もぐもぐ&わいわいガヤガヤ
お椀に4種類のお汁粉をよそって、おじいちゃんとオリバーさんの前に運ぶ。
晩ごはん前だけど問題なし。おじいちゃんとオリバーさんも、ジンさん達と同じくらい食べるからね。
「ほっほっ、こちらも美味しいですねえ」
「ふむ。確かに餅とはまた違った美味しさですね。所員への提供の準備はどこまで済んでますか」
「今日の夕食時には100食ほど提供できます」
「ふむ、分かりました。それではすぐに抽選の準備をします」
「はい、お願いします」
「いずれ抽選のシステムもスイーツ研究チームで管理運営してもらうことになりますので、そのつもりでいてください」
「はい、分かりました」
うんうん、どうやら2人にも気に入ってもらえたようだね。
今後の話をしつつお汁粉を味わうオリバーさんとクリスさん。
僕?僕はおじいちゃんのお膝の上で良い子にしてます。
◇◇◇
「おお!抽選の連絡がきたぞ!」
「今回の新作スイーツはショーユを使ったみたらし団子です…だってよ」
「ショーユって昼飯の?あの味のスイーツってことか?」
「全く味の想像がつかねえな…」
「なら、抽選には不参加ってことだな?よっしゃ倍率下がった!」
「参加するに決まってるだろうが!」
「今度こそ当たれ!」
「当たってくれぇぇ!」
「よっしゃ当たったぁ!」
「ぐわぁぁ外れた!」
「チクショー!外れたぁぁ!」
「データのまとめ急いで仕上げるぞ!」
「急いで資料の整理終わらせろ!」
「新作スイーツが待ってるぞ!」
◇◇◇
「ウフフ、あちこち賑やかね〜」
食堂の喧騒を横目にいかにも楽しそうなアルベルトさんに、やれやれといった表情のジンさん。そしてジンさんのお膝の上でイワンさんの絶品晩ごはんをもぐもぐと味わう僕。
周囲を見れば、みたらし団子を食べて大はしゃぎする人や天を仰ぐ人、祈りを捧げる人までいる。
そして対照的に、ハンカチを噛みしめる人や血涙を流さんばかりの人などなど、なかなかにカオスです。
うん、大盛りあがり(意訳)だね!
イワンさんを始めとしたコックさん達の、日々の食事に彩りや驚きをっていうモットーを初めて聞いたとき僕は感動した。
僕がスイーツを作る最大の目的は自分が食べたいから。そしてこの世界にスイーツを広めること。
だけど今はそれだけじゃない。イワンさん達と同じように、この世界の人達に喜んでもらいたいと思っている。
新作スイーツの抽選がある日はそれを実感できるからとっても楽しいし、幸せだなぁって思う。ご飯の美味しさも一入だ。
さあ、今度は何を作ろうかな。くふふ




