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あいをこめておくりものを

「やられたな」


「ああ、やられたな!」


「やられちゃったわねぇ」


んふふ~二重サプライズ大成功!


「「「今度はこっちの番だな(ね)」」」



イワンさんがごそごそとワゴンの下段から取り出したのは正方形のフードカバー

…なんか、見たことあるサイズ感。主にケーキ屋さんで見るサイズ感。

左右に握り手がついてるタイプのフードカバー、それが僕の前に置かれた。


「さ、ノアちゃん、開けてみて」


楽しそうなアルベルトさんの言葉にフードカバーの握り手を掴む。

中に入ってるであろう物に触らないように、慎重に持ち上げる。

そこにあったのは、予想通り、いや、予想以上のホールケーキだった。


「ふわぁぁぁ!」


すごい!生クリームのケーキに色とりどりの果物が美しく飾られてる。それだけじゃない。


「ハムハム!リスしゃん!うさしゃん!ねこしゃん!いぬしゃん!」


なんとチョコレートで出来てるであろう、愉快な仲間達がのっている。

どれもテオバルトさんが作ってくれたぬいぐるみ達そっくりだ。

まるで果物の森で楽しく過ごす愉快な仲間達みたい。可愛い過ぎる!


「このケーキのアイデアを出したのはジンだぞ」


「型を作るのにテオにデザイン画を描いてもらって、ベンジャミンに作ってもらったのよ」


「で、総仕上げはイワンとクリスだ。…本当なら、お前にノアって名前を贈った日を誕生日にしようと思ってたんだがな。まあ、こんな祝い方もありだろ」


椅子の上に立って喜ぶ僕からそっとフードカバーを取り上げ、そう言うジンさん。

僕のために、僕が好きな物でケーキを作ってくれたこと、そして何より、僕の誕生日を考えてくれていたことが嬉しくて嬉しくて、涙がこぼれた。


「これからも毎年、お前の誕生日を祝おう。それと俺達の誕生日も祝ってくれ」


さっきと同じように、でもうんと優しく、僕をぎゅっと抱きしめるジンさんの言葉にますます涙が止まらなくなる。


「あい、おい、わい、しゅる、じゅっと、しゅる」


顔をあげて、途切れ途切れ返事をすると、優しく笑うジンさん達の笑顔があった。

皆大好きだと、改めて思った。


◇◇◇


顔を拭いて鼻をかんで、アルベルトさんとイワンさんともハグして。

いよいよお待ちかねのロウソクタイムです!


「じゃあ、皆、準備はいい?」


「「おう」」


「あい!」


ロウソクに火を灯して、部屋の灯りを落としたら、願い事を心に浮かべる。

ロウソクの柔らかな灯りの中、皆で一斉に火を吹き消す。

一瞬の暗闇と静寂。パッと部屋の灯りが点く。誰からともなく拍手が起きた。


「今までで1番の誕生日祝いだ」


「ああ!間違いないな。人生で1番の誕生日祝いだ」


「本当に!とってもマンティックな誕生日祝いだったわ」


「「「ありがとうノア(ちゃん)」」」


「ぼくも、ありがとーなの」


お互いにお礼を言ったら、イワンさんがケーキをカットしてくれた。

それぞれ4種類のケーキを1片ずつ(僕の分はちょっと薄めにね)、チョコレートで出来た森の仲間達もわけっこして。

イワンさんとクリスさんが作ってくれたケーキはもちろん、自分が作ったケーキも、不思議と美味しく感じた。

きっと皆で食べてるからだろう。

ああ、なんて幸せな1日なんだろう。


え?僕が何を願ったかって?内緒だよ。でも、そんなの言わなくても分かるでしょ?


365日、誰かの誕生日で、誰かが祝って、祝われて

そう思うと、毎日がいとおしいと思うのです


今日も読んでくださる皆様に感謝します

ありがとうございます



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