おうけんグレイルむち!
「ムチムチ大使様ー」
「姫騎士様ー」
「ありがとー」
「また来てねー」
「ムチちゃーん、また遊ぼうねー」
村人たちがムチちゃん達を見送ってくれるムチ。来たばかりのときよりもみんな元気になっているムチ。ムチちゃんうれしいムチ。
ムチちゃんたちは街道をひたすら歩くムチ。目指すはこの国の王都"ステイロス"ムチ。
「さっき村人が姫騎士様って言ってたけど、あれってレンのことムチか?」
「……そうだよ。不本意だけど」
「不本意ムチか?」
「姫ってなにさ。騎士学校の頃からずっと言われてて、すっかり有名になっちゃったんだよ!」
「ムチちゃんもお姫様より、かっこいい騎士様のほうがいいムチな~」
「そうでしょ。ボクも将来は父様のようにがっしりした体つきの騎士になるんだ!」
レンはそう言って力こぶを作って見せてくれたムチ。正直に言うと、レンのすらっとした白い腕は全然ムキムキしてなかったムチ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
そんなムチちゃん達も二度の野営を経て、王都にたどり着いたムチ!
「ここが王都ムチか~ 人がいっぱいムチな~」
「ムチちゃん、あんまりキョロキョロしてないで。おのぼりさんみたいだよ」
「わかったムチ~」
レンの話によると、ここにはレンのとーちゃんの知り合いの騎士様がいるらしいムチ。
レンはとーちゃんから紹介状でその騎士様の騎士団で修行されてもらうことになっているムチ。ムチちゃんはオマケで、雑用係を兼ねた弟子として騎士団に入れてもらう予定ムチ。
ムチちゃん、こう見えても結構器用だし、雑用スキルも色々持っているから、きっと大丈夫ムチ!
「着いたよ、ムチちゃん」
王城からややはずれた場所にある古い屋敷は、庭が広く、鍛錬の跡が遠くからでもわかる程ムチ。
「王盾が子、レン・フォン・シュタインベルグ、王剣グレイル卿にお目通りをお願いしたく参りました」
よく通る声でレンが門番に要件を告げ、紹介状を渡したムチ。ムチちゃんたちは待合室に通されたムチ。
「ここがグレイル様のお屋敷ムチか~ 情緒があるムチな~」
「そうだね。この部屋の手入れも完璧だし、まあ、鍛錬場を兼ねている庭は弁護できないけど」
「そいつは済まねえな。庭だけは手入れしてもすぐに荒れるんで、使用人にも見放されちまってるんだ」
一瞬で殺気が場に満ちたムチ。とんでもない強さムチ。ムチムチ幼稚園で一度だけ見たムッチーノ先生の本気に匹敵するムチ!
ムチ袋から木の棒と盾を出して構え、内気を巡らせるムチ。全方向に対して最大警戒ムチ! レンも刺突剣を構え、ムチちゃんを庇うように前に立ったムチ。
呼吸をするのも忘れた数刻──
「ほい、嬢ちゃんもそっちのムチムチしたのも一応合格だな」
「ムチムチしたのは気を使うのか。珍しいな」
声とともに殺気が収まったムチ。
「俺がグレイルだ。巷では王剣だの剣の騎士だの言われている。よろしくな!」
豪放磊落、という言葉がぴったりの偉丈夫は、人懐っこい笑顔をムチちゃんたちに向けたムチ。