まつりのためのそのご!12
お迎えに来てくれたジンさんに抱っこされてベンジャミンさんと一緒に食堂へと向かう。
「この様子なら準備は万全のようだな」
「あい!」
僕が出す屋台の準備では無いという突っ込みは今更過ぎるのでスルーします。
ベビーカステラの準備はイワンさんが請け負ってくれた。
なので何の心配もない。もーまんたい。
あ、そういえば
「ジンしゃん、あしたのあさごはんはー?」
「ん?ああ言ってなかったか。勿論頼んである。屋台をやる人間は全員朝飯を食ってから準備に入るからな」
なるほど。戦の前の腹ごしらえですね。分かります。
「明日はいつもより早起きしたら、朝飯を食って準備に入るからな。今日はさっさと寝るんだぞ」
「あい!」
とは言ってみたものの。眠れるわけないジャマイカ。
だってお祭りだよ!初めてお祭りの事を聞いた日から、お祭りレシピを考えたり、試作品を作ったり、食べたり、ゲーム屋台を提案したり、遊んだり、そして下準備を続けてとうとう明日!春祭り本番!ヒャッハー!
楽しみ過ぎて眠れる予感がしないよ!
目を爛々と光らせる僕を見て苦笑するジンさん。
何さ、ジンさんだって内心楽しみなくせに!
「そういえば、事務方からこんな物が回ってきましたよ」
そう言ってベンジャミンさんがペラリと紙を差し出す。
覗き込んでみたそれには『春祭り完全マップ!』と書いてある。
今回出る屋台の場所と提供される料理やスイーツの説明。あとゲーム系屋台の説明も書いてある。
これ知ってる。学校の文化祭とかで配られるパンフレットそのまんまだ。
「なんだこれは」
「見たままですよ。今回はかなりの混乱が予想されるから無用の騒動を避けるために作られたみたいですよ。しかもそれだけじゃありません」
ん?それだけじゃないって何が?
はてなマークを飛ばす僕を見てベンジャミンさんは可笑しくてたまらないといった様子で教えてくれた。
「全所員が集まって誰がいつどの屋台を回るかあらかじめ相談してタイムスケジュールを組んだそうです。いわく『紳士協定』だそうですよ」
「「ぶふっ!」」
あはははは!何それ面白すぎでしょ!
ジンさんも口を押さえてぷるぷる震えてる。
「ふふふ。出店側として参加するのは初めてですけど、緊張するよりも楽しみで仕方ありません」
「ああそうだな。俺もだ」
「ぼくも!」
ふんす!と気合を入れる僕を撫でて笑うジンさん。一緒に頑張ろうね!
食堂で待ち合わせていたアルベルトさんも同じ話を聞いてケラケラと笑っていた。
今日の晩ご飯はがっつりお肉だった。明日のために力をつけろ!っていう意図がみえるね。
モリモリと食べて、お風呂に入って。
そして着替えが終わる頃にはほとんど意識が飛んでいた。
眠れないとか言ってたのは何処の誰だって?さあ?知らないよ。
とにもかくにも、明日はいよいよ春祭り!
やっと…やっと…!
今日も読んでくださる皆様に感謝します
ありがとうございます




