きょういくとは
やや横に細長い箱型の孵卵器は、内部が淡いオレンジ色の柔らかな光に照らされている。
「ひなしゃん、だいじょぶー?」
「うん、何の問題もない!この様子ならおそらく10日ほどで孵化するだろう!」
「おおー!」
「そんなに早く孵るのか」
「ああ!この雛、というか鳥は孵るのが早いんだよ」
「チャーリーしゃん、とりしゃんのしゅるいわかりゅの!?」
「もちろん!」
「卵の状態でも何の鳥なのか判別つくのがお前らしいよな」
「ハハハ!そんなに褒めないでくれよベンジャミン照れるじゃないか!しかし一点気になる事もある」
気になる事?そう言えば昨日卵を見に行ったときにもそんなこと言ってたね。
「何か問題でもあるのか」
「この雛達、もしかしたらハーフかもしれない」
「「ハーフ?」」
どゆこと?
◇◇◇
豚肉もとい、家畜の豚さんは元々は猪だったというのは僕も最近知ったことだ。
昔々、食用肉を安定して入手するために野生の猪を餌付けして家畜化したとかなんとか。詳しいことは知らないけど。
まあとにかく豚さんの祖先は猪で、豚さんが逃げ出して野生化すると猪に戻ってしまうらしい。知らんけど。本当なのかしらん?
◇◇◇
「鶏でも同じようなことがあるんだよ。家畜の鶏が逃げ出して野生化することが」
「ほえ〜」
「つまりお前が言いたいのは、この雛は家畜の鶏と野生の鳥のハーフかもしれないってことか?」
「そう!その通りだよベンジャミン!さすが僕の相棒だ!」
「相棒は止めろ」
ピキッと血管を浮かせながら応えるベンジャミンさん。黒いベンジャミンさんもカッコいいよ!ひゅー!
「そんなモノがどうしてここの中庭にいたんだ」
「それは僕にも分からない!今は雛達のお世話が最優先事項だからね!」
「ぼくも!ぼくもおせわしゅる!」
「ああ!一緒に頑張ろうノア君!」
「あい!」
「ちょっと待ったノア君。まずはジンさんに確認してからにしようね。こんな変態と一緒に行動するなんて教育上よろしくないよ」
「何を言うんだベンジャミン!僕はともかく動物との触れ合い以上に子供の情操教育に相応しいものはないだろう!」
僕はともかくって言ったねチャーリーさん。自覚はあるんだね。何のとは言わないけど。
「子供の教育には保護者の許可が必要なんだよ。特にお前がが関わる場合は」
それに僕はまだ命が惜しい。
ボソリとそんな声が聞こえた。たぶんそっちが本音だろうな。
僕の筆頭保護者であるジンさんやアルベルトさん、イワンさんと絡むこと増えたもんね。
というか、僕も命の危機だったかもしれない。ベンジャミンさんナイス判断!
自分のことを客観的に見ることが出来るチャーリーさん
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