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ラフサーガ  作者: 笑太郎
一章 新たな冒険は彗星の如く
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急襲せし彗獣の暴魔 第四幕

 それ以前に、その戦法をやるにはサキとクチクの力が必要だ。バラバラになってしまったからどうにかしてそっちに行きたい……こうなったらゴリ押しじゃい!!


「ぬおぉぉ!?危ねえええ」


 ゴリ押しのし過ぎも良くないな、氷の槍が頭を掠めたり普通に足とかに炎球が当たったりしてくる……!多分ちょっと火傷したけど何とかクチクの近くまで来れた!


「聞いてくれ! アイツをギャフンと言わせる方法があるんだ!」


「ほう、俺が必要ということだな!?」


 話が早い、流石はクチク。


「そう、それとサキの力も必要……っと危ねぇ」


 クチクだけじゃ多分ロマリウスに有効打は与えられない。だが二人いれば絶対いける自信がある……何せ、王宮の時はクチクだけで上手く行ったからな。


「それで俺は何をすればいいんだ」



 ──やり方を全て伝え、納得したクチクにそれをサキにも伝えてもらう。


「あー……随分強引だね?見方によっては人道に反するんじゃ」


 知らん知らん、数メートルしかない真っ直ぐのエアジェットコースター的な物だし平気平気!!


「それじゃあ、その方法をやる為に上手く位置を合わせなきゃ」


 突っ立ってたらロマリウスの魔法が直撃しまくってお陀仏、なのでタイミングが合うまでとりあえず一緒に避けまくる。大体の魔法の動きは理解した。後はただ避けて避けて頃合いを見るだけ──今か!!


「みんな!!ロマリウスに向かってくれ!!」


 左前にクチク、右前にサキ。その後ろには闘気を限界まで溜めた俺。


「痛くしないから安心しろよ……行くぞ!!」


 両拳に闘気を溜め──!



「〝闘争より双爆せよファイティングツインインパクト〟!!」


 サキとクチクの背に衝撃が爆裂する。


「うわぁぁぁっ!!」


「ぐっ……やはり慣れないな!」


 両拳で放った二つのファイティングインパクト。それは二人を超速でロマリウスの眼前へと飛ばす。


「────なっ!!」


 一秒にも満たない時間の中、突然間合いを詰められたロマリウスは──


「〝チャージストライク〟!!」


「『一断(ヒトタチ)』!!」


 サキの放つ打撃とクチクの放つ斬撃をまともに受け、氷壁を砕いて森の奥へと吹っ飛んで行った。


「よっしゃぁぁぁざまぁ見やがれケモノ野郎!!」


「ホントに上手くいったね!」


「ああ、だがきっと奴はまだ倒れていない……よし、そろそろ逃げよう」


 これは流石にギャフンと言わせられただろう、一矢報いることはできた。これ以上やってられるか!!勝つのはムリだって流石に分かったし言われた通り逃げるぜ!!


「って……あれ?ロマリウスが吹っ飛んでった場所から光が」


「おいおいまさかそんなすぐに……」


 悪樹戦で下ろしたリュックを拾い、森の奥へと逃げようとした瞬間だった。


 サキの発言の通りに光が見えたと同時、紫色の巨大な渦を巻いた突風が──







 サキとクチクも声を出していたのだろうが、突風と俺の絶叫で何も聞こえない。

 それは杖を手放した時に放った、風来坊という風魔法。しかし悪樹に放った物はそれを圧倒的に凌駕していたであろう、巨大な風来坊。

 それは二度目に放たれた時、狙いは悪樹ではない──俺達だ。





「ヒッ、ヒィ〜〜〜〜……」


 何とか予備動作があったから避けれたはいいが、リュックがボロボロになってしまった!


「いや、この際持ち運びができれば問題ない!逃げるぞみんな──」


 巨大風来坊によって立った埃が晴れた視界には、片手で首を掴まれ、持ち上げられているクチクの姿が。


「ウ……ウソ、だろ」


「あははは。銀等級以上でもないのにここまで面白くしてくれるなんてね、やっぱり僕の勘は当たってたんだ」


 サキは一番最初に光を見つけたから避け切っていたようだ。だがクチクがロマリウスに捕まってしまった……!


「結局無駄だったってことかよ……!」


 使うエネルギー量も倍になる〝闘争より双爆せよファイティングツインインパクト〟を放った影響で流石に闘気が切れてしまった。こんな状況でもまだ奴はピンピンしている。


「けど、もうおしまいだね」


 首を掴んでいる方の手が光る。

 咄嗟に叫んだが、当然聞く耳も持たず。


「ちくしょう!! このままクチクを見殺しにしてたまるかよ!!」


 決死の覚悟で木刀を投げつける。神はまだ俺を見捨てていなかったのか、ロマリウスの腕に直撃してクチクから手が離れた。


「残念だったな、クチクはやらせねえよ。やるんだったら俺からにしやがれェ!」


「じゃあお望み通り、君から葬ってあげるよ!」


 クソッ、短剣装備!! 俺の元へと突っ走ってきたロマリウスを短剣で受け止め、縦に、横にと何度も短剣を振るう。だが杖や手で何度も受け流され、終いには魔法であろう爆発が直撃……!


「ぐおおあああっ!!」


 無様にも地面を転がった俺ではあるが、まだ闘志は揺らいじゃいない……!俺がやられちゃ次はサキが──!


「う、うああっ……!?」


 咄嗟に頭を上げた先には、ロマリウスの氷魔法によって地面ごと脚を固定されてしまったサキの姿があった。


「なに、これ……動けない……!!」


「地面ごと凍らせちゃってるからねぇ〜、抜け出すにはこれを溶かすか、この地面ごと引っこ抜くくらいの怪力がないと無理だよ?」


 絶体絶命。クチクは気を失い、サキは行動不能。ロマリウスは動けないサキを徹底的に痛めつけるつもりだ。

 もう動けるのは俺しかいない、だったら!!


「ガアアアアッ!!」


「イダァッ!?」


 必死に這いずってロマリウスの足元へ辿り着き、脚に噛み付いた! どうだ! こんなことされたらサキなんかどうでも良くなるだろバーカ!!


「俺から目を離したのが仇となったな! 魔王軍の恥が!!」


「……やってくれるねぇ!」


「ごぉえっ!?」


 クソッ、相変わらず痛い打撃だ……それに拳よりも蹴りの方が痛い!!


「名残惜しいけど、もう終わらせるよ!」


 ロマリウスの杖に集まる強烈な光──雰囲気的にとんでもない広範囲の爆発的な魔法が出るぞこれ!!ウソっちょっと待っ


「ちょ、待っ、それされたら全員巻き添え食らっ」


「もしこれで生きてたらまた会おうか!!そんじゃ──」


 もはやジェットコースターの恐怖を超えているであろう俺とサキの絶叫が響きながらも大爆発を起こす光は増幅し────









 シュン、と。俺とサキの絶叫を止めるようにして斬撃の音が鳴る。


「うわああああ…………あれ?……止まった」


 ロマリウスの胴に大きな切り傷が。

 そしてその先には、西洋甲冑を身につけた大きな騎士。そしてそれが来たであろう後ろの森には、如何にもな三角帽子を被った宙を浮く金髪紅眼の女魔法使い。


 どちらも、冒険者の証の一つである認識票を付けていた。



 俺は確信した。

 ああ、俺達は助かったんだ、と。


 その重騎士は()()の認識票を。

 その魔法使いは()()の認識票を。


 重騎士は、満身創痍の俺達へ向けて言った。



「…………もう安心してくれ」



 私達が来たからには、必ず生還させる────

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