おみおくりのじゅんび4
カットする作業は早々に終わったので、今は一緒に座ってお喋りを楽しんでいる。
そう言えば
「クリスしゃん、かたぬきのけいひんはじじしぇんしぇーたちのぶんなんでしょ?」
「うん、そうだよ。じじ先生とお師匠様と、弟達とエレーナさんと、あとミモザばあちゃん達の分も。こんな機会ないからね。遠慮なくもらっちゃった」
えへへといたずらっぽく笑うクリスさんは年相応に見えた。
忘れてたけど、僕を除いて研究所内最年少なんだった。
それにしてもクリスさんてば家族想いだねえ。お兄さん目頭が熱くなっちゃったよ。
コンコン
お、このノックはジンさんかな。
「迎えに来たぞ」
やっぱりジンさんだった。
「おちゅかれしゃまでしゅ」
「まだその格好だったのか」
ぴょいっと椅子から降りてジンさんの足にしがみつくとコック服のままなのを指摘された。
あらやだ忘れてたわん。
「ほれ、着替えてこい」
ぽむ、と背中を押されて慌てて秘密基地へ向かう。
着替えたコック服は手提げ袋に入れておく。後で洗濯しなきゃ。
ちなみに研究所にはランドリー担当の職員さんもいる。
研究員の人達は研究以外のことは何もしない、というか出来ないから、そういう人達のために働いてくれるのだ。
とはいえ、自分のことはきちんと自分で出来る人達もいる。
職員寮の個室それぞれにも小さな洗濯機は備え付けられている。
僕とジンさんはそっちを使うことが多い。洗濯だけでなく、乾燥までしてくれる高性能な洗濯機だから干したり取り込んだりする必要はないからね。
「先にそれ置いてくるか」
そう言ってジンさんは僕を抱っこする。
チーム用の厨房には勝手口もある。そこを抜ければ職員寮まですぐなのだ。
「面倒かけたなクリス」
ちょっとジンさんてば、その言い方だとまるで僕が遊んでいたみたいじゃないか。失礼しちゃう。
「いいえ、むしろこちらの方が面倒を見てもらいましたよ」
クリスさんよく言ってくれた!そうだよジンさん、僕だってちゃんと働いてたよ!計量とか計量とか計量とかしてたよ!ん?何かなその目は?何か言いたいことでも?
「そうか。それじゃあ、また後でな」
「はい。また後で」
クリスさんに手を振って厨房を出る。
ジンさんのなっがい足なら寮まではあっという間だ。
自室についたらコック服を洗濯機にぼいっと放り込んで、ついでにパジャマの用意もしておく。これでご飯の後すぐにお風呂へ入れる。
さて、それでは食堂へ向かいますか。
丼何乗せようかなぁ…←
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