いってらっしゃーい
今日もレクリエーションルームから雄叫びが聞こえてくる。
平和だなあ〜。
今日は第2託児所にてまったり。
エリックさんからもらった絵本を読んでいると、いつもの隊服とは違う装いのジンさんが部屋に入ってきた。
アースカラーの上下にゴツい編み上げブーツ、プロテクターを身に着けている。
なんとなく見覚えがあると思ったら、初めて森で会った時と同じ装備だ。
「ジンしゃんかっこいー!」
「おう」
絵本を抱えたままジンさんに駆け寄ると、ジンさんは照れくさそうに短く返事をした。
でもジンさん、その格好どうしたの?
「ノア、昨日も言ったが、俺は今日は夜まで戻らない」
…あ、そういえば、昨日の晩ご飯の時に言ってたね。わ、忘れてマセンヨ。
森に入る研究員さんに護衛として同行するって話だったね。
「晩飯と風呂はエリックに頼んであるから、ちゃんとエリックの言う事聞くんだぞ。晩飯は食いすぎるなよ。歯磨きも忘れるな。あと、風呂にはゆっくり入ってしっかり温まること。それから寝る前は水を飲みすぎるなよ。夜ふかしも禁止だ。いいな」
「あい!」
次々と出てくる言いつけに良い子のお返事をする。
いや、心配してくれるのはもちろん嬉しいよ。
嬉しいんだけどね、完全にママ目線じゃん。
フリフリエプロン姿のジンさんが頭に浮かんで思わず笑いそうになる。
1人笑いを堪えていると、また誰かが部屋に入ってきた。
「ジンさんお待たせしました」
ミルクティーみたいな淡い茶髪に茶色い目のお兄さん。
もしかしてこの人が同行する研究員さんなのかしらん 。
「丁度こっちも準備出来たところだ。ノア、紹介しておく。研究員のカルロだ」
「おはよーごじゃましゅカルロしゃん。ぼくノアでしゅ」
「はいよ、おはようノア君。僕はカルロ。ここで、食べられる植物について研究してるんだ」
「たべられりゅ…おいちいたべもの?」
「「ブフ!」」
「そうだね。食べられる植物が、森で美味しく育つかどうか調べてるんだ」
僕の言葉を聞いてジンさんとカルロさんが同時に吹き出した。いやだわ何でかしらん?
それにしても、美味しく育つかどうか調べるですって!なんて素晴らしい研究なんだ!
「しゅごい!がんばってくだしゃい!」
「はいよ、ありがとう」
「クク。じゃあそろそろ行くか」
「ジンしゃん、カルロしゃん、きをちゅけてー」
いってらっしゃーいと声をかけて2人を見送る。
森で美味しく育つかどうかってことは、実際に何か育ててるのかな。
それとも、種や苗を育ててるとか?
そういえば、もう1か月もすれば春蒔きの時期だなあ。
…もしかして研究所に畑とかあったりするのかしらん?
特殊部隊の軍人みたいな、そんな感じのイメージです
某ゾンビ映画のような(特に2作目推し)
今日も読んでくださる皆様に感謝します
ありがとうございます




