きみたちのなは…2
「にゃまえ…」
「あら、もしかして考えてなかったの?」
「あい」
全く考えてなかった。意識すらしてなかったよ。
拾った動物に簡単に名前をつけちゃいけません。情が湧いちゃうでしょ。責任も取れないのに。
覚えていない誰かにそんな事を言われていたせいだろうか。
というか、飼うのはナイデルさんの両親であるリリーさんとレオンさんだし、二人がつけるのが妥当だと思うのだけれど。
そう思ってるのが筒抜けだったのか、ナイデルさんには僕が付けるといいと言われた。
「名前は親から貰う最初の贈り物だ。だから、ノアが付けてやれ」
「そうね。この子達のパパはノアちゃんなんだもの。きっとこの子達も喜ぶわよ」
そうだ。名前を貰えることがどれだけ嬉しいか、僕はよく知っている。身に沁みて知っている。
この世界に来て、この世界で1番最初に僕の家族になってくれた人、僕が1番信頼していて、大好きな人を見上げる。
その人も僕の事を見ている。お互いに見つめ合う。胸にこみ上げる気持ちがどれだけ得難くて尊いものか、僕は知っている。
きっとジンさんも同じ気持ちなんだろう。とても優しい顔で僕の頭をそっと撫でてくれた。
「よく考えてやれ」
「あい!」
これは責任重大だね!
◇◇◇
「あら、ノアちゃん眠っちゃったわ」
うんうんと唸りながら難しい顔をしているかと思えば、ゆらゆらと揺れだした。そして頭の重さにつられてぽすりと倒れる。もたれかかる熱と重さに自然と口角が上がる。
「ノア君、今日は朝から大活躍でしたからね」
「隊長、バスケットは俺が返しに行く」
「悪いな。頼む」
「ああ」
一度寝たら滅多に起きないが、それでも慎重に抱き上げる。
初めて会った時には骨と皮と言っても差し支えない軽さと固さだった。
それが今は十分に食べて、寝て。しっかりした重さと子供らしい柔らかい体になった。腕の中の成長の証に感慨深くなる。
最初にノアを診たアルベルトも同じような事を考えてるのだろう。
「さあ、ノアちゃんの体が冷えないうちに戻りましょう。あなた達はどうするの?」
「僕も一度戻ります」
「僕はこのまま残るよ」
ピィピィピィ
一晩でノアよりデカくなった鳥達は軽くノアに擦り寄るとどこかへと走っていった。
聞いていた通り、本当に賢いようだ。
元気で可愛くて賢い。ノアにそっくりだ。そんな事が頭に浮かんで、思わず笑ってしまった。
なんとなくシリアスというか、真面目な回になりました
今日も読んでくださる皆様に感謝します
ありがとうございます




