プロローグ
はじめまして、みょんです!初投稿のため拙い文章ではありますがよろしくお願いします
なによ、なによ、なによなによなによ!なんなの?そう叫び散らしたい気持ちを抑え込んでナイフを持ってゆらりと立ち上がった男を見つめる。貴方の求めたことをしてあげたもの。私の望みを叶えるのは当然でしょう?
大団円のように笑顔が広まる中で私の心だけが冷え切っている。大きな魔獣の死体が地に転がって、みんなみんな、あの二人を囲んでる。学校の王子と劣等生の女が笑顔で囲まれている。本当なら、あそこにいるのは、私だったのに。何のためにフラグを立てたと思ってるのよ、もう。
世界の歪みは正さないと。本当ならあの人の隣にいるのは私だったのに。そんな思いを込めて、あの小さな背中を睨み付ける。順番は狂ってしまったけれど、結果が同じであればいい。看病のスチルは好きだったからそれは惜しいけれど、エンディングを迎えられなくなるよりはまだマシだ。あの子は本来ならば死ぬはずだった命なのよ。ええ、それを思えば私のこの行為は正当なのだ。
(ちゃんとイベントは起こしたはずだしハンカチも渡したのに)
失意のあの人を慰めてその隣に収まる。その未来を想像して思わず笑顔になる。隠しルートが初めから開かれていて本当によかった。逆ハーレムエンドを迎えるにはあの人のルートを経由しなければいけないもの。ここまで予定が逸れたのもきっとあの女が暗躍したからだわ。きっとそう。本当に忌まわしい。
(それも、ここでおしまい)
私はヒロイン。この物語の主人公。この物語は、あるべき姿に戻るだけ。さりげなくハンカチをスカートから落とす。それを落ち窪んだ目が確認したのを見送る。私の傀儡が握りしめたナイフが、振り下ろされた――