どうしてこうなった2
「ふむ。簡単なことです。素人には難しいというなら、玄人が教えればいいんですよ」
な、なんだって?
◇◇◇
オリバーさん、クリスさん、ベンジャミンさん、3人が大人の話をしていると、イワンさんもやって来た。千客万来だわ。
「ーーという話をしていた所です」
「なるほどな、一理ある。しかしここでうだうだ言ってても始まらん。とにかく一度作るぞ。ベンジャミン、時間の余裕はあるか」
「はい、大丈夫です」
「ふむ。私も見学させてもらいます」
という訳で、皆で隣の厨房へ行き、チョコスイーツを作ることになりました。
◇◇◇
そして出来上がったのがこちらの品々でございます!
クリスさんの予想通りの結果になりました。
イワンさんのは3つとも完璧な仕上がり。
さすがイワンさん!初めて作ったとは思えない。
クリスさんもほぼ完璧。フォンダンショコラが少し焦げたくらい。
そしてスイーツ作り初挑戦のベンジャミンさんはというと。
「チョコレートが混ざらない…いったい何が悪かったんだ?レシピ通りに作ったし、手順も2人と同じだったのに」
ベンジャミンさんには2人への質問はしないように、そして2人にはアドバイスはしないようにとあらかじめ頼んでおいた。
その結果、ベンジャミンさんの作った3品は、大失敗という訳ではないけれど…何か変?という仕上がりに。
イワンさんとクリスさんが作ったものと並べて比べるとその差は歴然だ。
味見してみるとそれは更にはっきりと出る。
「この舌触りはちょっと気になるな」
「そうですね。味も、なんというか少し違和感がありますね」
「2人共気遣ってくれてありがとう…」
「ふむ。問題点が見えてきましたね」
今回の失敗の原因、それは温度管理と生地の混ぜ方、この2つだ。
生クリームとチョコレートがうまく混ざらない原因の大半は温度が高すぎることだ。
生クリームを沸騰させてしまったり、湯煎の温度が高すぎたりすると、チョコレートの油分が馴染まず分離してしまうのだ。
あと湯煎の時に水分が入ったりすると、それも分離の原因になる。
分離したチョコレートは、風味が落ちて、ボソボソとした食感になってしまう。
食べられない程ではないけど、美味しくはないのだ。
それに、分離した油分が白く固まってしまうこともある。そうなると見た目も悪くなってしまう。
そして生地の混ぜ方。具体的にいうと、小麦粉の混ぜ方だ。
小麦粉はぐるぐる混ぜると固くなってしまう。
粉っけが残るのを不安に思って必要以上に生地を練ってしまうんだろう。僕も最初はそうだった。
スイーツ作りでよく言う、“さっくり混ぜる”はそれを防ぐためなのだ。
けどそれは、スイーツ作りに慣れていない人にとっては、感覚的な技術であって、見たことも試したこともない人が再現するのは難しい。
オリバーさんのいう問題点とはこのことだろう。
「なるほど、そういうことか」
僕の話を聞いたベンジャミンさんはそれが理解出来たようだ。
一方オリバーさんはというと
「ふむ。しかしこれなら解決は容易いですね」
『え?』
「簡単なことです。眼の前で玄人が実演し、その場で参加者が再現するのを付きっきりでサポートする。つまり教室を開けばいいんですよ」
…な、なんだってぇぇ!?
たかが湯煎、されど湯煎
シンプルなものほど難しく、基礎ほど重要なものもないということですね
今日も読んでくださる皆様に感謝します
ありがとうございます




