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第26話 残念!暗殺系勇者でした!!

「ここの戦場へ出られますか?できれば、私が戦場に行くことやいること自体は隠して頂きたいのですが」


「そこに行くのは構わないよ。そこまで危ない地域でもないし。でも、いることを隠しておきたいって言うのはどういう事かな?」


「前回の戦場がどの程度お膳立てされたものだったのかを自分の目で確かめたいんです。一般的な戦場の様子を見ておきたいとでも言いますか」


「ああ。なるほど。……まあ、構わないよ。1日目は君の存在を伏せておくとしよう。ただ、2日目からは大々的にやるからね。士気向上にもつながるし」


「はい。分かりました」


特に有利でも不利でもない、あまり目立たない戦場。そこにラルフは行くことが決まった。出立は5日後。出発から3日くらいでつく予定らしい。初陣の時ほどではないが、近場の戦場だ。

日程が決まれば、訓練で調整をしたり休息をとったりしつつ準備をする。因みに初陣の功績で王家から褒美が出たらしいが、全てビッティーに奪われたらしい。ラルフは必死に殴ろうとする拳を押さえ込んだり。その様子を見たアイゼルがお小遣いの一部を分け与えようとしてくるのを辞退したり。

そんなことがありつつ、時は過ぎていき戦場へ到着。


「すみません。1日目は自由行動をさせて頂きます」


「はい。お気をつけて」


ラルフは戦場の様子を見たいと言うことで、自由行動にしてもらった。目立たない様にしながら、ゆっくりと戦場の後ろの方を歩いて行く。彼はそのまま戦場を通り過ぎていき、横にある森へと入っていった。ただそこで止まることもなく。更にそこも過ぎ去り、草原へと出た。


「……えぇと。どこだったかな。確かこの辺りだったと思うんだけど」


草原へ出たラルフは、草原の地面へ手をついて何かを探し出す。それを数十分続けていると、ガコッ!と何かを押し込む感覚が。ラルフが少しその場所から離れると。


ゴゴゴゴゴッ!

地面が割れた。雑草を割って出来たのは薄暗い階段。ラルフは警戒する様子もなくその中へと足を踏み入れた。


(ん~。有って良かった原作知識)


この隠し階段は、これまた設定資料集に書かれていたものである。この階段は非常に重要な場所へとつながっていて、ラルフとしても今のうちに処理したいものが待っているのだ。


「……誰もいない、よね」


地上からの光が届かなくなった辺りから、ラルフは警戒を強める。原作ではほとんど人が通ることはないと書かれていたのだが、この暗闇は警戒心を高めてくる。こけないように1歩1歩慎重に階段を降りると、


「降りきったかな」


階段は終了。今度は狭い通路が続いていた。暗闇ではあるものの、ラルフは少し小走りで進む。この通路は意外と長いと原作知識で知っているのだ。歩いても今日中に往復は出来ると思われるが、不測の事態が起こった場合に対応できる時間を残しておきたい。ラルフはこけないように注意しながらも、足に入れる力を強めた。

1時間後。


「……ハァ!ハァハァ。疲れた。そろそろ歩きにしようか」


途中からなんだか走るのが楽しくなってきて、トップスピードで走ってしまった。お陰で若干疲れている。

ただ、そろそろ目的地に近いので、足音でバレないために歩くのは丁度良いと言えば丁度良い。折角なので、教育係のスティラに習った足音を立てない歩き方をしてみた。思わぬところで役立つ暗殺技術である。


(このままこの歩き方を続けたら、スキルが入門から初級くらいにはなるかもね)


それから更に数十分後。


「…………」


ラルフは真面目な顔で、ゆっくりと歩いていた。彼の目線の先には暗い通路でうっすらと光が差し込んでいる。

ラルフは光の差し込んでいる場所に立つと、上を見上げた。そこには幾つかの隙間と、そこから見える上の光景が。

見えるものは部屋の天井と誰かの後頭部。ラルフは毒をたっぷりと垂らした長細いレイピアを構え、


「えい」


そこまで気合いを入れることもなく突き出した。猛毒の付いたレイピアは上にいる者の首をしっかりと貫く。そしてラルフはすぐに上の扉を開き、部屋へと侵入した。そしてレイピアを構えて、


「ていていていていていっ!」


何度も何度も相手を突き刺す。悲鳴を上げる前に喉を突き刺し、力を込めて首を切り落とす。レイピアでは切ることは難しいのだが、無理矢理やった。勇者の力がなかった時には無理だった芸当である。

すると、流石の相手も耐えきれなかったようで、


《ワールドアナウンス。怠惰の四天王レインが勇者ラルフに殺害されました》


《レベル96になりました》

…………

《レベル126になりました》


《スキル『暗殺(入門)』を獲得しました》

《スキル『格上殺し(入門)』を獲得しました》

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