くんれんムチ!
「うんしょムチ。うんしょムチ」
いよいよ訓練が始まったムチ。ムチちゃん達は走っているムチ。でも、ムチちゃんはあんよが遅いから、ムチちゃんだけどんどん置いていかれちゃうムチ。
「こら、ムチ坊! チンタラ走ってるんじゃねーぞ」
「は、はいムチー」
グレイル騎士団の屈強な男たちと違って、ムチちゃんはまだまだひよわボーイむち。団長に怒鳴られてしまったムチ。
やばいムチ。こうなったら切り札を切るしかないムチ。
「秘技・ムチ車輪の術~」
ころころ~
ころころ~
ムチフフフ……これはムチムチ族のまんまるボディを活かした秘術ムチ。コロコロ転がることで、あっという間にみんなに追いついてしまったムチ。ムチちゃんってばしゅごいムチ。
そのまま一時間ほど、みんなに合わせて転がっていたムチ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「目が回るムチ~」
「ずっとコロコロしてたんでしょ。そりゃ目が回るよ」
「しばらく休みたいムチ~」
「残念だが休憩は終わりだ。次は登攀訓練だぞ」
走り込みが終わったムチちゃんたちを待っていたのは、訓練場にある大きな岩壁だったムチ。
「軍事行動の基本は移動だ。これくらいは荷物込みで登ってもらうぞ」
無理ムチ。ぴょんぴょんしても、手も足も届かないし引っかかりもしないムチ。どうしたらいいムチか?
「おい、ムチ坊。お前も早く登れ……って、手足が届かねえのか」
「さっきみたいなのでいいから、早く登れ。訓練が終わらねーと、メシにありつけねーぞ」
「メシ! そいつは大変ムチ。こうなってはまたまた切り札を切るしかないムチね」
「秘技・ムチ風船の術~」
ぷか~
ぷかぷか~
この術は体に空気と魔力を取り込んで、風船みたいに膨らむ術ムチ。これなら岩山を登らなくても、ぷかぷか浮かんで移動できるムチ!
「……ムチムチ族ってのは何でもありだなあ」
ムチフフフ、団長も驚いているムチ。ムチちゃん、褒められて気持ちがいいムチ。