スイーツかくめい☆あいをこめてバースデーケーキを1
ジンさんが研究所の外の見回りをする日、お昼寝を早めに済ませた僕はアルベルトさんと一緒に部屋の飾り付けをする。
壁にガーランドを吊るし、借りてきた大きめのテーブルには可愛いペーパーナプキンと、中庭から摘んできた花を活けた花瓶を置く。
クラッカーも用意してもらった。使うのは初めてなのでちょっと楽しみ。
飾り付けが終わると、イワンさんがワゴンにたくさんのご馳走を乗せて運んでくれた。
サラダにスープ、メインはお肉料理と魚料理の2種類、さらにパイまで、たくさんのご馳走がテーブルに並べられる。そして、中が見えないシルバーのフードカバー。これの中を見たらジンさんはどんな顔をするだろう。
ジンさんには、夕食の前に部屋に戻ってくるようにとエリックさんに伝言を頼んでおいた。きっとそろそろ戻ってくるはずだ。
足音が近づいてくるのに気づき息を潜める。
そしてドアが開いた。
パンッ!パンッ!
「ジンしゃんおたんじょーびおめでとー!」
「「おめでとう!」」
クラッカーを鳴らして、お祝いの言葉でジンさんを迎える。
クラッカーから出た紙吹雪を浴びながら固まるジンさんの手をひっぱる。
「ジンしゃんのおたんじょーび、きょうじゃないけど、おたんじょーびパーティーしたかったの。アルねえしゃまとイワンしゃんにてちゅだってもらってじゅんびしたの」
「いつまで固まってるのよジン」
「お前さんの好物、腕によりをかけて作ったぞ!」
ジンさんはようやく我にかえったよう。
「これ、全部お前らが用意してくれたのか」
「発起人はノアちゃんよ。アンタの誕生日祝いを一緒にしてほしいって」
「そんな面白い話は断るワケがねえだろう!」
「そうか…なんだ、その、ありがとう」
ぽりぽりと後頭部をかくジンさんの表情はいかにもくすぐったそう。そして嬉しそう!んふふ~
「ありがとうなノア」
「えへへ~どいたちまちてー」
「さあ、乾杯するわよ!皆グラスは持ったかしら」
「「おう」」
「あい!」
「それじゃあノアちゃん、お願いね」
「あい!ジンしゃん、おたんじょーびおめでとー!」
「「おめでとう!」」
「おう、ありがとう!」
音頭に合わせて乾杯!
アルベルトさんから贈られたワインと、イワンさんの絶品料理に舌鼓をうち堪能するジンさんの姿を見るとこちらも嬉しくなる。頑張った甲斐がありました!
そして、料理が無くなるタイミングで、いよいよ本日のメイン、誕生日ケーキのお披露目です!
イワンさんと目配せしあい、部屋の隅に置いてあったワゴンをゴロゴロとテーブルまで押して、ジンさんの側につける。
「ジンしゃん、こりぇとってくだしゃい」
促すと、ジンさんがシルバーのフードカバーを持ち上げる。
そこから出てきたのは、苺の赤が映える真っ白い生クリームのホールケーキ。
大粒で甘味の強い苺を中にもトップにも贅沢にどっさりと使っている。
シンプルな物を好むジンさんにぴったりの、王道の苺のケーキである。
スポンジと生クリームの用意はイワンさんにお願いしたけど、生クリームを塗ったり絞ったり、苺をのせたりとデコレーションをしたのは僕だ。
なので仕上がりはちょっとばかり、いや、だいぶ、ぶちゃいくだけど、愛情はたっぷりである!えへ
真ん中にはいびつな字で"おたんじょうびおめでとう"と書いてあるチョコプレートがのせてあり、ロウソクも数本たててある。
「ぼくからのプレじぇント、おたんじょーびケーキでしゅ!どーじょめしあがれ」
「キャー!可愛い!」
「飾り付けは全部ノアがしたんだぜ、ジン」
フードカバーを持ったまま、ケーキと僕を交互に見ていたジンさんは満面の笑みを浮かべると僕の前にしゃがんだ。
「最高の誕生日プレゼントだ。ありがとうノア」
静かにそう言って、ジンさんは僕をぎゅっと抱きしめてくれた。
年齢を始めとしたキャラクターの細かいプロフィールは決まっていないことをお知らせします←
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