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第16話 残念!盗聴器でした!!

「さて、ラルフ君は夕食を騎士達と一緒に食べてもらうことになるよ。時間になったら侍女が呼びに来るから待機しているように。自由時間ではあるけど、部屋からは出ないようにね。持ってきた荷物の整理などをしておいて」


「はい。分かりました」


公爵も去り1人部屋に取り残されるラルフ。扉が閉じられると、すぐに何かないかと行動を行う。部屋に置いてあるものをチェックし始めた。


(公爵が監視のために何か仕込んでる可能性もあるよね。布団の中に埋められてるとかだったらどうしようもないけど、探せるところは見ておこうか)


ベットの下。机の裏。椅子の裏。椅子の脚の解体できるところは1度解体したりしてチェックしていく。その結果出てきたのが、


「……これ、盗聴器なのかな?」


怪しいものが出るわ出るわ。とりあえず近くに置いておくのも怖いので、自分の荷物にあった木箱の中へ全て入れておいた。後で公爵にでも渡して、必要の無い物を抜き取ってもらうつもりである。


(暗殺防止用の可能性もあるし、壊すわけにはいかないよね。公爵の知らないものだけ処分できるようにするのがベストでしょ)


おそらく事前に部屋のチェックもされているとは思うが、問題がないならそれはそれでいい。と、思っていたのだが、


「ラルフ君。君は随分と優秀なようだね」


「お褒め頂き光栄です」


公爵の困ったような言葉にラルフは頭を下げた。それから、自分の考えたことを説明する。公爵は更に困った顔をしつつも盗聴器を入れた箱を見て、


「後で騎士に回収させるよ。もし爆発物でも仕掛けられていたら面倒だからね」


「はい。分かりました」


その後、公爵が言ったとおり騎士が来て回収していった。それから夕食に呼ばれて騎士達と交流したりしつつ、その日は終了する。


(あぁ~。近くに親がいない状態で寝るのは久しぶりだなぁ。……この世界に来てからは初めてかも)


そう思うとなんだか寂しい。少しホームシックになりつつ、ラルフは静かに目を閉じた。




「……それでは、これより剣の指導を行う!」


「はい!よろしくお願いします!」


次の日。早速訓練が始まった。ラルフの前では剣を教えるレンシスが剣を構えている。ラルフも同じように剣を構えた。


「はぁ!!」


「ふんっ!」


ぶつかり合う木刀。訓練初日は模擬戦をして、ラルフの剣の腕を確かめるのだそうだ。


「えいっ!」


力としては、ラルフが気力を使うことでギリギリ拮抗できている。ただ、技術の面で少し上回られている状況だ。何度か追い込まれている。


(一応剣の模擬戦だから、蹴りをするわけにも行かないよねぇ)


魔物達と戦ったとき、ラルフは蹴りを多用した。そして、スキルを獲得するくらいには身体に馴染んだ戦いになっている。それこそヴァーム爺には剣と蹴りの組み合わせを見せて、それがあれば国の騎士なら3人も相手できると言われたくらいだ。


(なんて思っても、結局剣しか使えないんだけどね!)


カンッ!

「っ⁉」


「俺の勝ちだな」


何度も打ち合う家にラルフの剣がはじかれた。体力負けしたと考えて良いだろう。


(ん~。技術さえ身につけられたら勝てるかもね。体力は年齢的に厳しいところがありそうだからなぁ)


ラルフはそんなとを考えつつ剣を拾う。それから構え直せば、


「それではもう1度だ!」


「はい!お願いします!」



そうして訓練を続けて数時間後。


「はぁはぁはぁ」


「はぁはぁ。……かなり粘ったな。勇者に見合う力があるとは言えんが、年齢的にはあり得ないくらい強いぞ」


「そ、そうですか。ありがとうございます」


何度も模擬戦を繰り返し、ラルフの体力はもう限界。地に倒れ伏して荒い息をしている。だが残念ながら、このまま休んでいることは出来ない。なぜなら剣の指導が終われば、



「お立ち下さい。お作法のお勉強を行いますので」


「は、はい」


侍女のスティラに声をかけられ、ラルフはよろよろと立ち上がる。これからテーブルマナーや歩き方といったマナーや作法を教え込まれるのである。


「こ、こうですか?」


「違います。右腕が微妙に高いです」


「こ、これで」


「今度は下げすぎです」


指導風景はこんな感じ。かなりスティラは厳しく、内容もハードなものとなっている。ラルフの身体には疲労が蓄積していったが、その結果もあって。


《スキル『テーブルマナー(入門)』を獲得しました》

《スキル『気品(入門)』を獲得しました》


テーブルマナーのスキルと、気品が溢れるようになるスキルを獲得した。剣術を教わるときよりもこちらの時間の方が発見は多かったように思える。

それを使う機会がどれほどあるかというのは別として、だが。


(スキルって、戦闘系と生産系以外にもあるんだね。知らなかった)

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