もうひとつのハッピーバースデー2
「よーし、こんだけ焼けば十分だろ」
「すげー!めっちゃ大量!」
「これだけあったらお店できそうだねー」
テーブルの上には大量のジャムクッキー。
家族皆の分と、ミモザばあちゃん達の分だ。
今年のじじ先生の誕生日祝いは、ミモザばあちゃん達は不参加だから、ラッピングして届けることにした。今は冷めるのを待っている。
「よし、じゃあもう一品作るよ」
「「へ?」」
「お、まだ何か新しいスイーツがあるのか?」
「ええ。誕生日を祝うためのバースデーケーキです」
バースデーケーキについて説明すると、お師匠様は興味深そうに、トーリーとネイトは期待に表情を輝かせている。
ノア君やイワンさん達のバースデーケーキのことも話しながら、4人でデザインを考える。
「やっぱじじ先生といえば猫でしょ!」
「そうだねー。僕もそう思うー」
「じゃあ猫の形のバースデーケーキで決まりだな」
「「さんせー!」」
◇◇◇
まずは丸い型でスポンジを焼く。
ノア君に教えて貰った通り、細かく挽いた茶葉を生地に混ぜる。
こうすると、紅茶味のスポンジが出来るらしい。
練習も兼ねているので、いくつか焼いておく。
焼き上がった生地を半分にスライスして、ナイフで猫のシルエットを切り出す。
ひとつは猫の顔の形に、もうひとつは座った猫の形に、もうひとつは丸のまま。
「クリス兄ちゃん、これは切らないの?」
「丸いケーキの上に果物とかで猫のシルエット描くのもいいかと思って」
「確かにー。それもいいかもー」
「うし、生クリームの準備出来たぞー」
「ありがとうございますお師匠様。それじゃ、作ってみようか。練習だから、失敗しても気にしないようにね」
「「はーい!」」
生クリームに果物、ジャムやチョコレート、ココアパウダーなど、デコレーション材料は、豊富に用意してある。
3人とも思い思いに手に取って飾りつけはじめた。
「うっし、完成!」
「「出来たー!」」
お師匠様は丸いスポンジを選んでいる。
スポンジにベリージャムを塗って、苺と生クリームをサンドしてあり、側面も綺麗に生クリームが塗られている。
トップにはバランスよく苺とベリーが散りばめられ、ベリージャムでのびをする猫のシルエットが描いてある。
ネイトが作ったのは猫の顔の形のケーキ。
苺と生クリームを挟んである。側面に苺の断面が見えるように配置してある。
トップには、紙製のコルネに溶かしたチョコレートを詰めて、それで目やヒゲを描いてある。片耳にだけココアパウダーをふってある。
トーリーが作ったのは座った猫の形のケーキ。
生クリームと数種類の果物を挟んである。
トップには隙間なく果物がのっていて、まるで果物で出来たカラフルな猫のよう。
そして僕のは、
「ほおん、チョコレート味にしたのかクリス」
「はい。紅茶とチョコレートも相性がいいと聞いたので」
「「美味しそう!」」
僕のはネイトと同じ、座った猫の形のスポンジ。
生チョコクリームと苺をサンドして側面にもクリームを塗ってある。トップには削ったチョコレートと、首輪の位置に小粒の赤いベリーを乗せてある。
「さすがお師匠様、塗りが完璧ですね」
「クリス兄ちゃんの黒猫も可愛いねー」
「トーリーのは果物いっぱいで美味しそう!」
「ネイト、お前なかなか絵心があるな」
「なあなあ、これ4つ全部出そうぜ!」
「賛成ー。賑やかでいいと思うー」
「そうだね。きっとじじ先生も喜んでくれるよ」
「じゃあ俺の料理でさらに賑やかにしてやろうじゃねえの」
「まだ下準備ありますよね、手伝います」
「おう頼むわ。トーリー、ネイト、お前らはもう戻ってろ」
「「はーい」」
◇◇◇
トーリーとネイトが部屋へ戻ると、途端に静かになる。
お師匠様とふたりきりになるのもずいぶん久しぶりだ。
「仕事は楽しいみたいだな」
「うん。全然うまく出来なくて、もう辞めたほうがいいって思ってたけど、今は辞めなくて良かったって思ってる」
「そうか」
ニヤリと笑って頭を撫でてくれるお兄ちゃんは、弟の僕から見ても格好いい。
僕も、弟達に格好いいと思われる大人になりたい。そう思った。
ふたりきりなので弟モード100%のクリスさん
年の差兄弟尊い
今日も読んでくださる皆様に感謝します
ありがとうございます




