びしょうじょ(ママ)といっしょ4
「火を使うから少しだけ離れててね〜」
「あい」
強火で玉ねぎを炒めて途中で差し水を加えて蒸し焼きにすると、短時間で飴、いや蜂蜜色の玉ねぎが出来上がった。さすがリリーさん見事な手際だ。
「それじゃあ玉ねぎを冷ましてる間にお肉をこねま〜す」
「あい!」
ででん!と並ぶのは大量のミンチ肉が入った大きなボウル。
どれくらい大きいかというと、そうね、僕が体育座りできるくらい。それが3つ。⋯うん、頑張ろう⋯
「まずは乾燥パン粉にミルクを入れて湿らせましょう〜乾燥パン粉をそのままお肉に加えると〜うまく肉汁を吸わないのよ〜だからミルクで少しだけ湿らせておくのよ〜」
「ほえ〜」
へえ〜パン粉にミルクを入れるのってそんな理由があるんだ。知らなかった。
「卵も先に割っておきましょうね〜ノアちゃんは卵割ったことある〜?」
「ありましゅ!」
ただし、ザルの上で。
向こうの世界にいた時は何の問題も無かった。
けれど、今の僕の小さな可愛いお手々では卵を上手く割るのは難しい。
だからボウルにザルを重ねてその上で割るのだ。そう、文字通り、割るのだ。バキャッとグシャッと。⋯何さ!しょうがないでしょ!うわーん!
「それじゃあ一緒に練習しましょうか〜」
「しゅる!」
情けない話を正直に白状すると、リリーさんは笑わずに優しく教えてくれるという。美少女のいや、聖母の微笑みプライスレス!
ということで、まずは僕の腕前を披露。はい、せーのっ!
「⋯あう〜⋯」
「あらあら大丈夫よ〜ノアちゃん、卵を綺麗に割るコツはね〜力を入れすぎないことよ〜」
「ほえ?」
力を入れすぎないこと?
「一生懸命になりすぎて少し力が強いみたいだから〜もう少しだけ力を抜いて割ってみましょう〜」
「あい」
少しだけ力を抜いて、せーの
「あうっ」
また失敗した⋯けどぐしゃぐしゃじゃない!
「凄いわノアちゃん〜もうコツを掴んだのね〜上手よ〜さあ、もうひとつ割ってみましょう〜」
「あい!」
リリーさんに褒められおだてられ卵を割り続け。そして10個目にしてようやく!
「われたー!」
やったー!ついに割れました卵ちゃん!
綺麗にパッカンと2つに割れて、ザルの中にも殻は欠片も入ってない。やったー!
「凄いわノアちゃん〜完璧よ〜」
リリーさんに褒められてデレデレの僕。え?お馬さん案件はって?関係ないね!卵を綺麗に割れる今、僕は無敵なのだ!ひひーん!
「それじゃあお肉をこねましょう〜まずは塩コショウをふってよ〜〜くこねます〜」
「あい!」
しゃんしゃんしゃんと塩コショウをふりふり。
お肉を混ぜて、ひっくり返して、しゃんしゃんしゃん。混ぜて、返して、しゃんしゃんしゃん。
ぐいぐいとお肉を混ぜていくとだんだんと粘り気が出てくる。
「そうそう上手よ〜ノアちゃん」
「あい!」
まとまってきたらパン粉を加えて混ぜ混ぜ。さらに卵も加えて混ぜ混ぜ。
うぉぉ重たいぃ。けど練れば練るほど美味しいハンバーグになるのだから、負ける訳にはいかない。負けられない戦いが!ここにある!
生玉ねぎを入れると、しゃっきりさっぱり・ポン酢で美味しいあっさり風味になりますが、やはり作者はこってり風味が好きです
カロリーは正義
今日も読んでくださる皆様に感謝いたします
ありがとうございます