さむいひのすごしかた2
「そういえばフェイ、貴方の郷ではそろそろ鬼祓いの時期ではありませんか?」
「ああ〜そうだネ。すっかり忘れてたヨ〜」
「おにばりゃい?」
なんぞそれ?
「僕の郷の祭事だヨ。神様の木の枝で体や家を撫でたリ、銀製の物を当てたりしテ、体の中や家の中から悪いモノ、鬼を追い払うんだヨ」
「なんでお前がそんなもん知ってるんだ」
「以前、フェイの郷について書かれた本を読んだことがありまして。ノア君、どうでしょう何か参考になりませんか?」
なるほど。さすが読書家エリックさん。
てゆーか悪いモノを追い出すって、それってつまり
「せちゅぶん!」
じゃないですか!
「「「せちゅぶん?」」」
やだイケメンの赤ちゃん言葉可愛…くはないな。違和感しかない。
イケメンだからってなんでも許されるわけではないことが証明されたね。
「つ!しぇ!ちゅ!ぶん!でしゅ」
あああ舌がまわらにゃい!
「『せつぶん』か。で、何なんだそれは?」
「おにはーしょと!ふくはーうち!でしゅ!」
「こっちの国の鬼祓いってコト?」
「でしゅ!」
(おい、エリック、聞いたことあるか?)
(いいえ、私も聞いたことがありません)
(そうか…)
豆撒きくらいじゃ運動とは言えないかもだけど、研究所の人達ならそれぐらいで丁度いいはずだ。…たぶん。
そうだ、豆まきの代わりに的あてなんてどうだろう!
ゲーム性があって盛り上がるんじゃなかろうか。
的あてなら雪合戦と違って犠牲者、いやいや、被害者、じゃなくて、不運な方も出ないだろうし。
それに景品とか用意すれば参加者も増えるはず!
まあ、それについてはおじいちゃんかオリバーさんに相談しなきゃだけど。
うおー!テンション上がってきたー!
1人盛り上がって、ジンさんとエリックさんがアイコンタクトをしてるのに気づかない僕なのであった。
◇◇◇
節分とは、1年間健康に過ごせますようにと、悪い物を追い出す行事であ〜る。
研究漬けで不摂生な生活を送る研究所の皆様にはぴったりの行事だね!
僕が知ってる節分といえば鬼の面を付けた人に豆を投げるんだけど…
研究所にはジンさんがいることだし、黙っていよう。うん。
フェイさんの郷流に、ちょっとアレンジを加えようかな。
フェイさんの郷では病気とか悪運とかそういったモノはひとまとめに鬼と呼ばれてるらしい。
そしてフェイさんが言ってた神様の木の枝っていうのはヒイラギのことらしい。
鬼はトゲトゲした葉っぱと銀が苦手で、近づけると逃げていくと信じられているんだって。
ヒイラギは確か中庭にもあったはず。銀製の物については…後で考えよっと。
『おにはそと』はこれでよし。
『ふくはうち』はどうしようかな。
う〜ん、ふくはうち…ふくはうち…あ、何か渡すのはどうだろ。
鬼を追い払って、福を内に招くって、良い感じじゃない?
何を渡そうかな〜って、そんなの決まってるでしょ!くふふ
豆菓子って昔はそんなに好きでもなかったんですけどね、大人になると好きになりました
歳を重ねるのも悪くない
今日も読んでくださる皆様に感謝します
ありがとうございます




