いちにちらくのうたいけん2
「ああ、なんて美しい瞳なんだ。吸い込まれてしまいそうだ!おお、素晴らしい腰のラインだね!頼もしくて安心感がある!君の滑らかな毛並みはベルベットにも勝るよ!1日中でも撫でていたいくらいだ!君の揺れる尻尾はとても可愛いね!どんな雄も君に夢中になるだろう!」
「「………」」
「うふふ〜うちの子達を褒めてもらえると嬉しいわ〜」
まるでナンパ男みたいな声掛けをしながら搾乳するチャーリーさんにドン引きの僕とジンさん。ベンジャミンさんは真っ黒いオーラを撒きながらチャーリーさんを睨んでいる。
そんな中、リリーさんだけは余裕というか、むしろ嬉しそうにしている。き、きっと普段から色んな見学者が来てて慣れてるんだろうね。
ナイデルさんは絞ったミルクでいっぱいのバケツをどんどん運び出している。外に大きなタンクがいくつも並んでいて、そこにどんどん溜めていってる。ミルクがたっぷり入ったバケツを何度も運んで持ち上げて、を繰り返している。普段はこれをリリーさんがしているっていうんだからさらにすごいよね…
搾乳が済んだ牛さんはそのまま牛舎を出ていく子と残る子がいる。そして残っている牛さんの半数以上は子牛だ。
「ふおー!こうししゃん!」
「うふふ〜可愛いでしょう〜」
「あい!とってもかわいいでしゅ!」
「出ていった子達は外で好きに過ごすのよ〜残った子達はここでご飯を食べるの〜ここにいる子牛はまだ外に慣れてない子達なのよ〜」
「ほえ〜そうなんでしゅか」
「ええ、そうなの〜だから次はご飯の準備をします〜」
「あい!」
「はい!」
「「はい」」
まずはお母さん牛のご飯の準備をする。
牛さんのご飯と言えば干し草!等間隔に摘まれた干し草の塊をでっかいフォークのような道具でほぐし、広げていく。
こ、これはなかなかの重労働…けど皆は楽々と作業をこなしている。僕も負けてられませんな!
全ての干し草を広げたらお母さん牛とやや大きな子牛さんがもしゃもしゃと食べ始めた。可愛い!そして小さな子牛さんはというと。
「この子牛達はまだ干し草を食べられない子達なの〜だから、哺乳瓶を使ってミルクをあげるのよ〜」
おおー!最初にリリーさんから手紙をもらってから随分経つから半分諦めていたミルクやりが出来るとは!
リリーさんが説明してくれてる間にナイデルさんが哺乳瓶を用意してくれていた。
疑似乳首が付けられた大きなガラス瓶にはミルクがたっぷりと入っている。
「少し重いので気をつけてくださいね〜」
「あい!」
「はい!」
「「はい」」
僕ひとりでは重すぎて持てない哺乳瓶をジンさんに支えてもらいながら抱えると、すぐに子牛さんが近づいてきた。
「ミルクでしゅよー。あい、どーじょー」
子牛さんはぱくりと疑似乳首口に含むと勢いよくミルクを飲みだした。ふおー!すごい!
「そうそう〜上手よ〜ノアちゃん」
「あい!」
リリーさんに褒められながらミルクやりを続ける。
子牛達はかなりの早さで飲むのでミルクやりはあっという間に終わった。お母さん牛達はまだもぐもぐしている。
「は〜い、それじゃあ次は牛達のお部屋の掃除をしま〜す」
広い牛舎の中は真ん中に通路が敷かれており、さらに左右で分けられている。
半分がご飯を食べるスペースで、半分がくつろぎスペースのようだ。
「こっちのスペースが牛達のリビング兼ベッドルームみたいなものなの〜今からここにある草を除けて、新しい草を敷きます〜」
「あい!」
「はい!」
「「はい」」
汚れた草を回収して、綺麗な草と入れ換えると、ご飯を終えた牛さんが入ってきて、くつろぎだした。どの子達も満足そうにリラックスしている。
「は〜い、ここまでで朝のお世話はひと段落です〜お疲れ様でした〜」
「あい!おちゅかれさまでちた!」
「お疲れ様でした!」
「「お疲れ様でした」」
酪農家さんのおかげで美味しい牛乳や生クリーム、チーズが食べられるんですよね。全ての牛さんと酪農家さんに感謝!
なお、拙作における1日酪農体験はかなり適当です←突っ込みは無しでお願いします…てへペロ
今日も読んでくださる皆様に感謝いたします
ありがとうございます




