わがしのふるさとあんこさま1
あんこ。それは和菓子のふるさと。
厳しい修行を経た職人さんだけが作ることを許される特別なもの。
まさかそれが異世界にも存在するとは。
チョコレートと同じく中途半端な知識しかないし、修行したこともない僕が作るのは、職人さんに失礼としか思えない。
でも挑まねばならない!どんなに無謀でも、僕にはその義務がある!
ではイワンさん!お願いします!
…しょうがないじゃない!僕1人じゃ何も出来ないんだから!
あんこを作るにはまず小豆の渋抜きをする。
これはさっきベンジャミンさんの所で済ませてきたので大丈夫。
ここからは一切気を抜けない。
お鍋にたっぷりの水を入れて沸かす。
小豆を柔らかく煮るには時間がかかる。
それに、常に小豆が水に浸かっている状態を保たなきゃいけない。
途中で水を足して、温度を下げる。
下がった温度が再び上がることで、じっくり時間をかけて小豆に火を通すことが出来る。
煮ている間は小まめに灰汁をとる。…ダジャレじゃないよ!真剣だよ!
煮汁が減ってとろみがでてきたら火を弱める。
ここで1度火を落として豆の柔らかさを見る。
指で挟んで軽く潰せるくらいになればオーケー。
いよいよここから味つけに入ります!
再び火を入れ、砂糖を少しずつ加える。
小豆がふつふつと音をたてる状態で、ゆっくり、丁寧に、優しく混ぜる。
ここで大事なのは水の量。
べしゃべしゃなのは勿論論外。そして焦がしてしまえば全てが無駄になる。
焦げた匂いは全体にまわってしまい、リカバリー出来ないからだ。
熟練の職人さんなら、音を聞くだけで分かるという。
まさに匠の技!
初心者の僕に出来るのはイワンさんの勘を信じることぐらいだ。
最後に少しだけ塩を加える。
「ふぅ…。あんこっていったか、こいつはかなり神経を使うな。作業は単純だが、それだけに難しい」
イワンさんも、いつになく真剣な表情だ。
「あい。あんこは、かぎられたしょくにんしかちゅくれない、とくべちゅなもにょなんでしゅ」
「…ほお。なるほど(何でノアがそれを知ってるのか気になるところだが、聞いても無駄だろうな)」
「う?」
「いや、何でもない。それよりこんな感じでどうだ?1度味見してみるか?」
「しましゅ!」
ほかほかと湯気をたてるあんこを匙で少しだけ掬いとる。
心臓がドキドキと騒がしい。
ふうふうと息を吹き掛けて、そっと口に運ぶ。
果たして、結果は
「おいちー!」
やった!成功だー!ばんざーい!
「こいつは驚いた!木の実の種子を煮込んでこんな美味い物が出来るとは!」
「ん~おいちーでしゅ~」
ジンさんのいない今ならつまみ食い、いやいや、味見放題だ!
うまー!
和菓子の登場です!
しかし和菓子と表記するか和スイーツと表記するか、悩んでおります…(我ながらしょうもない悩み)
今日も読んでくださる皆様に感謝します
ありがとうございます




