだったらこの街の特産品でも買ってった方が面白いだろ。

金ならまだある、さてさて何買おっかな~。


「………………」


「あ、邪魔でしたか、すいません」


「………………」


いつの間に無言で俺の真後ろに来た少女は、俺の言葉に応じる間もなく俯きながらどこかへ小走りで消えていった。


「……あの人、怪我してたな」


俺は見逃さなかった。コートだか何だかに身を包めてはいたが、内側に軽く見えた傷と包帯。


身を包めている、怪我、無言、小走り……

誰かに追われている?


直後、響き渡った何者かの怒声によって俺の思考は遮られた。


「イマリカさん! どこへ行ったの? 戻ってきなさい!!」


その声の元に目を向けると、息を切らしている女医らしき人の姿が。

医者が大きな声上げてどうしたんだよ……って、まさか。


「そ、そこのあなた! このくらいの背で、こんな感じの髪の女性を見ませんでしたか?」


女医は自分の後ろ髪を掴んで即興ポニーテールを作り、俺に問う。


これは……大抵の物語では追われている人を匿って「それならあっちへ行ったよ」と嘘の方向を指すのが鉄板だが……逃げた少女が悪人の可能性もあるんだよな、さてどうするか。


「何かあったんすか?」


とりあえず追っている理由を話してもらおう。決めるのはそれからだ。


「さっき女の子が、病室から脱走してしまいまして……まだ完治していないのに……」


オーケー即決!!


「ナルホド、ソレナラアッチヘイキマシタヨ」


「あ、ありがとうございます!」


嘘の方向を伝えたのである。


何故かって? 単純に病室から脱走する程の理由があの少女にはあったんだろう。その理由が何かは知らんが。


だが俺は行き先を知っている。
















「はぁっ……はぁっ……!」


コートに身を包んだ少女は走る。

目的地は地上。彼女は外に出ようとしていた。


「ここを進めば、外に出られる……大丈夫、きっとあの人も生きてる」


そして目の前の階段を上る────





「オッス、さっきなんで俺の後ろにいたんだ?」


「っ!?!?」


──前に、俺登場!!


何で俺が少女の行き先を突き止められたか、それは先程見た少女のコートの下には傷と包帯ともう一つ……()()()()()があった。

ということはつまりこの少女は冒険者。そんな冒険者が病院から脱走したなら行き先は地上以外あるまい。

地上に繋がる道は俺の知っている限りじゃ俺達が通ってきたこの場所のみ。ということで先回りしておいたってワケさ。


「ところでアンタ、追われてんだってな。面白そうだし、雑談でもしながら外に出ようぜ」


「えっ……えっ? あなた、私を連れ戻しに来た訳じゃないの?」


「あー、病院の人には見当違いの場所教えたから、言っちゃえばその真逆だな」


控えめに言って訳の分からない言動を俺が繰り返しているので、混乱が止まらない様子。


「っと、自己紹介が遅れたな。俺はワロタ」


「……イマリカよ。つまりあなたは理由もなく、私を逃すってことよね」


「おう、アンタみたいな冒険者……それも紅等級のヤツが病院から脱走するってことは、何かすぐにでも成し遂げたい目的があるんだろ?」


そう俺が問うと、イマリカの様子が変わった。


「っ! そうよ、すぐにでも会わなくちゃならない人が……うぐっ!」


「お、おい大丈夫か!」


まだ包帯を巻くほどの怪我をしている状況で無理して会いに行く程の相手なのか……? 一体どんな人なのだろうか。


「……ごめんなさい、話している暇はないの。匿ってくれてありがとう、またいつか」


「あ、ちょっ」


イマリカはそう言い捨てて、そそくさと広い階段を上って行った。


面白そうだから着いていこうとしたが、個人のプライベートってのもあるしな。ここら辺で離れるのがベストだろう。初対面なのに色々問い詰めたりするのも失礼だし。


それよりそろそろ二人とも起きてそうだな、急いで買い物するか!




ナイスマイブレインがイナズマイレブンに見えるトラップ(不本意)

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