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第37話 残念!修羅場の予感です!!

「ん?誰かが選ばれるって、3人同時じゃダメなのかな?ラルフはたぶん貴族になるから、全員と結婚できると思うけど」


「「「っ!本当ですか!!」」」


ガタッ!と椅子から立ち上がる3人。その勢いに押されて少し後ずさりつつ、アイゼルは手で落ち着くように促した。それから、


「本当だよ。位まではハッキリと言えないけど、魔王を倒せば爵位は貰えるよ。……どうせなら、僕がお父様に打診しておこうか?」


「えっ⁉……そ、それは」


「まだ心の準備が、だな」


「ちょ、ちょっと待って下さい!」


アイゼルの提案に、3人は焦って首を振る。だが、アイゼルは少し同情するような顔を浮かべつつも、


「このお茶会での話は、基本的にお父様に報告することになるからね。お父様から3人の気持ちはラルフに伝わっちゃうかも」


「「「えっ⁉」」」


無慈悲な言葉だ。3人の表情は一瞬固まり、すぐにこの世の終わりのような顔に。


(あぁ。可哀想に。いじめられちゃって。……下手な対応をすると僕も揶揄われそうだね。上手く立ち回らないと)


「一応言っておきますが、お兄様が口添えしたからといって婚約者になれるとは限りませんからね。3人の支援者である公爵家との関わりもありますし。……というか、公爵家が婚約者を作るのは許してくれないのでなくて?結婚を縛る契約をする家もあると聞きましたわよ」


「そ、そうなのですか⁉」


「我の深淵を支える者たちが、我を抑制するだと⁉」


「ど、どうしましょう。結婚まで縛られちゃうんですか⁉」


ラルフの言葉で慌てる3人。3人ともそんなところまで頭は回っていないようだ。ラルフは苦笑することしか出来ない。


(契約書はちゃんと読まなきゃダメだよぉ。だまされたら終わりだよ?……まあ、そんなことをこの年齢の子達に言っても意味ないんだろうけどね)


「今度契約書を見せて下さいまし。問題が無いか確かめて差し上げますわ。写しはあるのでしょう?」


「あ、ああ。私は持っています」「我も」「私もです」


「ならチェックは出来ますわね。……あっ。でも、事前に他人に見せて良いかどうかも契約書を見て確認して下さいまし。希に契約内容を人に見せてはいけないとか書かれているものもありますし。契約を破った場合の罰則なども面倒な可能性がありますからね」


「「「は、はい!」」」


ラルフの言葉に3人は頷く。勢いで押されて頷いたような素振りだ。これではしっかりと内容を理解したかどうかは分からない。


(後でラルフとしても確認した方が良さそうだねぇ。色々と手を回すのも疲れるよ)


などと思いながらラルフが考え込んでいると、


「あれぇ~?意外とビッティーちゃんって良い子なのかな?」


「わ、私も申し訳ないが驚いたな」


王族の2人が目を丸くしてラルフを見ている。言われてみるとこの世話焼きな部分は、ビッティーの性格とは少し間違っている気がした。ラルフは素速く考えを巡らせ、


「世話焼き?何を言ってますの?他家から優秀な人材が引き抜けるなら引き抜きますわ」


「「……あぁ。なるほど」」


2人とも一瞬にして納得の表情になる。ビッティーもやはり貴族なのだ、と。


(これで納得するって事は、相当貴族とかドロドロしてるんだろうなぁ。面倒だし疲れそうだし、出来れば関わりたくないんだけど……無理だよねぇ。勇者なだけども関わらなきゃいけないのに、ビッティーのマネとかするんだったらがっつり関わることになるでしょ)


などと思っていると、更にアイゼルから、


「ビッティーはそういうこと考えられて偉いねぇ。……僕の代わりに当主になっちゃう?」


「なりませんわ。冗談でもそういうことはおやめ下さいお兄様。兄弟仲が悪いなどと言われては、他家の干渉を受けるリスクになりましてよ」


アイゼルの言葉に、ラルフは目を鋭くする。ラルフが公爵家の当主になってしまえば、つじつまが合わないところが大量に出てきてしまう。絶対にやりたくない。


(というか、一定年齢を超えたらどうしたって変装じゃ誤魔化しきれなくなるでしょ。男女による体格差とか、声とか。流石に裏声を一日中使うのは喉が持たないと思うなぁ。学園が終わるまで誤魔化しきれれば良いんだけど)


「……でも、ラルフ君かぁ。3人に好かれるなんて、どんな子なのか気になるね」


レアムがラルフに興味を持ったようである。ビッティーの皮を被ったラルフは、それを聞いて内心焦っていた。


(ゲームにも設定資料集にも、ラルフとレアムが顔見知りって言う描写はなかったよね。友人キャラと攻略キャラの仲が良いと、シナリオが変わりそうで怖いんだけど)


シナリオが変わるのも問題だし、もし転生者がいたらラルフも転生者であることが知られかねない。これもできるだけ避けたい。


「ラ、ラルフ君はあげません!」

「む。我らからラルフを取り上げるつもりか?」

「で、出来ればやめて頂ければぁ」


レアムが興味を持ったことで、勇者パーティーの3人に対抗意識が生まれたようである。レアムにでもラルフを渡さないと、強い思いが伝わってくる。ラルフは気恥ずかしさを表面上に出さないように努めた。

アイゼルはラルフの方も見て、ニヤニヤと揶揄うような笑みを浮かべている。似たような表情をレアムも浮かべており、


「どうしようかなぁ~。会ってみて良い感じだったら、婚約を申し出ちゃうかもね。公爵家も、王家との繋がりは欲しいでしょ~?」


「「「なっ⁉」」」

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