せんせいといっしょ1
「そこはこうして」
「こうでしゅか?」
「そうです。上手ですよ」
おはこんにちは。皆のアイドルノア君ですよー。
本日は第二託児所もとい、警備部隊の内勤部屋にてお留守番。お守り役はエリックさん。
雰囲気も言葉遣いも穏やかで、ほのぼのとした先生みたいなお兄さんだ。笑うと時々背後にお花が見える。
そんなエリックさんと何をしてるかと言いますと、字の練習です。
◇◇◇
外回りに行くジンさんを見送った後、前から考えてたレシピの作成をしようとお絵描き帳を取り出し、いざ!と張り切ってみたものの。
か、書きづらい!お絵描きの段階で薄々分かってたけど、この小さいお手々、鉛筆を持つのも一苦労。
絵ならともかく字を書くとなるとハードルが高すぎる。うわーん!
「おや、お絵描きですか。これは何の絵ですか?」
ぐぬぐぬ唸っているとエリックさんに尋ねられた。
絵じゃなくて字なんですけど。見えませんか。そうですか。悲しくなんかないやい!
「えじゃなくてじなの。スイーツのレシピかくの」
「……そうでしたか」
何かなその間は。字に見えませんか。そうですか。か、悲しくなんかないやい!うわーん!
「ノア君、良ければ一緒に字の練習をしませんか?その日何をしたか、どんな事があったのか、隊長に手紙を書くのはどうです?きっと喜んでくれますよ」
「しゅる!れんしゅう!」
項垂れる僕を見て良心が痛んだのか、はたまた字の汚さを見かねたのか、優しく微笑みながら字の練習を提案された。
それに一も二もなく飛び付き、今に至るわけですよ。
「ノア君は飲み込みが早いですね。上手ですよ」
「えへへへへ~」
エリックさん、先生っぽいとは思ってたけど、教えるのが本当にうまい。それに誉めて伸ばすタイプみたい。
おかげで練習するのが楽しい。もっと誉めてー!
◇◇◇
「ノア君、もうすぐお昼ですから一旦終わりにしましょうか」
なんと。もうそんなに時間が経ってたのか。
エリックさんに声をかけられるまで気づかなかった。
「ふふ。集中してましたね」
「あい。ジンしゃんにおてがみかいてびっくりさしぇるの」
「ふふ。隊長が帰ってくるのが楽しみですね」
そう言いながら微笑むエリックさんと一緒に食堂へと向かった。もちろん移動は抱っこです。
エリックさんてば着痩せするタイプなのね。すりすり。
今日のお昼はカルボナーラのようなクリームパスタだった。
そのままでも十分に美味しいのだけど、エリックさんは更にチーズを追加している。それはもう、すごい量を。
「エリックしゃん、チーじゅしゅきなの?」
そう尋ねると背後にふわふわ花を飛ばしながら答えてくれた。
「ええ、とても。ノア君もかけますか?」
「んーん、だいじょぶ」
パスタの上にチーズの山ができている。そしてそれを幸せそうに食べるエリックさん。
イワンさんに見つかったら怒られないかしらん。
ドキドキしつつも食事を済ませて内勤部屋へ戻る。
さ、お昼寝の前にもうひと頑張りしますか!
エリックさんのおかげで、最初に比べて大分字が上達した。
へへへ~ジンさんに見てもらうのが楽しみだなあ~。
満腹感と満足感でいっぱいになってそのままお昼寝へと突入した。ぐう。
エリックさんは古文の先生のイメージです。
現代文ではなく←どうでもいいこだわり
皆様にはどんな思い出深い先生がいらっしゃるのでしょうか
今日も読んでいただけることに感謝します




