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ラフサーガ  作者: 笑太郎
一章 新たな冒険は彗星の如く
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急襲せし彗獣の暴魔 第三幕

 闘争より(ファイティング)穿て(バンカー)

 それは簡潔に言えば爆速の殴打であり、破壊力抜群の爆発である。

 腕と拳にそれぞれ二つの輪状の闘気を込め、一つ目の腕の輪は腕が前に進むと同時に起爆、二つ目の拳の輪は拳が相手に当たったと同時に起爆。そうすることにより爆発級の威力を持った爆速の殴打が生まれるというものだ。


 まあ「これならコイツも反応しきれんだろ!」っていう理論で生まれた即興の技だから反動とか何も考えてる訳もなく。


「イッデェェェェェッ!!」


 腕の輪を起爆させた反動で右上腕が痛む!!

 だがあの爆発級の威力だ、流石のロマリウスであれどまともに食らえば相当効いただろう、後ろの木まで吹っ飛んでったしな。


「やるねぇワロタ!」


「腕を犠牲に一矢報いたぜ!!」


 と、クチクが目を見開いた。こりゃロマリウスが立ち上がったとかそんなモンだろ──とか思っていたが、それは予想を軽く上回る物だった。



 ヴンッ、と。

 なんの前触れもなく地面に現れた黒い魔法陣。それに気付いた時には既に炎の柱が──





 ──危なかった、ギリギリ躱せた!!

 一秒も経たない時間の中、魔法陣が出現した時に生じた音を聞いて生存本能が反応したんだろう。一瞬で後ろに跳び、焼死体にならずに済んだ。……二秒くらいなら火傷で済んだかな?


「『遠隔魔法陣レモティクス・マジクル』。普通の魔法陣は大昔から存在したんだけど、ある日を境にパタンと使われなくなっちゃったんだ〜、でもみんな名残惜しいと思ったんじゃない? で、こういう風に進化しちゃったってワケ」


「ッチ、どうでもいいこと喋りやがって…………てことはデフォルトは魔法陣じゃなくて遠隔魔法陣ってことか…………え? じゃあそれを普通に魔法陣って呼んでも良いんじゃね?」


「どうでもいいことって言った直後に分析してんじゃん!?」


 サキ、どうでもいいことはどうでもいいんだ、されど面白くない訳ではないからな。知らない分野を理解するのも冒険ってことよ。

 ってのは今はマジでどうでもよくて!!


 さっきの遠隔魔法陣レモティクス・マジクルが消滅し、新たな遠隔魔法陣レモティクス・マジクルがお次は空中に発生し、こっちに直線上に氷の鉛玉が無数に飛んで来る……コイツを避けるのはちょっとハードだぜ……!


「けど横にズレさえすれば当たらねえ……っ!?」



 魔法陣の射程範囲から外れて安堵した先、眼前にロマリウスが接近していた。


「────あ、がっ」


 受けてしまった。攻撃を。


「ははっ、さっきのお返しだよ」


 ゼロ距離でロマリウスの拳が俺の腹に直撃、クリーンヒットした。

 まさか俺も殴られるとは──


 呻き声を上げながら膝をつき、腹を抱えて蹲る。どうやらコイツ……魔法だけじゃなくて格闘もできるみたいだな……


「さっきのは僕も相当痛かったからねぇ〜、これでチャラだね──」


 バキッ、ザシュッ、と続いて鳴る鈍い音。仕返しをして慢心していたロマリウスは避けることができなかったようだ。


「チャラ? 戦いに来たのはそっちでしょ? それで仕返しなんて反吐が出る……だから私達も仕返し!」


 闘気を含んだサキの拳がロマリウスの顔面にクリーンヒットし、次にクチクの剣で傷を与えることができた……が、


「かッ…………面白いじゃないか」


「────っ!?」


 サキがロマリウスを見るなり目をかっ開く、それは俺もクチクも例外ではない。


 魔物と何度か戦ったことがあれば分かる常識的な現象──

 魔物は大抵()()()()()、塵となり消えていく。

 何も残さずというのは主に血液のことであり、生きている間そもそも出血をしないという、恐らく血液が流れていない存在、それが魔物。



 たがコイツは違った。

 クチクが顔面に斬撃を与えたことにより、ロマリウスの頬が切れたのだろう。





 血が、流れていた。

 その裂傷で、出血していたのだ。



 魔物には絶対に有り得なかったはずの出血。だがそれに驚愕する間もなくロマリウスは人のモノとは思えない雄叫びを上げ、周囲に圧を押し出す。


 ロマリウスの身体から発生した爆風、恐らく魔法なのだろうそれは俺達を一瞬で吹き飛ばす。


「ぐおおおあぁぁぁ!?!」


「うわあぁぁぁっ!?」


「ぐうっ…………!!」


 風速ヤバすぎねえか!?台風以上だろ!!

 俺達を吹っ飛ばした後少ししたら爆風は止んだ。


「ふう……天国まで飛ばされるかと思ったぜ……って何だアレ、凄えコトになってんな」


 体勢を整えた後に見た光景、それもまた驚愕だった。

 一言で言えば『魔獣』、風と共に纏う紫色の炎。

 尋常ではない威圧感、正にこれが魔の真骨頂……『四天王』であると嫌でも分かる。


「おいおい自分から来といて逆ギレかよ、よくやるぜケモノ野郎……俺がその自分勝手な性格に鉄槌を食らわせてやるよ!!」


 どっちかっつーと木槌だがな!!


「アハ、アハハハッ! いやいや、勘違いしないでもらいたいなぁ。僕はねぇ……楽しんでるんだよぉ!!」


 身を焦がすような絶望感と興奮に身体を震わせ、背中から木刀を引き抜く。


「行くぞ、鉄槌ならぬ木槌(きっつい)!!」


 燃え上がる彗星の如き獣。ただ一体に全員の闘志は燃え広がる。


「どぉぉぉらぁっ!!」


 木刀を全力で振り抜き、短剣では与えられそうにもなかった()()でロマリウスに猛攻を仕掛ける。何度か打撃を与えてはいるが、そのほとんどはロマリウスに薙ぎ払われてしまう。サキとクチクも同様、どうやって出しているのか分からない遠隔魔法陣や杖からの魔法攻撃によって手出しがしにくい状況に。


「そんなんじゃ効かないねぇ……!」


「ぐあっ!?」


 ロマリウスが繰り出した右フックの衝撃で木刀を手放してしまった!!マズい、マズいぞこの状況、手も足も出ない……!


(考えろ、他に何か、何かコイツに有効打を与える方法は……!)



 と、脳裏に浮かぶはネルファとの戦い。悪樹の時は正直言って関連性は無いに等しかったが、コイツは経験の上!


「っ、思い付いたぜ……お前をギャフンと言わせるような必殺技……!」


 つぐつぐミハエール王に感謝だな……さあ、準備を始めようか!!

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