はかないゆめとげんじつ
「魔力の有る無しは生まれつきのもので、魔力の有る人は生まれた時から胸に模様があるからすぐに分かるのよ」
ショックのあまり固まっている僕の頭を撫でつつアルベルトさんが説明してくれた。
そうか。残念だけど使えないもんはしょーがないね。切り替えてこう。くすん。
テキパキと片付けをするジンさんを見つめているとまたもや眠気がやってきた。
「ふふ、眠たいのね。我慢しないでいいから寝ちゃいなさい。」
目をくしくし擦っているとアルベルトさんに布団をかけられポンポンされた。
あーそれもうダメ。ぐぅ。
◇◇◇
うむぅお腹空いた。安定の燃費の悪さ。
はいはい燃料補給ですね。起きますよー。
「起きたか」
「ジンしゃん…」
ベッドの脇にジンさんがいた。約束どおり傍にいてくれたようだ。
ゆっくりと体を起こそうとすると、すかさず支えてくれる。やだイケメン。
「ほら、水飲め」
そう言うとストローのささったコップが差し出された。
「ありがとごじゃましゅ」
はぁ~染みるわ~。
柑橘の香りの水をごくごく飲んでいると今度はドライフルーツらしき物を渡された。
「昼飯までまだ少し時間があるから、これ食って待ってろ」
「あい」
てゆーか何コレでっか!僕の手の平より大きいんだけど。ご飯前にこんなに食べられないよ。僕の胃袋を過信してないかいジンさんや。まあ食べるけども。
噛りつくと甘い香りが口いっぱいに広がる。
んん~!何コレめちゃくちゃ美味しい!何の果物なんだろ?うまうま。
「うまいか?」
もぎゅもぎゅと頬張っていると、イケメンスマイルを浮かべながら聞いてくるジンさん。
眩しっ!イケメンスマイル眩しっ!ごちそうさまです!
「あい。おいしいでしゅ」
「そうか」
元気よく返事をすると、笑顔で僕の頭を撫で、手元の書類に何やら書き込み始めた。仕事かな?
ペンの音を聞きつつドライフルーツをもぐもぐ。
穏やかで静かな時間。縮んでからこっち、ずっと騒々しかったから落ち着くなぁ。こんな時間が続けばいいなぁ。
しみじみとそんなことを考えていると
「ノアー!来たぞー!」
バターン!と響くドアの音と共にリンクスが登場した。
…短い夢だったな。
そしてリンクスよ、ジンさんの顔を見るがよい。とても恐ろしい事になってるぞ。プルプル
この後の展開は容易く想像出来る。頑張れリンクス。合掌。
医務室には入り口が複数あるということで。
間取りとか見るのは好きですが考えるのは苦手です。
大目に見てくださる優しい皆様、今日もありがとうございます