まつりのためのそのに!5
うん。無用の心配だったね。
綿あめとそこそこの大きさのかき氷を食べても、お昼ご飯には影響ないみたい。
アルベルトさんもジンさんもベンジャミンさんもついでにオリバーさんとドミニクさんも、いつも通りの量のご飯を食べてる。
皆の内臓って鉄製かなんかなのかしらん。
僕はいつもより少なめ。3時のおやつに備えてね!
でもほんのちょっぴりだけ。ご飯を減らしすぎると保護者の皆が心配するからね。
それも、おやつを食べるために減らすなんて言えば雷一発どころじゃ済まないよ。ぷるり
お昼ご飯を済ませたらジンさんとアルベルトさん、ベンジャミンさんとオリバーさんはそれぞれ仕事へ。
ドミニクさんもオリバーさんが用意してくれた作業部屋でかき氷器の刃の調整をするというので、見学させてもらうことにした。
◇◇◇
「こいつがかき氷器用の刃だ」
ドミニクさんが見せてくれたのは長方形のプレート状の刃だった。
「凍らせた果汁っちゅーもんがどの程度の硬さか分からんからな。ちょっとばかし削っとく」
そう言って刃の両端を器具で固定して、工具箱から研磨用だと思われる工具をいくつか取り出す。
「こいつで荒削り、こいつで中砥ぎ、そしてこいつで仕上げる」
そこからは無言で作業が始まった。
真剣な顔で刃を研ぐドミニクさんの姿に空気がひりつくような気さえする。
今までに見たことのない、職人としての横顔と、力強くも繊細に動く手先から目が離せない。
息をすることすら憚られるような雰囲気の中、作業はあっという間に終わった。
「うむ、こんなもんだな。果汁を凍らせたもんが普通の氷より硬すぎることも柔らかすぎることもないだろう」
「ほあ〜…」
最後に布で磨かれた刃は光って見えるほどだ。
「ドミニクしゃんしゅごい!かっこいい!」
「お?そうか?」
びょんびょんと飛び跳ねる僕に照れくさそうなドミニクさん。あらやだ可愛い。僕の次に。
ドミニクさんはそのままかき氷器の量産に向けて仕様書を書くというので、邪魔にならないように退散。医務室へ行ってお昼寝タイム。
3時が楽しみだなあ〜。
◇◇◇
ハムハム、皆、はぐれずについて来てる?
よし!てっぺんまであとちょっとだよ!頑張ろう!
ふかふかとした雪に足がとられそうになりながら、必死に頂上を目指す。
あとちょっとだ!あと、3歩、2歩、やったー!てっぺんだー!
皆、ありがとう!ここまでこれたのは皆のおかげだよ。さあ、登頂記念のフラッグを立てよう!
キュキュッ
ん?なぁにハムハム?え、何このスコップ…じゃなくて巨大スプーン!?
キュキュッキュ
うんうん、そうだね!フラッグじゃ相応しくないね、このかき氷マウンテンには!
ハムハム、手伝って!せーの、よいしょ!
よし!それじゃあ皆、スプーンは持った?それでは、いっただっきまー
「ふぁっ!?」
「あら、起きた?ノアちゃん」
………夢オチ!
町中で、もかき氷始めました的なものを見かけるようになりました
普通の胃腸をしてる自分はもうちょっと先まで我慢しようかと
今日も読んでくださる皆様に感謝します
ありがとうございます




