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第23話 残念!宣言されました!!

「ふむ。勇者は自信がないようだな。ならばせいぜい安全な場所で指をくわえていると良い。私たちが勝利を勝ち取ってくるからな……もし勇者が四天王を仕留められるようなら、私たちのことは奴隷にしても構わないぞ」


ニヤリと笑ってラルフを見るライラ。彼女を支援する公爵が、表情を変えているような気もする。だが、それには気付いてないのか分からないが、ライラに続いて


「ふははっ。それは面白いことを言うな。まあ、万に一つもありえんし、我より先に四天王を仕留められるというのならそれも構わないぞ」


「え、ええと。まあ良いですよ。勇者君、弱そうですし」


2人も同じように奴隷宣言をしてしまった。ここが普通の場所ならまだマシだった。だが、残念ながらここは普通の場所ではない。貴族が集まっていることは勿論だが、


「ほぅ。勇者は随分と見下されているようだな。……ではその宣言、余がしっかりと聞き入れた。余の前で宣言したのだから、3人とも取り消しは出来ぬぞ」


王も聞いているのだ。試すような視線を王は3人へ向ける。それに少女達は自信溢れる顔で、


「勿論です。私たちが必ずや四天王を討伐して見せましょう」


頷いた。ラルフとしてはアホなのかと疑いたくなるような事案だ。何せ、これでもし少女達が四天王を討伐したとしても、彼女たちの得られる物は少ないのだから。明らかに自分たちを奴隷とすることには釣り合わない。

名声を高めたり貴族達や王から認められたりはするだろうが、あくまでそれまでだ。どちらかと言えば、少女達よりも支援している公爵家の方が利益を多く得るだろう。

そんな宣言がされた後は問題なく式典が進んだ。そうして式典は終わっていく。

式典から帰る馬車の中、


「……今日の件、どうするかはラルフ君に任せるよ」


「……よろしいので?」


ラルフは公爵の発言に驚く。公爵だから、少女達を奴隷のように扱えるというのは大きな利益となるはずだ。それを手に入れたいと思わないなど、何か裏がある様に思えるが、


「ほら。ラルフ君から例の件を教えてもらって、3家には貸しがあるからね。3人への直接的な命令権も欲しいと言えば欲しいけど、絶対ではないんだよ」


「なるほど」


他の公爵家には貸しがある。その貸しを使えば、必要なときに少女達を使うことも出来る。奴隷とすれば何度か使えるが、そう何度も使いたいと思うような状況にセーナ公爵家が陥るとも思えない。


「とりあえず四天王を倒すかどうかはともかく、戦場の空気は経験しておきたいですね。魔王と戦うときに足がすくんでも困りますし」


「そうかい。では、手配しおくことにするよ。出すタイミングは教育係の2人に任せるから、それに従って動いてね」


「はい。かしこまりました」


その後は沈黙が続く。公爵は公爵で考えることが多くあるようだ。ラルフも今回の件をしっかりと考えることにする。


(流石に3人と仲が悪いままなのはマズいよね。ここで無理矢理距離を詰めてでも仲良くなっておいた方が良いかな。……あんまり時間が掛かりすぎてもマズいし、あそこで動くのが1番かも)


ラルフにはゲーム知識だけでなく、設定資料集の知識もある。どちらかといえば、勇者としての活動の中では資料集の知識の方が使えるくらいだ。その知識を使えば、短期間での四天王討伐も可能。


「くふふふっ」


予想外の攻撃を受けて驚くだろう魔王軍を想像し、思わず笑みが漏れる。その笑みを見て、こんな恐ろしい顔もできるのかとセーナ公爵は戦慄したという。



数日後。


「……ぐぅ⁉」


うめき声が聞こえてくる。剣を落として膝をつく相手に、ラルフは剣を突きつけた。


「……参った。これなら、問題なく戦場に出られそうだな」


膝をついたのは剣術を教えてくれていたレンシス。勇者就任前はギリギリレンシスがラルフより強かったが、就任して得た力により力関係は逆転。まだ力の使い方が分かっていなかった最初期でさえ、圧倒的な力の差でラルフが勝利していた。

力が馴染んだ今となっては、レンシスに加え5人ほどの兵士に囲まれても危なげなく対処できる。そして現在、レンシスは大勢の魔術師に各能力上昇のバフを受けた状態でラルフと戦った。それこそ、この状態の人間が3人いれば四天王にも対抗できるくらいの強さである。だが、それでもラルフは勝利した。戦場へ出る許可が出されるのも当然だろう。


そして、許可を出したのはレンシスだけではない。


「……素晴らしいですね。戦場に出ても問題ないと思われます」


スティラにも認められた。彼女の手にはナイフが。そして、その腕には多量の切り傷が出来ている。

スティラとはナイフによる戦いを行ったのだ。勿論、ナイフでなくてもパンチやキックも可能だ。その勝負でラルフは勝利を収めたのである。ただ、この戦いに関しては、


(正面からだから勝てたけど、奇襲を受けたら無理だったかもね。今後もセーナ公爵家の侍女には逆らわないようにしよう)

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