キュウちゃんのパパさん1
「キュウちゃぁぁぁん!」
一大事だぁぁ!
◇◇◇
チーズケーキにグラノーラバー、タルトタタンにアップルパイ、あんこにカスタードプリンにキャラメル。
大量の出来立て熱々スイーツを、迅速に冷やすために八面六臂の大活躍。もはやスイーツ作りに欠かすことの出来ないキュウちゃんが
「故障だな。酷使しすぎちまったなこりゃ」
確かにブラックな労働環境だったな。
ホワイトでアットホームな職場のはずが…いやそうでもないな。特にスイーツ作りにおいては厨房の皆さんが毎回ひどい目にあってるな。イワンさんとクリスさんは平気そうにしてるけど。
まあでもこの世界でのスイーツの発展のためだ。尊い犠牲だよね。
それよりも!キュウちゃんのことだ。
「キュウちゃんなおりゃないの?」
「うーむ、取扱い説明書に載ってる方法は一通り試したが動かねぇな」
そんな!キュウちゃんが使えないとなると、スイーツの提供に大幅な遅れが出る。
そうなれば最悪暴動が起きるかもしれない。
「こうなりゃ副所長に頼むしかねえな」
そっか。そういえばキュウちゃんはオリバーさんの伝手で職人さんに作ってもらったんだっけ。
なら善は急げ。さっそくオリバーさんの所に突撃だ!
◇◇◇
「ってなワケでな。職人に渡りつけてもらえるかい」
「ふむ、スイーツがかかってるとあらば急がないわけにはいきませんね。すぐ連絡ををとりましょう」
オリバーさんのおかげで話はトントン拍子に進んだ。
「多少頑固ですが、偏屈ではありませんから大丈夫ですよ」
とはオリバーさんの談。…本当に大丈夫なのかしらん。
ということで本日、僕とイワンさん、そしてキュウちゃんも一緒に職人さんの工房を訪ねることになった。
ちなみに今回はジンさんとアルベルトさんはお留守番だ。
◇◇◇
『ドミニク工房』
木の板に工房名を焼きつけただけの武骨な看板。
何を作るとも、修理するとも書かれてない。自信の表れなのか、頓着しない質なのか。
建物からは、機械音が響いてくる。
ドアにはベルがかかってるけど、これじゃあ聞こえないだろう。
イワンさんも2、3度軽く鳴らしただけで返事を待たずに扉を開ける。
扉を開けるとすぐに机と椅子がある。応接用だろう小さいテーブルと椅子が3つ。
応接スペースは2畳程度で、あとは何かよくわからない機械や工具がのった大きな机がいくつか。乱雑としてはいるけどゴミは落ちてない。
そして1番奥の机で作業をしている人がいる。
「おーい!あんたがドミニクさんかい!」
少しだけ近づいて呼び掛けるも、気づいてもらえない。
何度か呼び掛けてようやく振り返ったその人は鍛冶妖精そのものだった。
ドワーフキター!!低い身長に筋肉ムキムキのずんぐりむっくりというに相応しい体型。髪と髭は赤土色。あ、三つ編みにした髭に銀のアクセサリーをつけてる。カッコいい!
感動にプルプル震えていると、ノシノシとこちらへと来た。
イワンさんと並ぶとその身長差は大人と子供どころではない。
「何だアンタは。うちに何の用だ?」
「国立研究所のもんだ。オリバー副所長の紹介で来たんだが」
「ああ、アンタが。オリバーから話は聞いてるぜ。俺が作った魔工品をずいぶんな扱いしてくれたみてえじゃねえか」
ギロリと睨まれ、言われた言葉に固まる。
あ、あれ、もしかして怒ってらっしゃる…?
ここだけの話、ドワーフにするかドワーフ風一般人にするか悩んでます。どうしたもんか…←
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