うかれるひと
「彼女こそ俺の運命の女神だ!」
な、なんだってぇぇ!?
◇◇◇
さてさて、今回はどんなスイーツを作ろうかなあ〜と考えていると、声高らかに登場したのはキースさん。
「またっすかキースさん…で、なんて言ってフラレたんすか?」
「まだフラレてねえよ!」
おお、僕もリンクスとおんなじ事考えてた。
って、それはさておき。
「どんな人なんすか?」
「よくぞ聞いてくれた!彼女はディアナ!波打つような銀髪と青い目で、俺のような厳つい大男にも怖がることなく接してくれる、外見だけでなく内面も美しい、まさに月の女神のような人だ!」
「へえ〜!そんな人がこの世に実在するんすね。で、そんな美人さんとどこで知り合ったんすか」
「それはだな!」
休日に街へ行ったキースさんは、馴染の食堂へ向かう途中で、うずくまってる人を見つけた。
近づいてみると、その人は石に躓いて、転んだ拍子に足を挫いてしまったそうな。さらに買物帰りで荷物も多くて途方にくれていたそう。その人こそディアナさんだ。
話を聞いたキースさんは荷物を拾い集めると、なんと、ディアナさんを抱き上げたのだという。ひゅー!かっこいー!
そのまま、恐縮する彼女を自宅まで送り届けたキースさん。
お名前を、と聞かれたが、友人を待たせていたため名乗らずその場を去ったそう。
5連続失恋のダメージにどっぷり漬かっていたキースさんはそのまま友人達とお酒を過ごして、酷い2日酔いでこちらへ帰ってきた。
そして次の休日、街で買物をするキースさんに運命の再会が。
「貴方のような紳士には今まで出会ったことがありません。どうかお名前を聞かせて下さいって言われてな!それで、是非お礼をしたいから、一緒にお茶でもって言われてな!」
「嘘でしょ!?」
「嘘じゃねえよ!」
驚愕の表情を浮かべるリンクス。だいぶ失礼だね。てゆーかさっきからやけに辛辣だね。
けど、そう言いたくなる気持ちもわからなくはない。
「また会う約束もしたんだぞ!」
「嘘でしょ!?」
「嘘じゃねえよ!」
助けてくれたお礼だから、とその時のお会計はディアナさんが出したそう。
しかしそこでキースさんが、男が奢られっぱなしではいられない、お礼のお礼をさせてほしい、と言って次の約束を取り付けたそう。
「マジっすかキースさん!」
「おう!マジだ!今度こそ、俺は運命の女神と幸せになるぞ!」
「うわー信じられねえ!でも頑張って下さいキースさん!応援するっすよ!」
リンクスがボソッと、もうこれ以上自棄酒飲んで酔い潰れるキースさんの世話したくねえ。と言ってる。
なるほど、この間からやけに塩対応だと思ったらそういう事か。
しかしここ最近の落ち込みっぷりを見てるだけに、うまくいってほしい。
あと単純に、キースさんが優しい人だっていうの知ってるから、幸せになってほしいなって思う。
さてさてこの恋の行方やいかに?
キースさん、春の予感!
この話の結末やいかに←
殺伐とした現実を忘れるために甘酸っぱい話が聞きたい…
誰か聞かせてください
今日も読んでくださる皆様に感謝します
ありがとうございます




