↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラフサーガ  作者: 笑太郎
一章 新たな冒険は彗星の如く
12/43

始まる修業、弱音だらけ

「ではまず前提として、『闘気』というものを習得してもらうぞ」


「闘気?」


「何度か聞いたことはある……が、実際に見たことは無いな」


 よく分からない用語に首を傾げる俺達を見かね、ネルファが軽く説明する。


「そうですね……先程の戦いで黒い木刀が光ったのは、あなたの『闘気』による物なのです」


 なるほど?じゃあ、あの橙黄色の輝きは木刀の力じゃなく、俺自身の力だったってのか……ますます分からねえや。


「……で、その闘気ってのは何なんよ」


 ネルファは暫く唸った後、良い感じの返答を思い付いたのか、ハッとする。


「お二人は、……怒ったことはありますよね?」


「そりゃ勿論?毎日がブチギレよ」


「誇張するな」


 何だかクチクにツッコまれるのが通常運転と化してきた……というのはさておき、もしかすると闘気ってのは怒りと関係する物なんだろうか。


「コホンッ、……闘気というのは、簡単に言えば怒りなどの感情の力……そう、感情のエネルギーなのです」


(当たりィ!)


 言い終えると、ネルファは何やら険しい表情で手を前にかざす。


「その感情のエネルギーを操れば……」


 直後、ネルファの掌から、あの紅制エビルウロスを葬った竜巻を横にして直線上に放ったような渦巻く風の波動……ほどの大きさではないが、同じ形をした小さなそれが放たれた。


「こんな事もできるようになりますよ」


「ははっ────」


 いやいやいや、とても俺にできそうにないぞ!?なんっ……へ??直線破壊竜巻波動を俺が放てる??冗談よせやい!!


「無理です」


「諦めないでください……」


「……それを三日間で習得しろって言うのか」


 流石のクチクもちょっとキツそうだ。


「二体のエビルウロスを討伐し、そのうえ紅制といい勝負をしたお二人ならば、三日間で十分でしょう」


 まあ確かに、俺らはそこらの人よりかは戦うのが上手いのかもしれない。ただそんな夢みたいな事が俺にできる気はしないんだな……


「では、早速……」


「あ!待ってくれ!」


 そういえばと、今やっと思い出したことがある。リュックだ。乗馬した時に一応騎士さんに拾ってもらったが、それ以降どこに置かれたか分からない。……リウーナルの時みたいになりたくはないからな、リュックの場所を確認しておきたい。


「俺のリュックってどこに置いたんだ?」


「ああ、リュックなら先程の騎士がお二人の部屋に置かれました。三日間滞在するとなると、お二人専用の部屋も必要ですから。」


 よかった。それなら盗まれる心配も忘れる心配も無さそうだ。


「それでは改めて……修業を始めましょう。 ……と、それ以前に、まずは単純な身体能力の向上からですね」


「グエーーー結局かよ」


「……俺は問題ない」


 早く進めたそうに目を瞑りながら腕を組むクチク。やっぱりやる気が違う。


「で、どんな事すんのよ、筋トレ?」


「はい、まずは王宮の外周をランニング五周……その後腹筋三百回腕立て伏せ三百回スクワット三百回……」


「あーはいはい死んだ死んだ! バイバイ肉体、来世で会おうな!!」


「その筋トレが一日目か」


「そうですね。今日はとにかく身体を動かしてもらいます」


 いやいやいやさっきエビルウロス達とガチバトルしたばかりなんだけど……また動かなくちゃアカンのか!?


「二日目は、闘気を発動する特訓ですね。恐らく二日目は筋肉痛が酷いと思うので、そこまで身体を動かすことはありませんよ」


 なるほどね、二日目は闘気の習得に時間を全部費やすってことか。……もしそれでその闘気とやらが本当に使えるようになったら自由度が広がるぞ……!


「三日目は、闘気の最終確認の後……私との実戦に入ります」


「なっ……!ネルファと戦うって!?」


 赤いエビルウロスの時よりも命の危険を感じる。絶対無事じゃ済まないだろ!dead or deadじゃねーか。


「そうは言っても、私が本気を出すことはありませんよ」


「そりゃ手加減してもらわんと俺ら多分即死するからな?」


 そんなこんなで、一日目のハードな特訓が始まった。



………………

………



 一日目。



「ゼェ……ハァ……オエエエエエッッ!!」


 王宮を一周するのだけで何分掛かっただろうか。一周半の時点で吐きそうなくらいに息切れする俺。


「後三周!」


「フッ、フッ、フッ……ハァ……」


 険しい表情でとにかくクチクは走り続ける。多分走るのには慣れているんだろう、追いつくのでやっとだ。


 そして必死に走り続けること数十分。ようやく残り一周。


「グウウゥゥオオオオオァァ!!」


 残り一周だと分かったからにはやる気が出る。一気にラストスパートを全速力で乗り切り、先の一周よりも二倍近い早さで最後の一周を終えた。


「……ランニング終了。お疲れ様でした」


「ゴヒューーー……ゴヒューーー……」


 地面に倒れ、酸素をとにかく取り入れるために過呼吸レベルで肺を動かす。


「グヒュ……やっと走りきった〜〜……」


 クチクはというと、息を切らしながらもストレッチをするだけの余裕がまだ残っていた。……化け物だ。いや俺が体力不足なだけか!


 そして水分補給した後の十分後、皆さんご存知基本的な筋トレ、腹筋腕立てスクワットの連続が始まった。


 腹筋。


「60……!!ホゲーーー腹筋破裂する!!嫌だ痛い!!」


「ッ……フゥ……フゥ……」


「相変わらずだなお前は!!」


 フィジカルも精神力もだいぶ強すぎる。やっぱエビルウロスを二体も葬っただけあるな……


 腕立て。


「90……!!腕立ては……フグッ……腹筋よりだいぶマシだな!」


「………………」


 なんか怖い。顔、すげえ影。ズズズってしてる。どういう感情?キレてる?腕立てでそこまで怖い顔する人なかなかいないよ。


 スクワット。


「150……!!あ〜〜ダメだ多分明日太もも使い物にならなくなる、これは死にますわ!助けてええええ」


「ッ……ギギ……!!」


 え?何だアイツめちゃくちゃ怖え!!顔にビッシリ血管が……


 ──その後、他の部位も軽く行い、数時間掛けてようやく一日目の修業が終わった。


「はああああ〜〜……もう足動かねぇよ……」


「……そうだな」


 二人して王宮内の壁側に設置されている大理石で作られたような椅子に座り込み、軽く会話をする。


「実は俺今日エビルウロスと戦った時に二階から殴り飛ばされてさあ……」


「なっ、とんだ災難だな……あれだけ動いてて大丈夫だったのか?」


「さあ……明日死んでたら葬式頼むぜ」


「洒落にならんぞ」


 談笑していると、いつの間にかネルファが来ていた。


「本日はお疲れ様でした。この後ディナーがあるのですが、ご一緒にいかがですか?」


「マジか!!行く行く!!」


 王宮のディナーに期待を寄せながら俺達は食堂へと向かった。



………………

…………

……



「やべえ!これ美味ぇぞ!クチクもこれ食ってみ」


「ああ。…………はむっ、美味いな」


 俺達は王宮内にある巨大な食堂で、王都の騎士たちと一緒に食事をしている。これがまた全部美味いんだ。バカでかい肉だったり謎の貝みたいなやつだったり、様々な食材が並んでいる。


「おかわりもありますので、どうぞ遠慮なくお食べください」


 ネルファはそう言いながら、遠慮するなと身体でも表現するように自慢気に口いっぱいに肉を頬張る。


「へへ、サンキュー!じゃ早速この肉おかわり」


 そうして時間が経ち食事を終え、俺達は用意された俺達専用の部屋へと向かった。



………………

…………

……



「うお!ベッドでっか!」


 その部屋はホテルのエントランスのような部屋で、そこにシャワー、ベッドなど、まるでホテルにいるかのような気分だ。


「あぁ〜マジで今日は疲れた……ホント波乱だぜ……」


「そうだな、ここまで色々なことをしたのはいつ振りか」


 朝はリウーナルでリュックを無くしてあたふたし、その後数時間かけて王都に到着した後、三体のエビルウロスと戦う羽目になった。そしてその後、王宮でバカみたいにとんでもないハードトレーニングを……


「もう動きたくないよォ〜〜……」


 そんな弱音を吐きながら、俺達は交代で風呂に入り、明日の修業に備えて早めに寝たのであった────。

王宮を一周で数km、これを五周。

止まればネルファから攻撃が飛んでくる。

スパルタァ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。