きしになったムチ!
待ちに待った日がやって来たムチ。今日はムチちゃんが騎士になる日ムチ。
天気はコレでもかってくらいの晴れ。めでたいムチ!
気温もやや暑めだけど過ごしやすい感じムチ。風がちょっと吹いているのがいいムチね。
今日はムチちゃん、とびっきりのおめかしをしているムチ。ムチムチ族の正装、よだれかけムチよ! とびきりの品を用意してもらったムチ!!
「よし、行くぞ、ムチ公」
団長ってば、ムチちゃんのおめかしに全然気づいてないムチ。減点ムチね。
「団長、ムチ助はどうしたムチか?」
「ああ、お前も爵位は違えど同じ騎士だからな。ムチ助は卒業だ。喜べ」
また呼び方が変わったムチ。団長は変なところがあるムチねえ。まあ、格が上がったと思えばうれしいムチな。
「グレイル様、ムチちゃん様、陛下がいらっしゃいます。どうぞ謁見の間へ」
見目の良い近衛さんに呼ばれたムチ。ついに叙任の儀がはじまるムチ!
◇◇◇◇◇◇◇◇
謁見の間はとってもきらびやかムチ。おひさまの光を上手に取り入れた作りをしているムチ。
すでに典礼官さんが準備を整えており、ムチちゃんと同じく叙任されるであろう新人騎士さんたちも待機しているムチ。それに、明らかに戦士の各を備えた騎士さんが何人もいるムチ。きっと先輩の騎士さんムチね。
みんなそれなりに強そうだけど、ムチちゃん、いつも団長を見ているせいか、この辺の感覚が少し麻痺しているムチ。あのおっさん強すぎるムチ。なにかの間違いで戦神が人間のふりをしていると言っても信じちゃうムチ。
「陛下が臨席なされる。皆、騎士の礼を」
典礼官のよく通る声とともに、全員が跪いて騎士の礼をとったムチ。ムチちゃん、うまくしゃがめないけど、がんばって真似するムチ。
しばらくして、国王陛下がやって来たムチ。陛下は尚武の国クロスガルドに相応しい偉丈夫で、立派なあごひげを蓄えているムチ。
年の頃は四十くらいムチかね。壮健という言葉がピッタリの覇気に満ちたお姿ムチ。豪華な衣装にも負けていないムチ。
「皆の者、楽にせよ」
ハリのある大きな声がしたムチ。皆、騎士の礼をといて自然体になったムチ。ムチちゃんもムチっとした姿勢になるムチ。
「これより騎士の叙任を執り行う。対象者は順に」
ムチちゃんを含めた新人騎士たちが順番に陛下に剣を捧げていくムチ。ムチちゃんは最後なので、みんなの様子を見て勉強するムチ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「最後に、ムチムチ族のムチちゃん。我が前へ」
「ははっムチ」
ムチちゃんは陛下の前へ行き、跪いて剣を捧げるポーズを取ったムチ。
ムチムチ族の身体の構造からちょっと不格好になっちゃたけど、これも愛嬌ムチ。
「──ときにムチちゃん。そなたの事は推薦人からよく聞いておる。武芸だけでなく、内政や外交にも明るい俊才であるとな。そこでだ、そなたには特別な領地を任せようと思う。王都ステイロスより北の"アゴニィ"だ。しかと騎士のつとめを果たせよ」
「ははっ、しかと承りましてございますムチ」
周りがざわついているムチ。団長の方をみると、やれやれ、と困った顔をしているムチ。
ひょっとしてムチちゃん、ヤバい土地をもらっちゃったムチか……?
◇◇◇◇◇◇◇◇
後から資料を取り寄せてみたらびっくりしたムチ。王都の北の大地"アゴニィ"はその名の通り苦しみに満ちた死の大地だったムチ。
まず土地が死んでいるムチ。まともな作物が育たないムチ。痩せた大地というか、日光がまともに得られないのがつらいムチ。なんでも昔の戦争で使われた土地枯らしの禁呪の影響で、薄暗い雲が常に大地を覆っているムチ。
山が死んでいるムチ。魔法で調べてもまともな鉱山資源がないムチ。
川が死んでいるムチ。禁呪の影響で山からもたらされる栄養が足りていないムチ。生き物がほとんどいないムチ。
でも川があれば水運ができるムチ。悪い材料だらけのなかで僅かな希望ムチ。まあ、特産品がないから、無策だと空荷を運ぶ羽目になりそうムチがね。
治水治山は政の基本ムチが、さすがにコレは治めようがないムチ。
ムチちゃん、これから一体どうなっちゃうムチか……?
つよつよの騎士ムチちゃん ~騎士になる編~ (完)
領地経営編へつづく
領地経営編が書き終わったらまた投下しますムチ!