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4.試験終了

 試験も終了して四方八方に生徒たちは消えていく。試験結果は翌日に知らされることとなっている。あまりに早すぎるかもしれないが、的となった人形自身が与えた損傷を測定している。あとは試験官が本当に本人かどうかを照らし合わせるだけだ。


 シスタのように人形に届いてさえいない生徒たちは記録なしとなり、反対に下位クラスから埋めていく。このようにクラスは分けられる。


 ___


「あぁ、嫌だなぁ。友達出来るかなぁ」


 シスタはマリアの隣で嘆いている。彼はマリアと同じクラスになれないことを理解していた。


「心配すんなって。違うクラスでも遊びに行ってやるからさ。なんならシスタと話が合いそうな奴も紹介してやるよ」


 マリアもシスタと同じクラスにならないことを分かっている。その代わりにアルマを彼に教えようというわけだ。シスタがマリア達の特殊な状況を信じるかは分からないが。


「ところでシスタは寮なのか?」


「うん。パパに言われて・・・」


「へぇ。部屋は何番?」


「208だよ」


「まじか!?惜しい!俺206なんだよ。隣だったら良かったな。それにしても部屋に何もなくて笑っちまったよ。机とベッドだけしか無いなんてな」


「マリアは何も持ち込んでないの?」


「持ち込む?何を?」


「ベッドとか。本とか。絨毯とか?」


「まじか!母さん知ってて黙ってたな」


 シスタ曰く、寮生は自分の部屋を快適にすることは当たり前のようだ。彼もまた本と本棚、座りやすい椅子、柔らかなベッドを持ち込んでいた。

 マリアの部屋は学校から与えられた本当に最低限の物だけということだ。


「本・・・」

「鏡・・・」

「ベッド・・・」


 その事実を知ってマリアの中の3人も嘆いていた。


 __


 マリアとシスタの2人は他愛ない話をしながら一緒に寮へと帰ってきた。扉を1つ挟んで別れの挨拶をして部屋へと入る。


 マリアはベッドに横になった。持ち込みが可能という話を知ってしまうとベッドの固さが非常に不愉快に感じた。


「なぁ、アルマ。シスタにお前らのこと話してもいいか?」

「どうせ。マリアが隠せるとは思ってないから別にいいけど?でも、信じてもらえるかは分からないよ?」


「口調とか違いすぎて、すぐに分かるだろ。なんならデルフを最初に教えてみるか?」

「嫌だよ・・・。僕は出来るだけ表に出たくないもん」


「だよな。まぁ、アルマ頼むわ」

「分かったよ。僕も彼とは話してみたいしね」


 シスタにアルマの存在を伝えることが決まった。ベントとデルフともう1人についてはまた後日考えることにした。


「ところで俺たちはどのクラスになるかな?」


 マリアが疑問を口にする。彼にとっては上位クラスに入ることが望ましいが、貴族たちの魔法を見るとそれが難しいことは分かっていた。


「さぁ、どうだろうね。マリアであれならベントなら確実に上位クラスだったかもね」


 アルマはマリアをからかうように笑う。

 いつも眠っている1人を除いたアルマ、マリア、デルフの共通認識としてベントが実力1位であった。マリアはそれが気に入らなかった。

 ベントが風魔法を上達させた理由がまず女性のスカートをめくるため、次に髪の毛を乾かすため、そして最後に空から落ちてきた女性を優しく受け止めるためだ。


 こんなふざけた野郎に負けたくないとマリアは思っているが、欲望に忠実な方がより早く実力を伸ばす結果となった。


「まぁ、いいさ。すぐにベントくらい追い抜いてやるよ。そうじゃないと最強なんて夢のまた夢だからな」


 マリアはどのクラスに分けられるのか期待を胸に今日を終えた。

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