操像に抗いし集落、その頂点に座する者
砂漠の集落ボントールの中は思ったより明るく、なんというかだだっ広い屋内キャンプ場って言ったら分かりやすいか。そんな雰囲気の空間だった。
「想像してたよりも生活感あるね〜、私ここに住んじゃおうかな」
「すまん、今は歓迎できないんだ……申し訳ない」
「えっあっいや冗談だよ~!」
なんかサキとハスナが変なコミュニケーションしてるけど大丈夫だろうか? それよりお店も色々あるんだなァ、そりゃそうか、お店ないと集落としてあんま成立しないもんな。こんな砂漠じゃ自給自足も難しいだろうし当然か。
「おやハスナ様……無事に帰ってきてくださったようで……そちらは?」
見知らぬ爺さんが話しかけてきた。様……って呼ばれてるからボントールではだいぶ地位が高いんだなハスナのやつ。
「ああ、この人たちは……そう、これより我々の戦友となる方々ですよ」
「そうそう俺らは客人…………ってちょい、順序飛ばすのかよ」
「戦友というよりは殺し合った仲だがな」
しーっ! クチクお口チャック!
思ったんだけど客人を迎える余裕はないって言ってた割にはみんな歓迎してくれてるような気も……いやそうか、俺達は「戦力」としてみなされてるんだ。ボントールに外から入ってこれるってことはそれこそまあまあ強い冒険者である、ということは前提として分かる……そういうことか、さっきハスナが俺達を戦友として紹介したのも納得だ、そもそも戦力外だったら門前払いだもんな。
それに周りを見てもなかなか強そうな人ばっか……さっきの爺さんも腰に刃物を掛けてたし、今いる人達みんな冒険者……は言い過ぎにしても戦闘員なのかな。
じゃあ逆に子供とかさっきの爺さん以外の老人はどこにいるんだろうか。
とか思いながら歩いていたらボントールの奥地にある大きな建物まで辿り着いた。
「失礼する」
俺達もハスナの後ろから失礼……って、なんだここ!?
その建物の中は言ってしまえばそう、軍事施設的な場所だった。
「おぉ……砂漠のど真ん中にこんな軍事的な場所があるなんて……」
「むっ、ハスナ、客人を入れる余裕など無いと言っただろう!!」
俺達が驚いている内に、建物内の奥で筋トレをしている男が口を開いた。
「……ヒルド兄さん、説明させてくれ」
「「兄さん!?」」
おいマジかハスナ、お兄ちゃんおったんか!
ハスナの兄であるらしいその男、ヒルドの姿。腕には銀色のブレスレット、髪色はやはり妹と同じオレンジ色、そんでもって……ゴリマッチョ!!
「ハハッ、説明不要ッ! この一瞬で全てを理解したァ!」
一々マッスルポーズを取るヒルドは、俺たちをまじまじと見つめながら言う。
「君達は即戦力ッ! 三日後に来たる操像の参、タリオーラから解錠砲を守る戦い……解錠砲防衛戦にて、共に戦う戦友になるのだろう!!」
こんな物わかり良すぎることあるか?
「兄さん、そんな急に沢山話すから困ってるぞ」
うん、解錠砲とかいう新情報も出てきたし混乱しかけたわ。
「まあ俺たちの目的もそのタリオーラだから防衛戦に参加するつもりではある、内容はそんな知らんけど」
「うむ! それで十分、しかしだな……木等級のキミだッッ!!」
はーいやっぱそうですよねェ~、おかしいもんこんな空間に木等級程度がいるの。
「ハスナが強さを認めたのだろう、だがそれでも気になるのが冒険者のサガッ! 俺と一戦交えてほしい!!」
しゃーない。強さを相手に分かりやすく伝える方法としては、やっぱり直接闘うしかない訳で。俺は迷いを見せずに承諾する。
相手はレーフやハスナと同じ銀等級……相当な相手、俺が勝てるか定かではないのが本音だ。だがそれを差し置いても気になる……これほどの猛者達をもってしても敵わぬ操像の参が、どこまでの脅威なのか。ハスナの兄と闘うのはその予測材料としてピッタリだ!
「おいワロタ、さっきの傷は痛まないのか?」
「んな大丈夫だよ、クチク。俺も闘ってみたいってのもあるし、それに命懸けとかじゃないからさ」
「そうか、ならいいんだが……ずっと戦いっぱなしだから無理は絶対にするなよ」
「おうよ」
どうやら別の部屋に訓練場的な場所があるらしく、そこへ移動する。
何やらヒルドはここの隊長らしく、今まで何度も起きた防衛戦で活躍し続けてきたボントール最強の男なのだとか。
「いかにも訓練場って感じだな……武器は?」
「安全性を考慮して、訓練用の木製だ! 俺は槍型を使うが、キミは!?」
「包丁型一本でいいぜ、既に木刀一本あるしな」
だったら木刀一本だけでも良くない? とか思うだろ? 木刀だとちょっと長くて重みも少しある、だが小さな包丁型の武器だったらめちゃくちゃ軽いし小回りもきく。両者を上手く使い分けることにより、今考えられる隙を限りなく減らすことができるから選んだって訳だ。
というかヒルドは槍使いか……てっきり図体的に太刀とか大剣とかそういう巨大武器ブン回してきたりすんのかなとか思ったけど……何か逆に怖いな。
入り口付近の壁際で観戦する他のみんなをチラ見してから、ヒルドへと顔を向ける。
「……まずは、小手調べと行こうじゃねェか」
「ハッハッハ! 何でもいいさ……楽しもう!」
次の瞬間、俺はボントール軍隊長・ヒルドの強さを身をもって分からされることになる。
普通の会話シーンを書くのがとても苦手なので無理矢理戦闘シーンに持っていくスタイル




